解決支援者の現場日記 : 旧ブログ

木を見て森を見ず

私は、ご相談者に対してよく、「困っておられる問題は何で、どうなってほしいのですか?」とお尋ねし

ます。

 

 

すると、決まって不登校の場合は、「学校に行ってほしい」

ひきこもりのご相談の場合は、「閉じこもらないで、早く働いてほしい」

と返ってきます。

 

 

これは当然のことだと思いますが、それらは、いずれも結果としての状態にしか過ぎません。

それ自体を目的としてしまうと、学校へ行けていないこと、ひきこもっていることだけが問題視されて

しまいます。

 

 

不登校もひきこもりも、確たる理由があってのことです。

その理由の方が問題として扱われるべきなのですが、それはなおざりにされ、どうやって登校させ

ようか。どうやって働かせようか。と、ただそれだけになってしまっていることが多いようです。

または、「病気だろうから、どうやって病院に連れて行こうか」となります。

 

 

もちろん、理由、原因の部分に関しては、本人に尋ねても充分に答が返ってこないことが大半です。

時おり、原因を探ること、犯人探しに時間やエネルギーをかけることは、無意味だから、解決に集中

すべきといった見解も耳にします。

 

 

解決に力点を置くことは、もとより大切なことなのですが、重要なことは「何をもって解決とするのか

ということです。

そこを間違えますと、取り組んだ結果が、すべて裏目に出ます。

 

 

本人が原因を話してくれないことや、分かりにくいこともあって、「解決志向」といった名目で原因の

解明がなおざりにされていることが実態のようです。

登校や就労が解決と見なされてしまうと、さらに問題を深刻化させてしまう結果となります

 

 

不登校もひきこもりも、原因になっているものは、複合的にいくつもの問題が重なり合っています。

そして、その出処は、かなり時代をさかのぼります。

つまり、学校に行かなくなった、ひきこもりだした直前のことではないということです。

 

 

例えば、これまでに私はこういった経験もあります。

両親がわが子の問題に対し協力体制が取れず、私が父親の実家のご両親(当事者の祖父母)に

お会いしなければならないことがあったのですが、なんと嫁入り当時の話までが飛び出し、「うちに

は相応しくない家柄だったから、最初から反対だったんです」といった嫁(当事者の母親)への批判

までが出てきました。

さも孫のひきこもりの原因が、嫁(母親)にあるかのような物言いでした。

 

 

この両親が、わが子のひきこもりに対して、協力体制が取れなかった背景には、こういった結婚

当初からの歴史が関わっていたのです。

 

 

このように、不登校やひきこもりを招いた子どもたちのストレスに対する脆弱さや、自己否定感の

強さも、その背景をひも解いていく必要があるのです

 

 

私たちは、自分の中に有る、ある「前提」に立って、物事を推し進めます。

表面に現れた現象だけを見ているだけでは、その意味を読み取れませんし、そこだけを「けしからん」

と、たしなめても、「前提」が変わらない限り、同じ事を繰り返します。

 

 

「自分のとる行動は誤っている」

「自分は周囲から求められず、居てはいけない」

という前提があれば、止まり、身を隠すことしか選びません。

 

 

木(不登校・ひきこもり)だけを見るのではなく、森(家庭・家族・世界観)を見ていかなければ、本質の

問題が未解決のまま、まさに根腐れを起こしていくのです。

 

 

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