解決支援者の現場日記 : 旧ブログ
日本理化学工業
先日たまたまテレビを観ていましたところ、すばらしい企業の紹介があっていました。
日本理化学工業株式会社というところです。
この会社は、「ダストレスチョーク」の国産化に初めて成功し、唯一の文科省あっせんチョークとして
指定されているそうです。
この会社の何に感動したかと言いますと、昭和35年より重度障がい者2名の雇用から始まり、
昭和50年、国の心身障害者多数雇用モデル工場1号を川崎に設置したのを機に「障がい者と
社会をジョイントする」経営方針を貫いていることです。
現会長の大山泰弘氏は、当時障害者の方の仕事に対するひたむきさの理由が分からないでいた
そうです。
ある時、お寺の導師の方にそれを相談したところ、「あたりまえではないですか」と言われ、びっくり
しその訳を問うたそうです。
その導師は、人がひたむきになれるのは、四つのことが満たされた時。
それは、
『人に愛されること、人にほめられること、
人の役にたつこと、 人から必要とされること、の4つです。
働くことによって愛以外の三つの幸せは得られるのです』
と答えられたそうです。
それを聞いた大山氏は、それまでの工程に人を合わせていた非効率を悟り、人(それぞれの能力)に
工程を合わせていく方法に切り替え、性能の高い機械、治具の工夫、生産工程の細分化と単純化
などによって、品質・生産性・管理面で高い水準を維持できるようにしていったのです。
社会は人、会社は人、組織は人とよく言われますが、はたしてその「人」のそれぞれの持ち味を
どれだけ尊重できているでしょうか。
理化学工業で働く障害者の方たちは、自分たちでも役にたつことができ、ほめられ、必要とされる
ことに生きがいを感じ、仕事へのひた向きさを発揮されたのです。
これは、誰にでも共通することです。
導師は「働くことによって愛以外の三つの幸せは得られる」と説いていますが、それに対して大山氏
は、「その愛も一生懸命働くことによって得られるものだと思う」 と述べています。
私も全く同感です。
私はかねて、働くことは、「傍を楽にすること」と伝えています。
つまり、人に喜びを与えることです。
また、働きは役割を担うことですので、役に立つことで、自分の存在価値を高めることでもあります。
このことで自尊心が高められ、アイデンティティ(自分らしさ)が確立されるのです。
自分の個性が活かされると、人はイキイキできます。
心はウキウキうれしくなります。
そんな人間は、周囲の人から愛されます。
自分もまた人を愛することができます。
これからを憂えてばかりいて心を沈めている人間は、何の行動もとらず、ただただ心配あぐねて
います。
わが子をほめてきたでしょうか?
必要としてきたでしょうか?
かけがえのない存在であることを伝えてきましたか?
周囲の役に立てる人間であることを実感させてあげられるだけのことをしてきましたか?
人を愛することのできる子に育てていくことが、私たち親の務めではないでしょうか。
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