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解決支援者の現場日記 : 旧ブログ 家族問題 16ページ目
見えないものを観る眼
私が講演や講座で心がけていることは、かねて関わっている青少年たちの生の声を伝えることです。
そういう意味では、すべてが体験していることばかりです。
私自身かねて父親業をやっていますので、彼らから聞かされる内容は、身につまされる思いでいつも
います。
この子達が味わったことを、わが子に同じように味わせることをしていないかと心配になることも度々
です。
それほど、親が気づかないところで子どもたちにダメージを与えていることがあるのです。
相談や質問などで「子どもたちの心が見えない」とは、しょっちゅう聞かれることです。
しかし、子どもたちはハッキリ伝えてくれています。
「認めてほしいだけです」と。
マスローの欲求階層論というものがあります。人は食欲や性欲といった「生理的欲求」が満たされ
て、恐怖や不安からの自由「安全欲求」を満たそうとし、安全が確保された段階で自分の居場所を
求める「所属と愛の欲求」が生じ、そして次に周囲から評価してほしいという「承認欲求」を充足させ
ようとします。
欲求階層論については、無料レポートに詳しくありますので、是非ご購読ください。
不登校やひきこもりの青年たちは、生理的欲求こそ満たされてはいますが、幼年期に安全を
脅かされ、学生でもない、社会人でもない無所属派となり、疎外感を感じながら周囲の評価に怯え
ています。
家庭にも居場所を失った子どもたちには、安全な帰る場所が必要です。
そしてそこでは、ありのままを認めてあげる環境が求められます。
「褒めて育てる」とよく言いますが、褒め言葉はなかなか難しいものです。
だったら認めてあげましょう。
承認とは「期待」と「信頼」です。
物事を頼み、任せ、尋ねることをすれば、わが子への期待と信頼が伝わります。
何よりもわが子に「ありがとう」が言えます。
「ありがとう」は相手への絶対肯定の言葉です。
「ありがとう」を言われなれている子どもたちは、「自分は必要とされている」「自分には価値がある」
という健全な自尊心が身につきます。
逆に「ありがとう」を言われずにきた子どもたちは、何に対しても自信をもてないでいます。
子どもたちが求める「期待」と「信頼」はあるがままに期待してもらいたい、そのままで信頼してほしい
ということです。
子ども達が承認をどれだけ求めているかは、自分自身がわが子にどれだけそれを求めているのか
を考えてみるとわかるでしょう。
親として信用してほしい。
親を頼ってほしい。
でもわが子は、「親なんかあてにしていない!」
「いつも裏切られるから信用できない!」
「どうせ信じてくれないから!」
と嘆きます。
その言葉に、どれだけ親としての自尊心を打ち砕かれたことか。
「どうして親の気持ちを分かってくれないのか・・・」
子どもたちは、同じ思いを経験してきたのです。
わが子の心が見えるためには、見えないものを観る眼が必要です。
子どもの行為、行動の裏にあるものを観察、洞察する眼です。
見えているものだけで、判断していませんか?
