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解決支援者の現場日記 : 旧ブログでタグ「訪問支援活動」が付けられているもの
訪問支援が目指すもの
訪問支援(アウトリーチ)について述べてまいりました。
訪問支援がはたす役割、意味は何かを考えるためには、そもそもひきこもりの支援に必要なことは
何かが明確になっていなければなりません。
私が関連図書の紹介を乞われた時にお薦めしているものに『ひきこもりと家族トラウマ』があります。
著者は、多重人格研究の第一人者である服部雄一先生です。
この書の内容は、当協会がこれまで行ってきた指導理念を理論的に裏づけするような内容であり、
現場から入ってきた経歴の私としては、臨床家、研究家の立場の方からエールを送っていただいた
ような気がして、とても心強く感じた本です。
一部抜粋させて頂きますと、「ひきこもりを見る場合、日本人と外国人は目のつけどころが違います。
多くの日本人は「外に出ないこと」「働かないこと」だけを問題にして、専門家も含めて、トラウマ性の
症状-人間不信、対人恐怖、自殺願望、不眠、感情マヒ-に目を向けません。
こうした症状を無視すると、ひきこもりは働きもせずに部屋でテレビゲームばかりする怠け者に見え
てきます。
これに対して外国人は、ひきこもりが何年も人を避けて部屋に閉じこもったり、自殺願望をもったり、
人間不信や感情マヒの症状があることに注目します。」(109P)
私はかねてより、不登校・ひきこもりの“問題”は何か?ということを相談者の方に問いかけています。
つまり、学校に行っていないことや、ひきこもっている、その状態が最優先で解決すべき問題なのか
を、自問して頂いています。
「訪問支援活動(アウトリーチ)」https://www.interbrain.co.jp/blog/2009/03/post-88.phpでお話した
名古屋の支援施設のテレビ放映に関しても、この本の中でふれられており、海外専門家たちが絶句
していることや、「これは治療ではない。しかも親のためのものだ。本人のためのものではない」
(108P)といった言葉が記されています。
私がこの女性に強い憤りを感じたことは、やはり当たり前のことのようでした。
この名古屋のひきこもり支援施設「アイメンタルスクール」は入塾生を死亡させた事件を起こした施設
です。こういう事件があると、「いったい何をしたいのかな?親も含め、当事者たちをどうするつもりだろ
う?」と考えてしまいます。問題をどこに置きたいのだろうかと思ってしまいます。
『部屋(家)から出す。家族から離す。集団(社会)生活をさせる。暴力(自他への)を止めさせる。
働かせる。精神病院へ入れる。根性(子も親も)を叩き直す』こういったところが問題として扱わ
れているような印象を受けます。
確かに表面的な課題としては、これらも有りますが、要は何故こうなったか。
それには必ず“訳”があるということです。その“訳”を解消し、さらには、より良く生きていきたいという
意識が生まれれば、結果として上記のことがらは改善されているということです。
プロセスや手段を目的化してしまうと、本質的な解決から遠ざかります。
精神病理を原因にしたてたいといった動きも見られますが、確かに一部病理性がある事例もあります。
であっても、薬を飲ませること、入院させることが目的となっては同じことです。
本人に病気を受容させ、治療への積極性を促し、さらには症状、障害をかかえながらの生き方の充実
(QOL)を模索させていくことが大切だと思います。
そのためには、病人と認めてもらっただけでは解決にはなりません。
訪問支援の目的はなんでしょう。訪問することが目的となっては意味がありません。
いきなり訪問して、声をかけたからといって何の解決にもなりません。
もちろん、本人の了解もないまま強引にドアを開けることは、絶対にあってはならないことです。
私が訪問する場合は、最初の訪問は必ず日時を伝達します。外出ができる青年の場合は、留守を
される場合があります。それでいいんです。こちらが招かれざる客ですから、本人のテリトリーへの
訪問に対しては、最低限の礼儀をつくすべきです。そしてまた、本人の了解がない場合、絶対にドア
を開けないことを約束し、ドアノブにも手をかけません。これらを徹底することで、当事者は安心して
ドアの向こうにいるようになります。
訪問支援の目的は、私の場合、当事者に自身のひきこもりがわが家の問題だけではすまなくなって
しまったと認識させる意味があります。わが家の問題である内は、親も子もゆったりかまえてしまい
ます。
第三者が介入することで、社会を意識させることが出来るのです。
福岡市でも訪問支援事業が取り組まれているようですが、訪問に関して本人の強い拒否がないこと
が条件となっています。斎藤環氏が懸念していたように、支援法が確立されていない現時点では、
それが賢明でしょう。
しかし、本人の強い拒否がない状態であれば、逆に訪問支援の必要はないと思います。
つまり、訪問をせずとも本人が動き出せる可能性が高いということです。
そもそも、訪問支援がどーしても必要なケースというのは、むしろ本人が強く拒否するような場合と
も言えます。
結論として、訪問支援(アウトリーチ)は、必要に迫られて行うべきもので、安易に話し相手になるため
といったような形で下準備(ここが重要)もないまま行うことは避けるべきだと思っています。
訪問支援法の確立は、実は訪問支援をしなくてもいい方法の確立でもあるのです。
どうやって訪問すればいいかを考える前に、どうやったら訪問をしなくてもすむかを考えてもらい
たいものです。
ひきこもり無償支援活動〈たらちねサポート〉事業
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NPO法人地球家族エコロジー協会
福岡県大野城市つつじヶ丘6-4-21
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2009年3月27日 18:07
何のための訪問支援?
