解決支援者の現場日記 : 旧ブログ
ひきこもり20年の当事者の生の声
今回から数回に分けてご紹介するのは、現在も未だ継続中のひきこもり青年本人の言葉です。
この青年は、現在35歳で中学1年からひきこもり始めました。
ある民間支援施設の勧めで、二年ほど前から親元を離れ一人暮らしをしていますが、強迫神経症
も患い、日常生活自体がかなり厳しい状態のようです。
事態の改善が見られないことに疑念や不安を抱き、ご両親が当協会にご相談にみえられたのです。
今回、ご両親の承諾を頂き、この団体の機関紙に掲載された青年の手記をご紹介します。
親元から離すことで自立心を期待することがまま聞かれますが、思うほど効果はありません。
精神的な依存を解消しないかぎり、ただ、ひきこもっている場所が自室から離れに移っただけと
いうぐらいの違いです。
大学に行っているものとばかり思っていたのが、下宿にひきこもっていたというケースもよくあります。
それから、この青年の場合、かなり重篤な強迫神経症に罹患していますが、それに対しての対応が
ほどこされていないようでした。
ですから、当事者同士で一緒に行う行事には、参加ができていなかったようなのです。
この団体は、ひきこもり家族会から発展した支援団体で、具体的な支援法をもたないようです。
だからでしょうが、この青年のご両親の話によると、まだ一例も社会参加を実現できた実績が無いと
いうことでした(設立して10年以上経ちます)。
以前実際に、この団体へ相談に出向いた当事者本人が、一人の実績もないということで支援を断ら
れたと当協会へ来られたこともあり、その時には私も「そんなばかな」と思ったことでしたが。
その青年は、仕事に就きたくて支援を求めたのです。
では、当事者の青年たちにその団体が何をさせていたかというと、集わせていたわけです。
この手記の青年は、先の理由でこの集いの場には参加できていないのです。
このように、当事者同士の居場所を提供し、自由にさせるという場は、よく聞きます。
しかし、他者との接触をさせていけば徐々に慣れてきて、社会参加が可能となるという考えは幻想
であり、そのもくろみが果たせることはほぼありません。
仮にバイトなどを始められるようになっても、長くは続きません。
彼らは、対人関係が不慣れでひきこもったわけでもありませんし、ひきこもっていて不慣れになった
から、人への関わりに臆病になったといわけではないのです。
ですから、慣れさせればいいというわけではありません。
もっと本質的な対人スキルが欠落しています。
それは、適切な訓練をほどこし、身に備えさせてあげなければ、慣れながら身につくレベルのもの
ではないのです。
このあたりのことは、家族会はもとより、家族会から発展した支援団体は認識が不十分なように
見受けられます。
単なる居場所(休憩所)を提供し、改善がないまま、いたずらに期間を延ばしてしまっている状況が
よく見られます。
支援者として猛省すべきことです。
では、早速その手記の一部からご紹介しましょう。
『たしか中学に入って夏休みまでにはひきこもり始めていたと思います。
今考えるとひきこもった原因は、中一ギャップと言われているものだったんじゃないかなと
思います。
今も昔も、急激な変化への適応や新しい人間関係を築く事が上手くはないです。
中学生になって、別の小学校から来た人たちと一緒になる事や、部活等での先輩・後輩の
人間関係、勉強面での周りとの差で、井の中の蛙状態?だった事に気付かされた感じで
した。
特に余裕をこいていた訳ではないのですが、急に自分のことがちっぽけなものに感じてきた
んだろうと思います。普通にやっていけば、周りついていけると思っていたか、特に何も考え
ずに中学生になってしまった感じでしょうか。
入学から暫くたつた日、学校を休んだあたりから一気に生活が崩れて行ったような気がしま
す。一日休むと周りから遅れはじめたり、部活の問題で学校に行き辛くなってしまいました。
今考えたら、大した事では無いように思えなくもないのですが、生きて来た十二年と数ヶ月
が全てだった、当時の自分としては大問題。
そんなある日、親が無理やり自分を、学校に連れて行こうとしました。
多分必死に抵抗したと思います。学校で何を言われるか・聞かれるかとても怖かったです。
学校に連れて行かれる前に、泣きながら逃げ出し家の周りを逃げ回りました。
そのまま家出なんかは出来ませんでしたが、何時間か近くの神社に隠れて、気分が落ち着
いた頃に家に戻りました。
それから何日かたった日だと思いますが、親にしつこく問いただされた事があり(何を聞かれ
たかは思い出せませんでした)その事が、ショックだったように思います。
それから暫く部屋にひきこもるようになりました。
その頃、先生やクラスメイトが家に来るのが、本当に嫌で嫌で仕方がなかったです。』
この青年は、この後転校をしましたが、数日登校しただけで、再び行けなくなり、ひきこもり生活に
入りました。
通っていた学校に問題があったわけではないということです。
いかがですか?
この青年は、原因を中一ギャップと書いていますが、それだけで20年ひきこもると思いますか?
そもそも中一ギャップに適応できない問題を抱えていたのです。
それが何か?
精神的な脆弱性がどこから来ているのか、抑え切れない衝動性がどこから来ているのかこそが
重要なことなのです。
この本質的な問題が解消されないままなので、今もなおひきこもりから脱することができていない
のです。
次回も引き続き、手記をご紹介しながら考察していきたいと思います。
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