解決支援者の現場日記 : 旧ブログ

必要なことは訪問支援か?

ある全国規模の家族会による調査資料を見ました。

来年度より始まる「ひきこもり地域支援センター(仮称)」に望む支援内容について、家族429名、

本人83名に調査した結果です。

 

 

家族が求める専門性と本人が求める専門性で、共に多いのが臨床心理士でした。

次いで、ひきこもりを経験した相談スタッフや当事者家族の相談スタッフでした。

私はこの調査内容を見て、「やはり、で、あったか」という感想をもちました。

 

 

どういうことかお話ししましょう。

このそれぞれの結果に対してこの会では、

臨床心理士への期待が高いのは、「心理的援助の専門性を求めている

ひきこもり経験者、その家族の相談スタッフに対しては、「専門性や資格よりも、ひきこもりのことを

理解し真剣に取り組んでくれる人を相談相手として望んでいることを示している」と述べています。

 

 

で、あったか」という私の領解は、ここにひきこもり長期化の一因がやはりあったという納得から

のものです。

今回と次回、二回にわたって論じたいと思います。

 

 

先ず心理的援助の専門性として臨床心理士をあげているところですが。

調査結果を見ても、医師や産業カウンセラーへの期待度に比べはるかに高い割合です。

この点の何が問題か?

 

 

臨床心理士は、対象者の病理性に対して治療的視点に立っています。

障害や目の前の問題を軽減させることを目的として、個人の援助を行います。

では、ひきこもりという状態(病名ではない)が必要とするものがそこにあるのか?

実は、ひきこもり状態の青年たちに必要なことは、発達的視点に立って、自立を目的とし、問題の

除去で終わらず、その後の自立のための意思決定過程を援助することなのです。

この辺りに関しては、当協会サイトhttps://www.interbrain.co.jp/psychoeducation/をご覧下さい。

 

 

個々人が自分の資質を最大限に生かし、自分の環境を利用して、よりよく適応・成長するのを援助

する。それは、各々の人生を建設的かつ創造的に生きていくために必要とする心理学的援助である

わけです。

 

 

また、ひきこもり問題は、当事者個人の問題ではなく、他者(主に家族)、環境との相互作用におけ

る問題ですので、個人の内的環境に焦点をあてた臨床心理の視点ではそぐわない部分が多いの

です。(『カウンセリング心理学』渡辺三枝子著参照)

 

 

これらのことは、不登校児童がスクールカウンセラー(主に臨床心理士)に相談したものの、ただ話を

聞いてくれるだけで、具体的な改善法は全くなかったとか、自分が話せない時の、沈黙の時間(カウン

セラーが黙っているから)に耐え切れず、相談室に行かなくなったということなどからも実感している

方もおられるでしょう。中には、カウンセラーに気をつかい、しゃべりたくないのに無理にしゃべってい

たという笑えない事例もありました。

 

 

ひきこもりの事例でも、4年間もの間社会的自立のために真面目に臨床心理士のカウンセリングに

通い、具体的自立策も与えられず、業を煮やし「30歳になってしまいますが、今のままで大丈夫なの

でしょうか?」と尋ねたら、「私じゃ手に負えないから精神科にでも行って!」と言われて、うなだれて

父親に伴われて当協会へ来た青年もいました。もちろん精神科にも行く必要の無い青年でしたが。

 

 

当協会の支援法では、ほとんどのケースが訪問支援を行わなくとも、親御さんに伴われて自ら出向

いてきます。それはご家族に共に動いてもらうからです。

たまたま本人が動けるケースが多かったということでしょうか?

それにしては、ひきこもり期間も長いですし、年齢も高いのですが。

もしそうだとしたら、前回から訪問支援活動(アウトリーチ)について述べていますが、そもそも訪問

する必要のない家庭に懸命に訪問しようとしているのではと疑念も出てまいります。

実際、当協会の事例でも、もし親御さんに動いて頂かず、本人を動かそうと思えば、訪問するしか

なかったでしょう。

 

 

これらのことから、訪問支援活動が必要なのか、そもそも、ひきこもり問題解決のためには何が

必要なのかを、改めて問い直すことの重要性を論じたいと思います。

もちろん、訪問支援活動が必要なケースもあるのは事実です。

ではその訪問支援活動に真に必要なことは何かも述べたいと思います。

 

 

ひきこもり無償支援活動〈たらちねサポート〉事業
https://www.interbrain.co.jp/topics/2009/01/post-3.php

 

 

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