「学校に行きなさい!」
「とっとと働きなさい!」
「ダラダラするなっ!」
子どもたちは言います。
「なぜ気づいてくれないのっ!」
気づきは発見です。
行為に隠された意味を読み取る感性です。感情に共鳴し実感することです。
ありのままを認めてあげるひとつのやり方をご紹介しましょう。
子どもが考えたり、意思表示をしたり、何かに取り組んだ時、
「スゴーイ!」
「さすがだね~」
「すばらしい!」
「なるほど~っ!」
「こりゃ、おどろいた!」
「いやぁ、勉強になったよ!」
などの言葉をかけてあげてください。
感心できる感性が大切です。
考えずに感じてみてください。
ひきこもり無償支援活動〈たらちねサポート〉事業
https://www.interbrain.co.jp/topics/2009/05/post-2.php
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大野城市総合福祉センター 午前10時~正午 (要予約 0120-870-996)
詳細は https://www.interbrain.co.jp/counseling/
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5月26日 (要予約 0120-870-996)
八代市厚生会館
5月27日 (要予約 0120-870-996)
和水町中央公民館
【北九州出張相談会】
5月20日 (要予約 0120-870-996)
北九州市立生涯学習総合センター(北九州市小倉北区大門1-6-43)
NPO法人地球家族エコロジー協会
福岡県大野城市つつじヶ丘6-4-21
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2009年5月19日 18:31
5月福岡たらちねサポート
昨日は福岡エリアの「たらちねサポート」でした。
ちょうど母の日でしたが、一組のご夫婦と5名のお母さん方が参加されました。
この〈たらちねサポート〉事業は、自助グループの形態を取ります。
「自助」というのは、自らを助ける、自らが助かるという意味ですので、単なる当事者同士の交流の場
ではなく、どう自分を支え、問題を解決していくかを学びあう場です。
そこには自己責任に基づいた主体性の発揮が求められます。
わが家で起きている目の前の問題(不登校やひきこもり)を自覚できている親御さん方が、その解決
のために、決して目をそらさず、真正面から問題、課題に向き合っていく。
問題を受容できてこそ、解決のためのスタートラインに立てるのです。
血縁、地縁を超えた、問題縁、課題縁によって初めて出会った親御さん同士が、共に解決を目指して
認め合い、励ましあい、支えあって会を運営していきます。
この自助会には、大きく三つの目的・機能があります。
(1)分かちあい これは、縁を大切にし、互いの痛みへの共感、解決のための有益な情報の共有
です。子どもの状態をより理解することで、わが子へ寄り添うことが出来ます。
(2)ときはなち これは、罪責感などによって押し込められた心を解放し自分だけの考え(我執)
から離れる。 自分を許し、自尊感情を取り戻すことです。
(3)ひとりだち これは、責任転嫁の連鎖を止め、自分を深く観察し、成長させていくことです。
これらの機能により、謙虚さ、素直さ、正直さ、誠実さ、豊かさ、感謝、意欲、自尊心、奉仕の精神
といった心性が養われ、長期化をくい止め、解決が促されるのです。
ひきこもり無償支援活動〈たらちねサポート〉事業
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5月15日 (要予約 0120-870-996)
熊本市青少年センター(熊本市新屋敷1-18-28)を使用させていただきます。
熊本市内近隣地域はご自宅までお伺いもできます。(交通費実費/熊本市役所からの距離による)
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八代市厚生会館
5月15日 (要予約 0120-870-996)
和水町中央公民館
【北九州出張相談会】
5月20日 (要予約 0120-870-996)
北九州市立生涯学習総合センター(北九州市小倉北区大門1-6-43)
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2009年5月11日 19:30
出世間
「この子のひきこもりに取り組んだことで、初めて夫婦になれたような気がします」
