共依存
<定義>
他人に対するコントロールの欲求で、他人に頼られていないと不安になる人と、人に頼ることでその人をコントロールしようとする人との間に成立するような依存・被依存関係 (参考文献:『家族依存症』斉藤 学 著)
共依存とは、アルコール依存症の人間がいる家庭に起こりやすい、複数の人間の依存関係を指します。アルコール依存症に限らず種々の依存症でも起こり得る関係であり、当事者ばかりでなく、その周囲の人間までもが依存関係に陥っていることを指し示す言葉です。
依存症の当事者が依存状態でいることができるということは、周囲の人間がそれを維持させることをやっているということであり、当事者自身を支えるのではなく、依存の症状そのものの支え手として機能してしまっている状態です。
例を挙げれば、
- アルコール依存症の亭主の暴言・暴力にも臆することなく、お酒を隠したり、またあるときはちょっとだけならとお酒を買いに行ったりしながら、暴れた後の部屋の後片付けまで頑張ってやっている妻
- 気に入らないことがあるとすぐに暴れる引きこもりっている息子に対し、この子もいつかは変わってくれる、分かってくれると考え、息子の言いなりで文句も言わずに身の回りの世話を甲斐甲斐しく続ける母親
この例から言えば、アルコール依存症者や引きこもって暴れている息子が他者(ここでは妻や母)に依存して生きているというのは分かりやすいでしょう。しかし問題は、頑張っている妻にせよ、息子の世話をする母にせよ、相手のことだけしか念頭に置いていないため、自分のことを置き去りにしており、自分自身は自分のためにどうすべきかという選択肢が失われています。これは相手を自分の思い通り動かすことに専心している、すなわちどうやって他者をコントロールするかということに囚われている状態です。
このようにして互いが互いをコントロールしようとする、依存・被依存関係が生まれてしまいます。このような関係が共依存です。