解決支援者の現場日記 : 旧ブログ
父親はどこに?
講演、講座、相談会、個別相談。こういった会場に姿を見せられるのは、ほとんどが母親です。
もちろん平日や時間の関係で参加しようにもできないといった場合もあります。
しかし、私共が継続的な支援をしている場合でも、最初から最後まで結局は一度も顔を見せら
れないといった父親も少なくありません。
最近は「おやじの会」といった催しも随所で開催されており、父親の子育て参加も強調されてき
つつあるようです。熟年離婚なるものが流行り、その対策という向きもあるようですが、いずれ
にせよ、父親、亭主族を家庭に向けさせる動きが強まっているようです。
私もかねてより、父親の家庭内での役割をお話ししますが、一般的に養育していることで、任務
を果たしているかのように感じます。もう一つの教育を忘れてはいないでしょうか。
「子育ては母親の仕事」と勘違いされている父親もまだまだ多いようです。
母親と同じ時間、子どもたちと関わってほしいとは申しません。ただ、父親でなければという部分
があるのは確かなのです。中には、共働きで、母親も同じだけフルで働いているにも関わらず、
家事、子育てはほとんどしないという父親もいます。そして「俺は家族のために働いているんだ。
家にいる時ぐらいゆっくりさせてくれぇ」です。何かおかしくありませんか?
最近は単身赴任で、家を留守にしている父親のケースもありますが、「居ないので子どもに影響
与えるもないでしょう。子育ては家内に預けていたわけですから。母親の甘やかしですよ。」という
方もいます。居るから、接しているから子どもに影響を与える。いないから与えないではないので
す。居ないことが大きく影響を与えているんです。本来親子は一緒に生活しているものです。
それが何らかの理由で共に生活できないでいれば、子どもにとって、親が不在であることが影響
を与えないはずは無いことは分かってほしいです。
男子の不登校や男性のひきこもり、ニートの場合、本人達からよく聞かれるのは父親のことです。
その父親とのコミュニケーションが十分でなく、父親から与えられるべきものが与えられないでい
たことがほとんどです。
私共が子どもとのコミュニケーションを促しても、「何と声をかけたらいいのかが分からない。どう
接すればいいのかが分からない」といった声を父親からよく聞きます。
わが子との人間関係を結べなくなっているのです。
わが子の暮らす環境を安全にするのは両親のつとめです。安全であればこそ安心していられます。
父親は羅針盤として生きる方向性を示し、挫けてもいつでも帰れる港が母親の役割と思います。
そういう意味でも、最も身近で子どもに安全を与えてあげられるのは母親ですが、その母親を安全
にしてあげられるのは父親なのです。母親に緊張と不安を与えてしまう父親では、子育ての責任を
母親に転嫁できる立場にはありません。
昨今のニート問題では、父親が羅針盤の役目を果たし得ていないところが目立ちます。
「社会の中で働くというのは」「仕事とは」「自立とは」「生きがいのある暮らしとは」というようなことを
全くわが子に示すことができていないのです。
母子関係は、父親以上に密着しやすいものです。だからこそ、その間に分け入ってほどよいバラ
ンスを保てるようにするのが父親なのですが、「居れども、此処に在らず」といった状況になってし
まっている家庭が多いように感じます。
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