「この子のお蔭で、家族がまとまりました」
「わが家の一大事も悪いことばかりではありません。多くのものを得ることができました」
これらの言葉は、家族支援を行っていく中で、しばしば聞かれる言葉なのです。
いずれも、目の前の厳しい現実に立ち向かっていった家族がたどりついた心境です。
私はこの言葉を聞くたびに、家族の蘇生力、絆の尊さに感動します。
不登校やひきこもりに限らず、様ざまな「問題」が長期化する背景には、『世間』というものがあります。
この『世間』という言葉は、もともと仏教の言葉です。
俗世間を表す言葉で、社会一般を示しているように使われていますが、「社会」とは違うものです。
政治家や財界人などが何らかの嫌疑をかけられたとき、しばしば「自分は無実だが、世間を騒がせた
ことについては謝罪したい」と語ることがありまが、この言葉を英語やドイツ語などに訳すことは不可
能だそうです。(『「世間」とは何か』阿部謹也著)
世間は社会ではなく、自分が加わっている比較的小さな人間関係の環なのです(同書)。
長期化の背景にある「世間」とは、“世間の目”です。
相談機関に足を運ぶまでに、事態が起こって一年以内ということはまれです。
だいたい数年を経過しています。
数年前に一度当協会に相談に来られ、再訪されるケースもあります。
一度足を運んだだけで、具体的な解決行動まで踏み出せず、さらに期間が過ぎての再訪です。
もちろん、事態がさらに深刻化したために、切羽詰って来られたわけです。
なぜこのように、解決のための具体的な行動に出るまでに時間を要するかというところに「世間の目」
つまり、世間体がかかわってくるのです。
もちろん子どもが学校に行き渋りだしたり、部屋に閉じこもりがちになっても、しばらくは様子をうか
がっているものです。
しかし、「どうもこれはただ事ではないな」と思い出してからでも、なかなか動き出せないものです。
「うちの地域じゃ、離婚だって話せないぐらいです」
「親戚にすら黙っています」
親から「出歩くな」と言われたひきこもり青年からの話もありました。
実の姉にも10年以上の妹のひきこもりを黙っていた母親もいました。
これらはすべて「世間体」を考えてのことです。
全国組織のひきこもり親の会の提言にも以下のような内容がありました。
『引きこもりを形態としてとらえると「世間体」が悪く隠しそのことに因り、内在化させ深め、エンドレス
の悪循環に陥る。身体で例えれば“肺炎”だよと病状と割り切り解釈すれば「世間体」も悪くなく、
病気なのだから、施療に取組み回復へ向かい、中間施設や社会参加への道が開かれる。
これが欧米での世界標準のやり方だ。日本の全関係者もそろそろ腹をククッテ行こう!』
いかがでしょうか?
あなたをこの提言をどうとらえられますか?
「そうそう、病気だったら世間体は保てるわ」とお考えですか?
肺炎ならまだしも、実際この団体が病名としてあげているのは、
気分障害(うつ)、社会恐怖症、強迫神経症、パニック障害、PTSD、ADHD、摂食障害、躁うつ病、
自閉症、広汎性発達障害、統合失調症と精神障害などのてんこ盛りです。
わが子が何かを思い煩っているだけで(病気でもないのに)、世間体をごまかすために、これらの病気
だからと割り切れますか?
「世間体」を気にするのは、先に例であげたように日本人の民族性だと思いますので、「一切気に
しないこと」とまでは申しません。
私自身、何事にも「世間体」を一切気にしていないかと言いますと、そう言い切れるほど自信はありま
せん。
ただ、「世間の目」をはぐらかすために、問題をすり替えてしまのは新たな問題を生じさせてしまい、
道が開かれるどころか危険ですらあります。
私が、病気ではなく長きに渡ってひきこもっていた青年たちと対していて感じるのは、彼らもまた、
過剰に「世間の目」に怯えています。
これに関しては、当事者向けのブログで述べていますので、こちらも読んでみられてください。
http://forum-hokushin.weblogs.jp/blog/2009/04/post-bdea.html
仏教用語で「世間」と合わせて「出世間」という言葉があります。
これは、“世間を超えた”といった意味です。
ですから、世間を無視するとか、否定するといったことではありません。
「世間体」をとりつくろうために問題をすり替えるのは、無視や否定と同じです。
世間を超えるというのは、世間の通念をわきまえた上で、次元を変えるという意味です。
例えば、「家出」と「出家」では全く意味が違ってきます。
