解決支援者の現場日記
ひきこもり(不登校)ーひと言申す~居場所④
家族会が運営者の居場所となってしまうことについて述べましょう。
運営者も当事者の一人です。
家に帰れば、そこに長きにわたってひきこもっているわが子がいます。
また、ひきこもりという現象が起こる家庭は、「多(他)問題家族」と呼称
されるように、複数の他の問題も抱えています。
たとえば、配偶者が依存症であったり、親族間でのいさかいがあったり。
そうすると、家にはできるだけ居たくありません。
また、人は、自身の問題から意識を逸らしたい時に、他者の問題に熱心になる
傾向があります。
そうすると、家族会の運営や他の家庭のひきこもり相談に一生懸命になるのです。
これは、ひきこもり者たちの集まりにも当てはまります。
元ひきこもりとか、現ひきこもりの場合もあるようですが、そのような人が
運営者となっている場合も同じです。
このような場合、運営者は、会の運営があたかも生きがいとなり、わが家の
問題そっちのけで、奔走します。
行政や研究者(大学等)からも重宝がられますと、そこに自分の居場所を見い出
します。
会(他家族)のためと言うよりも、自分の安心のための拠り所にしてしまって
いるのです。
そうなれば、自身にとってより居心地のいい場所にしようとしてしまい、
その座にしがみつきます。
これが私物化ということです。
基本、「他人の前に自分」です。
自分は泳げないのに、おぼれている人を飛び込んで助けますか?
人に救助を求め、つかまれる物を投げ入れますよね。
家族会の運営者が十数年も活動していて、わが子のひきこもりを改善できて
いないでいるのに、参加家族が希望をもてるはずもありません。
かえって長期化を招いてしまうような雰囲気や情報を与えかねません。
新しい参加者に「もう、ムリですよ」「私たち(親)の介護をさせていけばいい
ですよ」と言っているという話を相談者から伺ったこともあります。
特に、ひきこもり者たちの集まりの場合は、より危険性が出てまいります。
(続く)
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