解決支援者の現場日記
ひきこもり家族会が危ない! ④
家族会の運営目的を改めて考えてみましょう。
会の存在意義になるものです。
もちろん現状の問題の改善、解決のためですよね。
②でも述べましたが、あたりまえのことなのですが、これがどこかへ行って
しまっている場合が少なくないようです。
こういったことが起こっている原因には、解決のために何が必要かが見えて
いないことにあります。
家族会は、当事者のみで運営されていることがほとんどです。
当事者である誰かが最初に声をあげ、そこに他の当事者が集まりだし、互いに
寄り添うようにして、励ましあったり、慰めあったりして、支え合ううちに
会の形ができてきているからです。
そうすると当然ですが、解決のために何が必要かは分かりません。
ある程度の規模の会になりますと、学習会を開催し、ひきこもりの理解を
深めようとしているのですが、講師で招かれるのは、精神科医や研究者(教授)、
カウンセラー(臨床心理士等)などです。
実際に自室から出られない状態から、就労や進学などの社会参加まで一軒の
家庭、家族に関わり続けた経験がない方たちです。
ですから、学習の際の内容は状態(病状)の解説がほとんどであり、具体的な
対応としては、本人の意志に委ねた「無用な刺激を与えず、信じて見守りまょう」
といった解決のための対策とは言い難いものです。
20年近くも運営しているある家族会の代表世話人の方とお話しした時、
引きこもる若者たちの声を私は毎日聞いているので、それをお伝えしたい
と申し上げたところ、「それはありがたい。私たちは子どもが何を考えて
いるのかが何も分からない」と返ってきました。
私は内心愕然としました。
ひきこもり者たちの声を知らぬまま、何を集まってやっているのだろう?
ここからも分かるように、本来の会の存在意義である目的が、知らぬ間に
忘れさられ、他のものにすり替えられてしまっているのです。
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