同じ家を出る行動ですが、その目的から全く次元の違う話になります。
タイでは、男性は一定期間出家する慣習があるそうです。家族のために徳を積む目的です。
家出されては気が気ではありませんが、出家であれば家族の幸福のためですから、皆喜ぶのです。
常識という言葉で表現すれば、「出世間」というのは、超常識ではあっても、決して非常識ではない
ということです。
私は、この「出世間」という考え方を勧めます。
たとえ「世間」の誤った誤解、偏見があったにせよ、無責任な批評、風評に迷わされるのではなく、
わが子の何を守ってあげるべきかをよくよく考えるということです。
わが身の「世間体」を優先させ、わが子のこれからを粗末にしていないか。
わが子の成長と可能性を大切にするための行動を選択していくことが世間を超えるということです。
近視眼的なとりつくろいの行動ではなく、大局観でわが子の行く末を幸福にする行動をとることです。
「世間」の認識、理解の足りなさが分かれば、世間の声の誤りにも寛容になれるはずです。
「世間」に申し開きが立たないことは、世間への迷惑よりも自分の利益を優先させてしまう行為では
ないでしょうか。
それこそが、人目をはばかる行為です。
わが子の不登校、ひきこもりは決して人目ををはばからなければならないことではありません。
世間を超える出世間の視点をそなえるために良い方法をお教えしましょう。
「世間」に“さま”をつけてみてください。
「世間さま」です。ニュアンスが違ってまいります。
「世間」に対してだったら、「ばつが悪い」という風になってしまいがちですが、
「世間さま」に対してでしたら、「お天とうさまが見てござる」の如く、畏れ畏(かしこ)み、天に恥じない
行動という風になります。
出世間を心がけてさえいれば、無責任な「世間の目」に動じることはないのです。
ひきこもり無償支援活動〈たらちねサポート〉事業
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2009年5月 2日 20:48
適切な対応ができるためには
【機能不全家族】という言葉があります。
この意味は、「家族機能が適切にはたらかず、問題解決能力が低いので、家族の発達的、状況的
危機に際して、的確な対応ができない家族」ということです。
子どもは常に変化しています。
だから、次から次へと、これでもか、これでもかというほど問題をもってきてくれます。
親としては、その都度、それに対して適切な対応が取れていかなければなりません。
しかし、どうすればいいかと考えあぐねることも少なくありません。
こういった場合、つい方法論、技法にとらわれてしまいがちですが、どういう行動を起こすかという、
その行動の精度(適、不適)を決めるのは、その問題に向き合う態度と、姿勢なのです。
態度・姿勢を左右するのは、かねての心がけと心がまえです。
子育てにおいては、最も心がけなければならないことは、コントロール幻想を捨てるということでは
ないでしょうか。つまり、無力さを知るということです。
私たち親は、つい期待という鎖でわが子を縛ってしまうことがあります。
わが子が自分の意のままにならぬことをすっかり忘れ、意のままにコントロールしてしまおうとして
しまいがちです。
だから、無力さをしっかり自覚する必要があります。
そのためには、謙虚さを養うことが大切です。
わが子に対しても、慎み、敬う姿勢をもつことです。
一人の人間として、人格、存在を尊重することです。
わが子とは言っても、わがものに非ず。決して所有物にしてしまわないことです。
謙虚さを養う訓練として私がお薦めしているのは、「お蔭さまで、ありがとうございます」を日常的に
よく使うことです。
私たちは、何ひとつ自分の力だけでやれることはありません。
見えないところ(蔭)で、支えてくれている人がいて成すことができています。
だから有り難いことですし、「お蔭さま」なのです。
適切な行動をとれるようになるためには、「受容」することが最初の入口です。
その受容ができるためには、何事からも学ぶ姿勢が求められます。
そのためには、常に成長・上達を心がけておくということです。
より困難な問題、課題を抱えた時ほど、そこから学ぶものは大きいものです。
でも、学ぼうという姿勢がなければ、ただただ悔いて、グチや恨み言を吐くことになります。
心がまえとしては、先ほど言ったように、知らないところでも誰かのお世話になっているのが実情
ですから、その恩に報いる報恩感謝の心がまえをもってことにあたることです。
報恩感謝なんていささか古いでしょうか?
