解決支援者の現場日記 : 旧ブログ
家族モビール
私たちの身体は、ホメオスタシス(恒常性保持機能)によって、生体内部環境が自動調整されていま
す。家族という有機体もまた、家族平衡という形であるバランスを保とうとします。これを私はモビール
で例えています。モビールは、全体でバランスを保っている飾りですので、どこかひとつでも飾りを
とってしまうと、その飾りだけが落ちるのではなく、全体が崩れてしまいます。つまり、すべてが関
わりあって保たれているバランスです。
家庭は、それぞれが安らげ、和める環境を望み生活しています。そういう面では同じ方向の共通の
目標です。ところが、そこへ至るための方法がそれぞれの立場で微妙に変わってきます。
そこで、ある家族にとっては望まれるものでも、他の家族にとっては、不都合な場合も生じます。
それぞれの都合、思惑が違うということです。
そこに互いの「誤解」というものが生じ、この誤解から家族間の葛藤が発生するのです。
誤解のもとに傷つけあうことは悲劇です。
心の疲労にいち早く気づくのは、自身の身体です。身体はとても正直で、自分が気づいていない
心のシグナルをきちんとキャッチしています。生理機能の不調という形で、心の危険を知らせてく
れます。
それと同じように、家庭のアンバランス(不具合)をいち早く知らせてくれるのが、子どもたちの逸脱
行動です。子どもたちは、家族の救援者として、"揺り戻し作用"を無意識に担ってくれています。
家庭にあっては、親の思惑の方が優位です。したがって、そこには無言の強制力がはたらき、
また子どもの領域への侵入が繰り返され、子どもたちは実存性(存在の尊厳性)を脅かされ、ありの
ままを拘束されるのです。
ありのままを許されなかった子どもたちは、やがて生まれ直しを渇望します。それが胎内回帰とし
ての「ひきこもり」です。