解決支援者の現場日記 : 旧ブログ
中年期の危機
ひきこもる青少年たちは、人生の意味を問い直します。
「自分の人生ってなんだろう?」「誰のための人生なんだろう?」
そして、生きる目的を模索します。
「自分に何か価値があるのだろうか?」「生まれてきた意味はあったのだろうか?」
これらの問いかけは、自己のアイデンティティ(存在意義)に深くかかわることです。
自尊心を剥ぎ落とされた青少年たちは、周囲の評価の目に怯え、身を隠します。
実はこれらのことは、その両親たちにもそのままあてはまるのです。
わが子が手元を離れ自立していった後、“個”としての自分に向き合った時に「私は何の
ために生きてきたのだろう?」といった問いかけが生じます。
子どもができ親となると、母親、父親の役割、アイデンティティを全うすることに懸命となり、
いつしか一人の人間としてのアイデンティティを忘れてしまいがちです。
子どもたちが巣立った後、ふと二人で顔を見合わせ、交わす言葉が出てこず、と惑う夫婦
も少なくないでしょう。ユングはこうした時期を中年期の危機と呼びました。
ひきこもる青少年たちは、最初のアイデンティティの構築に失敗しています。
それは、健全な自己のアイデンティティの構築のヒナ形を両親から得られなかったからです。
ニート層の増加の背景には、社会の中でイキイキと活動する父親の姿や生きることを謳歌
している両親の姿を見ていないということもあります。
目標をもって生きることをわが子に教えている親自身が目標を持たずにいます。
子どもたちの抱える迷いは、子育てのやり方、方法論からのものではなく、親の生きる
姿勢・態度によるものなのです。
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