古くても必要です。
わが子にも感謝です。
「子はかすがい」と昔から申しますが、調律師と表現した方がより相応しいと思います。
家庭のバランスの崩れをいち早くキャッチし、調和させようとしてくれています。
絶妙なハーモニーを奏でられるよう調律してくれるのです。
しかも、ある時は自分を犠牲にしてでも実行してくれます。
ありがたいではないですか。
心がけと心がまえができたら、あとは行動の方向を決める心向けです。
常にどこへ心を向けているかです。
つまり、価値観です。
どこに重点を置き、重心を定めるのか。
重点の置き所で、優先させるものが決まってきます。
【機能不全家族】は、問題解決能力が低いとありますが、何を問題とするのか、どの方向へ解決す
ればよいのかを判断するのも、この価値観です。
価値観次第で、問題解決にあたって優先させるものが違い、誤った解決策が講じられてしまうことも
でてきます。
問題に向き合う態度としては、受容するか、目をそらすか、固まってしまうか(フリーズ)です。
これらの態度を左右するのが、心がけ、心がまえ、そして心向けなのです。
ひきこもり無償支援活動〈たらちねサポート〉事業
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詳細は https://www.interbrain.co.jp/counseling/
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熊本市青少年センター(熊本市新屋敷1-18-28)を使用させていただきます。
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2009年4月16日 16:46
舵取り役の逆転
先日こういう質問を受けました。
「支援がうまくいかない場合はありますか?」
「どんな場合が結果を出せませんか?」
もちろんうまくいかない場合があります。
初期のころの苦い失敗体験もあります。
うまくいかないというか、時間がかかってしまうケースに多いのは、家庭の中で親と子の立場関係が
完全に逆転してしまっている場合です。
当協会の支援法では、当たり前の話ですが、ご両親に深く関わってもらいます。
当事者本人だけに現状改善を促しません。
当人も自分だけが問題視されては納得がいかないことでしょう。
ですから、ご両親に積極的に意識改革、行動改善に取り組んでもらい、これまでのわが家の歴史の
流れに変化をつけていただきます。
ですが、ここで本来舵取り役であるはずの親と子の立場が逆転してしまっていて、親が現状改善の
主導権を握れていない場合があるのです。
かといって、子どもの方が現状改善の主導権を握っているわけではありません。
子が握っているのは、現状維持の主導権です。
この背景にあるのは、長きに渡って子の意志(動きたくないという)を尊重し過ぎたために、意に反した
ことを今さら言い出せなくなっていることと、多少なりとも、これまで子どもの意志に寄り添えず、負担
を与えてしまって今の不登校やひきこもりがあるのだろうという自己反省から、これ以上負担をかけ
ることをためらい、わが子がいやがることを言えなくなってしまっていることです。
子どもからメモで指示された買い物をしてくる親。
部屋に食事を届ける親。
外出時の運転手代わりになっている親。
鍵のないドアを開けられないでいる親。
声をかけることもできなくなっている親。
などなど。
昼夜逆転して寝ている子どもをおこさないようにと、他の家族が息をひそめている家庭もありました。
仕事から疲れて帰ってきた家族の方が、足音にも気をつかっているのです。
これまでの生活パターンに変化をつけさせるためには、「めんどくさい」「おっくうだ」という事をあえて
させていかなければなりません。
負荷のかからないことをやらせても、何の意味もありません。
何らのはたらきかけもないまま、「相談所に行ってみる?」「家に来てもらう?」といきなり切り出す親
御さんもいます。
あたかも断わってもらうことを期待しているかのようです。
すんなり「うん、行ってみようか」というはずもありません。
これは、無意識の内に親御さん自身が、変化することをためらっているのです。
でも、それは認めがたいことですから、子どもがいやがっているということを行動に移せない口実に
してしまうのです。
人間心理の悲しさです。
不登校やひきこもりが長期化すると、いつのころからか当事者の生活スタイルを中心に家族の生活
がはこばれるようになっていきます。
こちら(支援者)から本人へのはたらきかけを指示しても、実行に移すまでに非常に時間がかかりま
す。ようやく実行できたかなと思うと、「本人がいやがっています」と頓挫します。
最後には、「本人のやる気が出るのを待ってみます」となります。
そしてまたここへ来て再び見守り(長期化)が始まるのです。
家庭運営の舵取り役は、あくまでも親です。
どうしたらいいか、どこへ行けばいいのかをわが子に尋ねる親もいます。
子ども自身分からないからもがいているのに。
現状改善、問題解決の主導権を握るためには、学ぶしかありません。
何が必要で、何を優先させるべきかを的確に判断できるようにならなければなりません。
学ぶことで理解でき、理解することで、わが子の痛みに寄り添うことができるのです。
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2009年4月10日 18:50
何のための訪問支援?
