解決支援者の現場日記 : 旧ブログ

人生の大前提

不登校やひきこもり・ニートの青年たちと日頃接している中で私は、人の人生の起点を見る思いがしま

す。

彼らの今の状態の意味を探索していく作業を本人と行っていくのですが、自身も気づけずに来ていた

現状の自分を導いた訳を知りえた時、青年たちは自己革新のスタートラインに立てます。

 

人の行動は、必ず本人にとって何らかのメリットを感じる方に動かされます。そのメリットというのは、

主に不安や恐怖からの回避である場合が多いようです。

自分自身を自虐的に否定することにも本人なりのメリットがあります。

何の取り得も能力もない自分は社会から必要とされない

こういった言葉もよく聞かれます。ここでのメリットは何でしょう?

 

「前提」にあるのは、社会参加への怖れです。ですから、自分が社会に受け入れられない妥当性が

確保できれば、その怖れから逃れられるというメリットがあるのです。

だからこそ、過剰なほど自身をおとしめます。それほど社会への恐怖心が強いということです。

ではその恐怖心はどこから来ているのかと言いますと。

これが自分自身の存在の根源に関わる部分であることが少なくないのです。

 

ある事例をご紹介しましょう。

小学生のころ、担任の先生と母親が通っている塾のことで意見の衝突があったそうです。

「先生の言うことはしっかり聞きなさい」とかねてから母親から言われていただけに、信頼している先生

と母親との衝突は、何が正しいのかといった基準をぐらつかせました。

そして「僕が学校に行かない方がいいんだ」と判断し不登校が始まりました。

そしたら今度はその不登校のことで、家庭で両親が衝突するようになりました。父親が母親を責める。

そういった光景がよく見られるようになってから、この少年は自分の存在そのものを否定し、「僕は生

まれてこなかった方がよかっんだ」という思いにかられました。

以降、家庭の中でも誰かが誰かを否定するという状況を見るにつけ、周囲の誰を信用していいものか

が、全く分からなくなってしまいました。

 

この青年は、小学校低学年の時のこの体験から、「自分の存在は家庭、この世(社会)に必要では

」という前提が刻印されてしまいました。

自分の素行や成績のことで、両親や周囲の大人が衝突しあう場面をよく見る子どもたちに多いのが、

この自己存在の否定です。「自分がいるから悪いんだ」「自分さえいなければ」と思い込んでしまい

ます。

この「前提」がこの青年にとって人生の起点となってしまったのです。 

 

人生の起点に刻印されたものは、成人してもなお、影響を与え続けます。

何かを頑張ろうとした時、心の奥から「そんなことしてもムダだよ」と口をはさみ、手も出してきます。

なにげに自分を否定されたような時、フラッシュバックで不安感や恐怖感がこみあげてきます。

 

私たちは、そもそもの人生の大前提を見直す必要があります。

「前提」が生き方の基準となって、あらゆる行動、考え方、感じ方が制限されるのです

 

いま目の前にうずくまるわが子に、どういう「前提」を与えてしまったのかを振り返ってみてください。

そして、あなた自身がどういう「前提」でわが子を育てたかを見直してみてください。

きっと解決策が見えてきます。

 

 

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