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解決支援者の現場日記 : 旧ブログでタグ「千葉県市川市欠真間」が付けられているもの
引きこもり打開したい
年が明け早々に傷ましい事件が起こりました。
昨日、千葉県市川市欠真間(かけまま)で、17歳の通信制高校一年が父親を刺し殺した事件です。
調べに対し、この少年は「引きこもりを打開したくて刺した」と供述しているとのこと。
中1の後半から不登校だったそうですが、昨日のTVニュースでは、小学生のころは、明るくクラスの
人気者だったと報じられていたようです。
今朝の新聞には、事件前日にインターネットの掲示板に本人と思われる書き込みがあったと記されて
いました。 内容は、
「愛する父を殺そうと思っています」
「明日にはすべて結果が出る」
「これは一時的な衝動。人間としては決して父を嫌ってはいない。いや嫌ってはいるけれど」
以前のブログhttps://www.interbrain.co.jp/blog/2008/11/post-64.phpで、私は、芹沢俊介氏の
「引きこもるという情熱」の中で、氏が引きこもりの失敗と称して、自らが主張する「正しい引きこもり」
ができなかったら、凶悪犯罪者にもなってしまうといくつかの事件を引き合いに出し述べていることに
対して、一部のメディアや氏のような評論家たちが、ひきこもり=犯罪者予備軍といった誤ったイメージを
社会に与えていることに強い憤りを感じるということを述べました。
また、https://www.interbrain.co.jp/blog/2008/11/post-65.php で私は、昨年3月に岡山駅のホーム
であった18歳の少年による突き落とし事件にふれ、少年と父親との関係が事件を誘引したことについ
て述べました。
今回のケースでも、少しずつ詳細が明らかになっていくでしょうが、事件の当事者がたまたま不登校や
ひきこもりであったということで、不登校、ひきこもりが、事件を起こし易いといったことではまったくあり
ません。
しかし現実には、こういった事件が報道されると、「下手に本人に説教したり、刺激するのは良くない
から、黙ってほっておいた方がいい」といった軽薄な考えに至ってしまうことも少なくないようです。
先のhttps://www.interbrain.co.jp/blog/2008/11/post-64.php で私は、ただ待つことは、問題の
見送り、先送りにしか過ぎないことをお話ししました。
これはかえって、事態を深刻化させ、結果的にこのような事件を誘発させることになりかねません。
今回の少年が言っているように、まさに衝動的にです。
少年は、「人間としては決して父を嫌ってはいない」と記述していますが、
「決して父を嫌ってはいけない」という意味が込められているような気がします。
その後に「いや嫌ってはいるけれど」とあるからです。
「愛する父」とも言っています。
ニュースでも、父親とは決して仲が悪かったわけではなかったように報じられていました。
「嫌ってはいけない」と思えるほど、父親に対して感謝や慕っていたところがあったのではないでしょう
か。
その一方で、うとましく思えるところがあったのでしょう。
岡山の事件の少年のような、父親への信頼感の裏返しだったかも知れません。
今回の少年は、引きこもりを打開したいことを動機として述べています。
であれば、この父親が引きこもりから抜け出せない理由になっていた可能性があります。
「父親が抜け出せない理由に?」
怪訝に思われた方も多いかも知れません。
しかし、実は“ひきこもり”という現象は、親と子の共同作業によって長期化するのです。
つまり、わが子がひきこもり、「思うようにならない」「親亡き後この子はどうなるだろうか・・・」と苦慮し
ている親自身が、長期化に一役も二役もかっているということなのです。
かねての支援活動の中でも、第三者の介入が始まり、まさに本人に変化が現れだしたとき、親がその
変化を留めようと障壁になる場合があります。
これをオートパイロット現象と言います。
ひきこもりの状態から変化が始まろうとすると、これまでのひきこもりの元の状態に自動的に戻そうと
してしまう現象です。
わが子がひきこもっていることがあたりまえ、自然な普通の状態となってしまっているのです。
そこから外れると自動操縦(オートパイロット)で元に戻すのです。
もちろん、親にはその自覚はありません。
だからこそ、怖いのです。
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2009年1月 9日 20:31