前回の訪問支援の記述に対して、支援団体の主宰者の方からコメントが入りました。
同伴支援ということを提示しておられます。詳しくはコメントをご覧下さい。
大変すばらしい取り組みだと思います。
私がかねて申しておりますように、ひきこもりは生き方の病です。
ですから、様ざまな生きざまに触れさせることはとても有意義なことなのです。
支援者としての私自身、何ものかを分析し、型にあてはめ、期待値に近づけるといったような支援法
をかねて取っておりません。
青年たちにアドバイスしている内容は、全て自分で人体実験(笑)して効果があった改善法だけを伝
えています。自分をより良く成長させられる生き方を提案しています。
ですから、こちらの期待値に近づけるというよりも、彼らがどう化けるか(笑)を楽しみにしているので
す。いろんな化け方があって、“らしさ”が出てくればいいんです。
ニート層に関して申しますと、なぜ彼らが健全な職業意識、就労意識が育っていないかというと、
社会の中で働くということに関して、手本となるような、憧れとなるような仕事人が周囲にいなかった、
仕事に対して、やりがいや生きがいをもって取り組んでいる大人がいなかったということがあげられ
ます。
残業で遅く疲れ果て、グチをこぼし、休日も接待ゴルフでいない会社員の父親に育てられ、「絶対に
会社員にだけはならない!」と言った青年もいました。
私が訪問支援をする場合というのは、どーしても自室や家から出られないとか、頑固に意地をはっ
ている(笑)場合だけです。 “どーしても”のみです。
しかし、この“どーしても”が当協会の場合は、前回にもお伝えしていますように、意外(?)に少ない
んです。
たとえ長期のひきこもりの場合でも、訪問まで至らずに、本人が動き出します。
もちろんそれは、やることをやればの話です。
では何をやるのかということですが、
それは家族の当事者本人への真の寄り添いです。
うわべだけのまやかしの寄り添いではなく、誠の真の寄り添いです。
それが何かは、是非〈たらちねサポート〉https://www.interbrain.co.jp/topics/ へ参加してみてくだ
さい。
前回ご紹介した調査結果で、ひきこもり経験者、その家族の相談スタッフの対応を期待している理由
として、「専門性や資格よりも、ひきこもりのことを理解し真剣に取り組んでくれる人を相談相手として
望んでいることを示している」とありました。
これについても私は、ひきこもり長期化の一因であると述べました。
その理由をお話ししましょう。
何でも経験者が一番の理解者であるというのは、うなづけると思います。
確かにそうです。
しかし、こと“ひきこもり支援者、問題解決者に経験したことだけで適正か?”となるとちょっと
違ってくるんです。
精神科医の斎藤環氏がやはり、「経験者が向いているとは限らない」といった見解をお持ちである
ことは、前々回https://www.interbrain.co.jp/blog/2009/03/post-88.php ご紹介しました。
私は、別の理由で同じ意見をもっています。
どういう理由かといいますと、
ひきこもりになる青少年たちは、あらゆる事象をとらえる時の選択肢が非常に限定され、偏っている
のです。自身の経験への意味づけに多様性がないのです。それは、親ごさんも同じです。
だからこそ、傷つき、そして、ひきこもるという行動しか選択できなかったのです。
こちらのブログhttp://forum-hokushin.weblogs.jp/blog/2009/03/post-2a61.htmlも参考にして
みてください。
ですから、ひきこもりを経験したからとか、わが子のひきこもりを経験したからとはいっても、必ずしも
相談者、支援者に適性とは言い難いのです。
不登校、ひきこもりの問題解決の際に大切なことは、一般的解答ではなく、あくまでも特定解を見い
だすということです。
特定解というのは、「この子にとっては」という視点から導きだされるものです。
一人一人資質も、家族背景も、成育歴も違います。
経験者であっても、それは「自分の場合はそうだった」に過ぎません。
「自分がそうだったから、他もそう」ではないのです。
よく、勉強熱心な親ごさんが、いろんな関連書を読み「結局どうすればいいか分からない」と判断に
困ったり、当事者が書いた本を読み「自分には参考にならない」という感想をもらす当事者たちは、
誰にでも当てはまるような一般解を期待するから分からなくなるんです。
特定解を導き出すというところになると、自身の経験だけでは追いつかない部分があるのです。
こういったところからも見えてくる問題は、「ひきこもり支援に何が必要か?」といったところが
不鮮明なまま、様ざまな論議がされたり、思いつき支援策が講じられていることです。
安易な訪問支援が及ぼす弊害はないのか、訪問せざるを得ない場合のその目的は?などにも関連
することですので、次回までこのテーマに言及しようと思います。
ひきこもり無償支援活動〈たらちねサポート〉事業
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熊本市内近隣地域はご自宅までお伺いもできます。(交通費実費/熊本市役所からの距離による)
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NPO法人地球家族エコロジー協会
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2009年3月23日 19:10
必要なことは訪問支援か?