前回の訪問支援の記述に対して、支援団体の主宰者の方からコメントが入りました。
同伴支援ということを提示しておられます。詳しくはコメントをご覧下さい。
大変すばらしい取り組みだと思います。
私がかねて申しておりますように、ひきこもりは生き方の病です。
ですから、様ざまな生きざまに触れさせることはとても有意義なことなのです。
支援者としての私自身、何ものかを分析し、型にあてはめ、期待値に近づけるといったような支援法
をかねて取っておりません。
青年たちにアドバイスしている内容は、全て自分で人体実験(笑)して効果があった改善法だけを伝
えています。自分をより良く成長させられる生き方を提案しています。
ですから、こちらの期待値に近づけるというよりも、彼らがどう化けるか(笑)を楽しみにしているので
す。いろんな化け方があって、“らしさ”が出てくればいいんです。
ニート層に関して申しますと、なぜ彼らが健全な職業意識、就労意識が育っていないかというと、
社会の中で働くということに関して、手本となるような、憧れとなるような仕事人が周囲にいなかった、
仕事に対して、やりがいや生きがいをもって取り組んでいる大人がいなかったということがあげられ
ます。
残業で遅く疲れ果て、グチをこぼし、休日も接待ゴルフでいない会社員の父親に育てられ、「絶対に
会社員にだけはならない!」と言った青年もいました。
私が訪問支援をする場合というのは、どーしても自室や家から出られないとか、頑固に意地をはっ
ている(笑)場合だけです。 “どーしても”のみです。
しかし、この“どーしても”が当協会の場合は、前回にもお伝えしていますように、意外(?)に少ない
んです。
たとえ長期のひきこもりの場合でも、訪問まで至らずに、本人が動き出します。
もちろんそれは、やることをやればの話です。
では何をやるのかということですが、
それは家族の当事者本人への真の寄り添いです。
うわべだけのまやかしの寄り添いではなく、誠の真の寄り添いです。
それが何かは、是非〈たらちねサポート〉https://www.interbrain.co.jp/topics/ へ参加してみてくだ
さい。
前回ご紹介した調査結果で、ひきこもり経験者、その家族の相談スタッフの対応を期待している理由
として、「専門性や資格よりも、ひきこもりのことを理解し真剣に取り組んでくれる人を相談相手として
望んでいることを示している」とありました。
これについても私は、ひきこもり長期化の一因であると述べました。
その理由をお話ししましょう。
何でも経験者が一番の理解者であるというのは、うなづけると思います。
確かにそうです。
しかし、こと“ひきこもり支援者、問題解決者に経験したことだけで適正か?”となるとちょっと
違ってくるんです。
精神科医の斎藤環氏がやはり、「経験者が向いているとは限らない」といった見解をお持ちである
ことは、前々回https://www.interbrain.co.jp/blog/2009/03/post-88.php ご紹介しました。
私は、別の理由で同じ意見をもっています。
どういう理由かといいますと、
ひきこもりになる青少年たちは、あらゆる事象をとらえる時の選択肢が非常に限定され、偏っている
のです。自身の経験への意味づけに多様性がないのです。それは、親ごさんも同じです。
だからこそ、傷つき、そして、ひきこもるという行動しか選択できなかったのです。
こちらのブログhttp://forum-hokushin.weblogs.jp/blog/2009/03/post-2a61.htmlも参考にして
みてください。
ですから、ひきこもりを経験したからとか、わが子のひきこもりを経験したからとはいっても、必ずしも
相談者、支援者に適性とは言い難いのです。
不登校、ひきこもりの問題解決の際に大切なことは、一般的解答ではなく、あくまでも特定解を見い
だすということです。
特定解というのは、「この子にとっては」という視点から導きだされるものです。
一人一人資質も、家族背景も、成育歴も違います。
経験者であっても、それは「自分の場合はそうだった」に過ぎません。
「自分がそうだったから、他もそう」ではないのです。
よく、勉強熱心な親ごさんが、いろんな関連書を読み「結局どうすればいいか分からない」と判断に
困ったり、当事者が書いた本を読み「自分には参考にならない」という感想をもらす当事者たちは、
誰にでも当てはまるような一般解を期待するから分からなくなるんです。
特定解を導き出すというところになると、自身の経験だけでは追いつかない部分があるのです。
こういったところからも見えてくる問題は、「ひきこもり支援に何が必要か?」といったところが
不鮮明なまま、様ざまな論議がされたり、思いつき支援策が講じられていることです。
安易な訪問支援が及ぼす弊害はないのか、訪問せざるを得ない場合のその目的は?などにも関連
することですので、次回までこのテーマに言及しようと思います。
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2009年3月23日 19:10 | コメント(1)
地球家族エコロジーとは?
