解決支援者の現場日記 : 旧ブログ

何のための訪問支援?

前回の訪問支援の記述に対して、支援団体の主宰者の方からコメントが入りました。

同伴支援ということを提示しておられます。詳しくはコメントをご覧下さい。

 

 

大変すばらしい取り組みだと思います。

私がかねて申しておりますように、ひきこもりは生き方の病です。

ですから、様ざまな生きざまに触れさせることはとても有意義なことなのです。

 

 

支援者としての私自身、何ものかを分析し、型にあてはめ、期待値に近づけるといったような支援法

をかねて取っておりません。

青年たちにアドバイスしている内容は、全て自分で人体実験(笑)して効果があった改善法だけを伝

えています。自分をより良く成長させられる生き方を提案しています。

ですから、こちらの期待値に近づけるというよりも、彼らがどう化けるか(笑)を楽しみにしているので

す。いろんな化け方があって、“らしさ”が出てくればいいんです。

 

 

ニート層に関して申しますと、なぜ彼らが健全な職業意識、就労意識が育っていないかというと、

社会の中で働くということに関して、手本となるような、憧れとなるような仕事人が周囲にいなかった

仕事に対して、やりがいや生きがいをもって取り組んでいる大人がいなかったということがあげられ

ます。

残業で遅く疲れ果て、グチをこぼし、休日も接待ゴルフでいない会社員の父親に育てられ、「絶対に

会社員にだけはならない!」と言った青年もいました。

 

 

私が訪問支援をする場合というのは、どーしても自室や家から出られないとか、頑固に意地をはっ

ている(笑)場合だけです。 “どーしても”のみです。

しかし、この“どーしても”が当協会の場合は、前回にもお伝えしていますように、意外(?)に少ない

んです。

 

 

たとえ長期のひきこもりの場合でも、訪問まで至らずに、本人が動き出します。

もちろんそれは、やることをやればの話です。

 

 

では何をやるのかということですが、

それは家族の当事者本人への真の寄り添いです。

うわべだけのまやかしの寄り添いではなく、誠の真の寄り添いです。

それが何かは、是非〈たらちねサポート〉https://www.interbrain.co.jp/topics/ へ参加してみてくだ

さい。

 

 

前回ご紹介した調査結果で、ひきこもり経験者、その家族の相談スタッフの対応を期待している理由

として、「専門性や資格よりも、ひきこもりのことを理解し真剣に取り組んでくれる人を相談相手として

望んでいることを示している」とありました。

これについても私は、ひきこもり長期化の一因であると述べました。

その理由をお話ししましょう。

 

 

何でも経験者が一番の理解者であるというのは、うなづけると思います。

確かにそうです。

しかし、こと“ひきこもり支援者、問題解決者に経験したことだけで適正か?”となるとちょっと

違ってくるんです。

精神科医の斎藤環氏がやはり、「経験者が向いているとは限らない」といった見解をお持ちである

ことは、前々回https://www.interbrain.co.jp/blog/2009/03/post-88.php ご紹介しました。

 

 

私は、別の理由で同じ意見をもっています。

どういう理由かといいますと、

ひきこもりになる青少年たちは、あらゆる事象をとらえる時の選択肢が非常に限定され、偏っている

のです。自身の経験への意味づけに多様性がないです。それは、親ごさんも同じです。

だからこそ、傷つき、そして、ひきこもるという行動しか選択できなかったのです。

こちらのブログhttp://forum-hokushin.weblogs.jp/blog/2009/03/post-2a61.htmlも参考にして

みてください。

 

 

ですから、ひきこもりを経験したからとか、わが子のひきこもりを経験したからとはいっても、必ずしも

相談者、支援者に適性とは言い難いのです。

 

 

不登校、ひきこもりの問題解決の際に大切なことは、一般的解答ではなく、あくまでも特定解を見い

だすということです。

特定解というのは、「この子にとっては」という視点から導きだされるものです。

一人一人資質も、家族背景も、成育歴も違います。

経験者であっても、それは「自分の場合はそうだった」に過ぎません。

自分がそうだったから、他もそう」ではないのです。

 

 

よく、勉強熱心な親ごさんが、いろんな関連書を読み「結局どうすればいいか分からない」と判断に

困ったり、当事者が書いた本を読み「自分には参考にならない」という感想をもらす当事者たちは、

誰にでも当てはまるような一般解を期待するから分からなくなるんです。

特定解を導き出すというところになると、自身の経験だけでは追いつかない部分があるのです。

 

 

こういったところからも見えてくる問題は、「ひきこもり支援に何が必要か?」といったところが

不鮮明なまま、様ざまな論議がされたり、思いつき支援策が講じられていることです。

安易な訪問支援が及ぼす弊害はないのか、訪問せざるを得ない場合のその目的は?などにも関連

することですので、次回までこのテーマに言及しようと思います。

 

 

ひきこもり無償支援活動〈たらちねサポート〉事業
https://www.interbrain.co.jp/topics/2009/01/post-3.php

 

 

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