解決支援者の現場日記 : 旧ブログ
問題解決の障害は?
あるご家族の相談です。二十歳のころから十年以上の引きこもり状態
にあるということでしたので、三十代の青年でしょう。特に父親との葛藤
があるらしく、暴力が出ていた時期もあったようです。現在は父親が家
を出て、母子と別居状態とのことでした。私が「理解、協力のない父親
であれば、離婚されたらどうですか」とお話しましたら、「生活があるの
でそれは難しい」という答えが返ってきました。私は日頃、父親の理解
の無さに対して愚痴をこぼす母親にはこの問いかけをよくしてみます。
大方の回答は同じ内容です。この問いの主旨は、子供の問題解決の
障害になっているものに気づいておられるかを確認するためです。
その障害とは、もちろん父親の無理解さではありません。父親(母親
の場合もある)の無理解さは、問題発生の原因にはなっています。
しかし、問題解決の障害となっているものは、父親が、無理解だから
何もできないと"あきらめている"その姿勢です。何を優先させるべき
かが見えなくなっているようです。わが子の引きこもりは、家族内の
拮抗を浮き彫りにします。だからこそ、子供たちは家族の"救援者"
なのです。解決すべき問題はどこにあるのか、その本質から目をそ
らさずに向き合わなければなりません。現実に向き合うことを恐れ、
避けてしまえば、わが子の挺身は報われぬこととなります。問題の
所在を明らかにする。睦び合ってこその家族が、その絆を紡ぎ直す
ことでしか解決には至り得ないでしょう。