時折、協会の名称について尋ねられる時があります。
今回はこの法人名について少しお話ししましょう。
エコロジーとありますので環境団体のようですが、これは、“大いなる大自然に生かされている
ことへの感謝”を表わしています。
私たちは、すべて他からの恩恵を受けて生きています。だからこそ、“あたりまえの事をも与え
られた恵み”と感謝できる心性が必要です。
そして、生活するということは、その恩に報いていく行為です。よって、自己責任に基づいた報恩
としての行動が求められます。
また、家族エコロジーというのは、家族というものは、循環(円環)的な因果論により、家族それぞれが
影響しあっていることを表わしています。
つまり子どもの変容は、母親だけが原因とか、父親だけが原因とかではなく、循環と調和の絶妙な
バランスを維持している生態系(エコロジー)のように、連なりあう家族が互いに影響を及ぼしあっている
のです。
今や環境問題も一国の範囲の問題ではなく、地球規模へ拡大していっています。
世界の国の人々は、大地を共有しています。遠く離れた国に居ても、足を踏ん張っている大地でつな
がっています。まさに分析心理学のユングが提唱した集合的無意識のように人類を連なりあう存在と
しているのが、「地球」の大地です。
古来大和民族は、太陽をお天道さま、大地をうぶすな(産土)さまと大自然への畏敬の念をもって呼称
し、自戒の規範としておりました。
地球家族は、連なりあい、互いの自立性を保ちながら支えあい、活かしあって生きていく、大地(大自
然)に根ざした生き方、共生(Normalization)の家族を表現しています。
今回始まった〈たらちねサポート〉https://www.interbrain.co.jp/topics/2009/01/post-3.php は、
これまでの「ゆにわの会」https://www.interbrain.co.jp/yuniwa/ の実績を踏まえ、当事者が部屋
から出られないような状況からでも、両親のはたらきかけにより、動き出せる方法を公開するものです。
協会名に込められた理念の実際化として運営されるものです。
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2009年3月 2日 20:51
誰の問題か
ひとつの家族の中で、ひきこもりなどの問題がおこった時に、「誰の問題なのか」つまり「当事者は、
誰なのか」ということが大切な視点となってきます。
家族療法などでは、IP(Identified Patient)という言葉があります。『患者と見なされている人』と
いった意味あいで使用されています。
一般的には、ひきこもりや不登校の子供たちが、まさに患者(?)とみなされてしまっているわけです
が、当室では、家族そのものがIPつまり、問題を発生させている当事者ととらえています。
ところが、その当事者は、親は「この子の問題」ととらえ、子供は、「親が悪い。親の問題」ととらえ、
つまり、双方が互いに自分以外の問題ととらえていることが多いのです。
こうなると問題解決からますます遠ざかります。
自分自身の生き方、人生の中で生じているという認識に乏しく、互いが自分の人生の中に、不可抗力
的に他者の人生が入りこみ、被害を被ったという認識が強いようです。
ですから、親は「子が変わらなければ」と、子供は「親が変わらなければ」とそれぞれが、相手が変わ
らなければ、問題は改善しないと主張します。
中には、「私たち親がカウンセリングを受けても、本人が動かなければどうにもなりませんし」と言う親
もいます。当然事態は長引き、より深刻化します。
主体性を欠いた相手まかせの依存的姿勢になっていることに気がつけないようです。
この共依存関係がひきこもり家庭の特徴とも言えます。
ひきこもりも不登校も当人が動けないことが前提です。だから当然家族が動くしかありません。
それなのに「本人がいやがるから」と、現実認識を避けさせてしまうことが少なくありません。
親がどう動く事で、子供を動かしていくかに知恵をはたらかせなければなりません。
親もまた現実認識を避けてしまっていると言えます。
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2009年2月13日 19:39
受け入れることの困難さ
問題解決を考える時、先ずその問題を「受容」するということが大切になって参ります。