ある全国規模の家族会による調査資料を見ました。
来年度より始まる「ひきこもり地域支援センター(仮称)」に望む支援内容について、家族429名、
本人83名に調査した結果です。
家族が求める専門性と本人が求める専門性で、共に多いのが臨床心理士でした。
次いで、ひきこもりを経験した相談スタッフや当事者家族の相談スタッフでした。
私はこの調査内容を見て、「やはり、で、あったか」という感想をもちました。
どういうことかお話ししましょう。
このそれぞれの結果に対してこの会では、
臨床心理士への期待が高いのは、「心理的援助の専門性を求めている」
ひきこもり経験者、その家族の相談スタッフに対しては、「専門性や資格よりも、ひきこもりのことを
理解し真剣に取り組んでくれる人を相談相手として望んでいることを示している」と述べています。
「で、あったか」という私の領解は、ここにひきこもり長期化の一因がやはりあったという納得から
のものです。
今回と次回、二回にわたって論じたいと思います。
先ず心理的援助の専門性として臨床心理士をあげているところですが。
調査結果を見ても、医師や産業カウンセラーへの期待度に比べはるかに高い割合です。
この点の何が問題か?
臨床心理士は、対象者の病理性に対して治療的視点に立っています。
障害や目の前の問題を軽減させることを目的として、個人の援助を行います。
では、ひきこもりという状態(病名ではない)が必要とするものがそこにあるのか?
実は、ひきこもり状態の青年たちに必要なことは、発達的視点に立って、自立を目的とし、問題の
除去で終わらず、その後の自立のための意思決定過程を援助することなのです。
この辺りに関しては、当協会サイトhttps://www.interbrain.co.jp/psychoeducation/をご覧下さい。
個々人が自分の資質を最大限に生かし、自分の環境を利用して、よりよく適応・成長するのを援助
する。それは、各々の人生を建設的かつ創造的に生きていくために必要とする心理学的援助である
わけです。
また、ひきこもり問題は、当事者個人の問題ではなく、他者(主に家族)、環境との相互作用におけ
る問題ですので、個人の内的環境に焦点をあてた臨床心理の視点ではそぐわない部分が多いの
です。(『カウンセリング心理学』渡辺三枝子著参照)
これらのことは、不登校児童がスクールカウンセラー(主に臨床心理士)に相談したものの、ただ話を
聞いてくれるだけで、具体的な改善法は全くなかったとか、自分が話せない時の、沈黙の時間(カウン
セラーが黙っているから)に耐え切れず、相談室に行かなくなったということなどからも実感している
方もおられるでしょう。中には、カウンセラーに気をつかい、しゃべりたくないのに無理にしゃべってい
たという笑えない事例もありました。
ひきこもりの事例でも、4年間もの間社会的自立のために真面目に臨床心理士のカウンセリングに
通い、具体的自立策も与えられず、業を煮やし「30歳になってしまいますが、今のままで大丈夫なの
でしょうか?」と尋ねたら、「私じゃ手に負えないから精神科にでも行って!」と言われて、うなだれて
父親に伴われて当協会へ来た青年もいました。もちろん精神科にも行く必要の無い青年でしたが。
当協会の支援法では、ほとんどのケースが訪問支援を行わなくとも、親御さんに伴われて自ら出向
いてきます。それはご家族に共に動いてもらうからです。
たまたま本人が動けるケースが多かったということでしょうか?
それにしては、ひきこもり期間も長いですし、年齢も高いのですが。
もしそうだとしたら、前回から訪問支援活動(アウトリーチ)について述べていますが、そもそも訪問
する必要のない家庭に懸命に訪問しようとしているのではと疑念も出てまいります。
実際、当協会の事例でも、もし親御さんに動いて頂かず、本人を動かそうと思えば、訪問するしか
なかったでしょう。
これらのことから、訪問支援活動が必要なのか、そもそも、ひきこもり問題解決のためには何が
必要なのかを、改めて問い直すことの重要性を論じたいと思います。
もちろん、訪問支援活動が必要なケースもあるのは事実です。
ではその訪問支援活動に真に必要なことは何かも述べたいと思います。
ひきこもり無償支援活動〈たらちねサポート〉事業
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2009年3月21日 17:41