解決支援者の現場日記
援助者としての親 ⑨
援助者として、ひきこもり現象を理解するといったとき、
「理解したくない」
「理解なんかできるものですか」
「こっち(親)の大変さを理解してほしい」
といった声が聞こえてきます。
これらの不満(?)は、「理解する」ということを「認める」「容認する」と
捉えていることで出てきてしまっています。
現象の理解というのは、何も現状を認め、好きにさせる意味ではありません。
そう捉えれば「理解なんかしたくない」と思うでしょうが、前回⑧でも述べた
ように、実際は何年もひきこもっていれば、もうすでに親から容認してもらって
いるととられています。
現象の理解は、病気や障がいではなくひきこもりという現象が、どういう
状況から起こってしまうのか、背景にどういう問題が横たわっているのか
といったことを理解していくことです。
現象の仕組み、意味が分かってくれば、対策を打つことができますし、
何より、わが子のふるまいに腹もたたなくなってきます(笑)。
「理解したくない」という思いには、薄々、わが子がひきこもったことに、
自身が関わっているだろうと感じているからです。
薄々どころか、わが子から直接的に「おまえらがこうした」「俺の人生返せ!」
なんて言葉をあびせられている家庭では、理解が深まることは、より自分が
わが子に与えた影響、責任を知ることとなり、罪悪感につながりかねません。
それは、子どもを立派に育て社会に巣立っていかせることを役目としてる親に
とっては、辛いことです。
ですが、わが子がこう訴えているからこそ、親が援助者になれるわけであって、
もっと言うと、なるべきなのです。
シリーズ⑦で述べたように、わが子ですから、自分の人生におこっていること
です。自分の人生に責任をもってこそ、どんな事態も改善されていきます。
理解してもらえることで、子どもは安心感を得、また親は、援助者として、
協力していくことができるようになっていくのです。
どのような協力ができるのかを次に述べてみましょう。
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