「受容」というのは、受け入れることと、引き受けることです。
つまり、目の前の現状をありのままに受け入れ、両目でしっかり見て、そらさないということです。
「如実知見」という言葉があります。如実に知見する。先入観などを挿まず、深く“観る”。
観察、洞察するということです。
そして、我が子を通した“自分自身の問題”として、自己の責任として引き受ける。
無益な犯人探しに時を費やすのではなく、互いが「問題解決の主体者は自分である」という意識を
しっかりともつということです。
長期の引きこもりのご家族のご相談を受けておりますと、長期化する要因が見えて参ります。
大きな要因としては、子どもの問題を通して、家族の問題、自身の生き方の問題に行き当たるから
です。
夫婦の問題、嫁姑の問題、親自身の生い立ちの問題、親の立場を離れた個人としての生き方の問題
などに向き合うことへの恐れが、現状を「受容」することを阻んでしまいます。
それは、それぞれが穏やかな安寧な暮らしを望んでいるからでもあります。
その問題に向き合うことが、一時暮らしの中にゆらぎが起こることへの不安があるからです。
変化することへの怖れとも言えます。
しかし、ここで認識しておくことが必要なことがあります。それは、今まさに目の前にあるわが子の
不登校、引きこもり自体が、家族それぞれが、その穏やかで安らげる安寧な暮らしを求めた経過の
中で、生じた“ぬくもりの争奪戦”の爪痕だということです。
人は今がどうあれ、現状にしがみつき、変化していく状況に抵抗しようとします。
問題に向き合うことでの一時のゆらぎは、まさに“一時”のことであり、親と子が互いに現状を「受容」
できるようになることで、共に求めた安寧な暮らしが実現できるのです。
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2009年2月10日 20:27
身近にあるひきこもり
今日は、私の会計事務所時代の税理士の先輩と話をする機会がありました。
数年ぶりの再会で懐かしい思い出話も聞けました。
そんな中、「顧問先にもひきこもりがいるんだよね」と話があり、あらためて、どこにもごく身近にこの
問題があることを実感しました。
かねて、ひきこもり当事者対象の講演会でなくても、必ずといっていいほど講演の後に話しかけてこ
られる方がいて、「ウチの近所に・・・」とか「私のオイが・・・」といった話が聞かれます。
それほど、日常的な生活のそばに“ひきこもり”という現象が起っているのです。
この先輩からも、不登校児童やひきこもり青年たちにいったい何をしていけばよいのか、何ができる
のかといった質問を受けました。
一般的には、<病院へ連れて行く=薬を飲ませる>といったことがイメージされているようですが、
何が問題であるのかが見えていない状態と言えます。
甘えを失くす?
やる気を出させる?
頭がおかしい?
それを治す薬でもあると言うのでしょうか。
精神科医の斉藤学氏はその著書の中で次のように述べています。
『学校制度を支えている教師たちの中にも、学校に来ない子を見てあわてたり、障害児と決めつける
人がいて、そこに過剰な心理療法主義に冒されて、社会というものが見えなくなった精神科医や治療
者がそろうと、現在の登校拒否問題の図式が一応できあがります』
『・・・むしろ治療の必要のない子たちが入院させられ、向精神薬を服用させられ、病院でしか暮らせ
ない人たちになってしまうことの害の方が恐ろしい』(家族依存症)
この著書は、16年も前のものですが、この傾向はいまだに強いことは、私も日々の活動の中で常に
感じています。
もとより私は医者ではありませんので、相談者に病理性がうかがえた場合は、連携している病院
(精神科)にお願いしています。治療ルートにのせることで、事態の改善が見られ、社会参加できた方
もいるのは事実ですが、多くは治療を必要とする状態ではない子たち、青年たちです。
では、何が彼らに必要なのかというと、それは訓練です。
社会へ健全な適応ができるようになるためのトレーニングです。
もちろんその時に大切なことが、かかえているトラウマの解放、昇華です。
不登校、ひきこもりの一要因にもなっているそれぞれのトラウマをそのままにして、生きていく力を
回復させることは困難です。
当事者たちに必要なことは、癒しではなく活かしなのです。
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