解決支援者の現場日記
8050問題 長期化のゆくえ ⑥
ひきこもり現象の解決のためには、次のような視点をもつことが大切です。
わが子の〈ひきこもり〉に意識が集中してしまい、ひきこもりを何とか
したいとそこに固執してしまいがちですが、ひきこもりを招いた生き方に
目を向けるべきです。
ひきこもりは、生き辛さからの痛みからの逃避であり、自己治療の一環です。
しかし、それは決して適切な方法ではないので、満足いく効果が得られません。
したがって、「もっと、もっと」と繰り返し、やがて固定化されるのです。
生き方の歪みは家族も同じで、ひきこもりに巻き込まれていく内に、
親としての尊厳は打ち砕かれ、過度な自責感などにより、事態を静観して
しまう方向へと行きついてしまいます。
ですから、ひきこもりの解決のためには、親自身の生き方の改善、生活の質、
人生の改善が必要なのです。
これまでの自身の生き方が、わが子の現状を改善することに対して無力で
あることを認め、明らかに見極めるという意味で、自力での取り組みを
「あきらめる」必要があります。
「良かれ」と思って行ってきたことが、かえって、ひきこもりを固定化し、
長期化、深刻化させたことを認めることが重要なのです。
その上で、新たな生き方、人生の主導権を取り戻し、人生の改善をしていく
ことが求められます。
そのためには、継続的に学んでいく姿勢が必要です。
依存症の自助グループのように、ミーティングに常に参加し、昔に戻って
しまう(酒を飲んでしまう)ことをくい止めるための再確認、気づきを得る
機会を自分に与え続けなければなりません。
他者との接触(介入)によるチェック機能を生活に取り入れる必要がある
のです。
自身の見解から少しも離れきれず、わが子の困りごとよりも、自身の
困りごとを優先させ、親自身も社会から孤立してしまえば、長期化して
いくことは自明の理です。
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