解決支援者の現場日記 : 旧ブログ
ひきこもりの子をもつ親という病③
今回まで、長期化を招いている原因にもなっている「ひきこもりの子をもつ親という病」について、述べ
てみましょう。
支援のご依頼を受けてから、まず最初に行っていくことは、コミュニケーションの回復です。
社会的ひきこもりの状態に関しての定義に「ご家族以外との親密な対人関係がない状態が
6ヵ月以上続いている状態であること」とありますが、他人どころか、ほとんど親子間でも充分な
コミュニケーション(親密な関係)が取れていません。
数年も話をしていないケースはざらですし、十年以上姿も見ていないといったケースだってあります。
コミュニケーションの回復のために、様々な方法を指導しますが、それを実行に移すまでに、時間が
かかったり、また、実行したものの、「どうでしたか?」というこちらからの確認に対して、「何も変わり
ません」「内の子は、ダメですね」なんてことを、あっさりと言われます。
解決のプロにかかれば、一瞬の如く、数年もひきこもっていたわが子が、いきなり社会参加すると
でも思っておられるのか、解決を先急ぐ傾向が顕著です。
同時に、辛抱が足りない。
「なんと声をかけていいのかが、分からない」というのが多いのですが、声自体をかけられないという
ことも少なくありません。
コミュニケーションが途絶えてしまっている原因は、本人が促しに対しても動こうとしなかったり、家族
からの呼びかけにもだんだんと答えなくなり、次第に親御さんの方も返事がないので声をかけなく
なってしまったことです。
なぜ、親の言うことを聞かないと思いますか?
親を信頼していないということと、子どもは、親の言うことよりもしていることを真似るということです。
いがみあっている父子が、母親の目から見ていると、そっくりということがよくあります。
「あんな親父みたいなヤツにはならない!」と毒突いてる息子が、「最近とみに父親に似てきた」と
母親が感じている話を私は支援の場でよく聞かされます(笑)。
似たもの同士。
どうやら、子どもというのは、残念ながら親の悪い所を真似てしまいがちのようです。
自分が信頼していない相手から何かを促された時、あなたはその通りにしますか?
しませんね。
ですから、こちらの言い分を聞き入れてもらうためには、信頼の回復が先ず必要なのです。
信頼関係を修復していくためには、コミュニケーションが欠かせません。
信頼を築き上げていくことは、大変な作業です。
時間もエネルギーもかかる。
土を耕し、種を植え、育てていくという発想がもてないようです。
即席の解決法を求めてこられる親御さんも少なくありません。
無償支援でも、こと自分たちが動かなければならない解決法だと分かると、その後姿を見せない
親御さんもおられるのも残念ですが現実です。
信頼を回復するためには、痛みへの寄り添い(共感)です。
共感できるためには、理解しかありません。
理解も頭で理屈が分かっても、腹に落とせなければ、行動に移せません。
「肝に銘ずる」「腑に落ちる」と言いますね。
腹くくりが大切だということです。
合点がいくまで、とことん理解していくのです。
そのためには、わが子の立場になって、考えてみましょう。
子どもの目線になれば、良かれと思ってやったこと、当たり前だと思ってやっていたことなどが、
逆にダメージを与えてしまっていたことに気づけます。
理解が深まれば、子どもの今に対してのいらだちも少なくなります。
理由、わけが分かるからです。
ですから、理解することは、親御さん自身のメンタルヘルスにも有効なのです。
腹くくりが出来るためには、「失うものなど何も無し」という精神です。
何か守るものがあると、踏み込めません。
親の面子や沽券に関わると思えば、それを守ることを優先させてしまいます。
結果、行動を起こせず、子どもから「腹に据えかねる」と、逆襲にあうのです。
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