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解決支援者の現場日記 : 旧ブログ 不登校 16ページ目

見えないものを観る眼を養うためには

わが子の痛みに寄り添えるためには、「見えないものを観る眼」が求められます。 

心は臓器ではありませんので、見えません。

生理学的に脳を解剖したからとて、子どもが感じている心の痛みをそこに発見することはできません。

だからこそ、見えるものだけしか認識しない態度では、痛みに共感できようはずがありません。 

 

 

観るであって見る でないのは、見るは感覚器官のが見ているだけで、意志がなければ見えてい

ません。

観るは、心ので観ているのです。

「見えないものを観る」というのは、背景から読み取っていく観察洞察していくということです。

 

 

観音さまがありますね。

観音というのは、観世音菩薩の略です。

世音(衆生の声)を観て(聴いて)救済する仏さまのことです。

大慈大悲の妙智力といって、慈悲(母心)の象徴です。

 

 

学校に行っていないことや働いていないことだけを見て

「いいかげんにしなさい!心配かけないで!」ではなく、わが子の声無き声を読み取っていくのです。

 

 

「見えないものを観る眼」を育てることができる魔法の言葉をお教えしましょう。

お蔭さまで、ありがとうございます」です。

 お蔭さまというのが、背景(に居る人たち、諸条件、環境)です。

 

 

私たちは、見えないところの多くのものから支えられ生きています。

それらのすべてに感謝し、決して一人では生きてはいけないことの自覚が大切です。

「お蔭さまで、ありがとうございます」とかねてから口に出す習慣をもっていますと、自然と見えない

背景にまで心を配る姿勢が身につきます。

 

 

私がこの言葉を提唱しているもう一つの理由は、ストレス学説を提唱したカナダのハンス・セリエ

博士が、ストレスに克つ方法として、「それは東洋の感謝の原理です」と述べたことに起因します。

日本流で言えば、これが“お蔭さま”の思想なのです。

 

 

生かされている生命に支えられて生きていることへの感謝(エコロジー)をベースに、あたりまえの

ことをも与えられた恵みと感謝できる心性、即ち人間だけが持ち得る“霊性”というまさに人間らしさを

発揮し得れば、ひきこもりのみならず、現代人の心の荒廃を食い止めることが出来ると確信します。

 

 

これまでの支援経験から言っても、「おかげさまです」と謙虚に感謝の気持ちをもてない。なんでも

あたりまえと思っている親御さんたちほど、子どもだけをどうにかしようとしたり、子どものゆったりと

した成長を待てず、子どもの声なき声を聞けず、「~してやったのに」という恩着せがましい愚痴が

多いようです

 

 

「愚痴」という言葉は、もともと「智に蒙昧で愚か」という意味ですが、まさに智恵が足りないから愚痴

が出るのです。

愚痴・責任転嫁・自己正当化」は、確実に状況を悪化させます。

 

 

子どもは植物のように、環境を整え、それぞれの個性を活かし育てていくものだと思います。

決して親の都合で子どもの個性を埋没させてはならんのです。

循環と調和が自律的に保たれた大自然に対する謙虚さを失った人類が、地球規模の環境破壊を

招いてしまいました。

大自然の恵みを受け生かされていることへの自覚と感謝がない親御さんほど、自然の子である

わが子を思うように支配、コントロールしようとしてしまうのです。

 

 

 

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苦悩を苦労に変える

当然のことですが、わが子が立ち止まってしまい自分の殻の中に閉じこもってしまうと、どの親御さん

も疲弊しているものです。

わが子でありながら思うにまかせないいら立ちと、先の見えぬ不安から、憔悴しきっています。

無理もないことではあるのですが、どうにか少しでも緩和させることはできないでしょうか。

 

 

私共は、親御さん方に勧めていることがあります。

日々の苦悩を苦労に変えていくということをです。

苦悩」は、思い煩い、悩むことです。

まさに「煩悩」です。

そこには痛みが伴います。

 

 

苦労」は、その後に何らかの達成がありますから、きつくても辛くないのです。

では、苦悩を苦労にするためには何が必要かと言いますと、「」です。

達成すべく「志(目標)」があれば、過程での難儀はあっても、辛くはありません。

思い煩うこともないのです。

前へ歩むことにおいて、迷いがないのです。

 

 

目の前のわが子の問題を苦悩ととらえれば、痛みを伴いますので、どうしても避けようとします。

受容ができず、長期化するのです。

 

 

苦労は避けてはいけません。

苦労(手間)は、かけないと何事も成就しません。

米という字は、八十八の手間がかかるという意味があるそうです。

苗を植えただけでは、豊かな実りは得られません。

害虫を除き、雑草を刈り取るなどの手間をかけなければなりません。

 

 

子育てはまさに手間をかけずして、何の実りがあるでしょうか。

北九州、福岡、熊本のエリアでの「無償支援活動たらちねサポート」を実施している中でも感じる

のが、この苦労(手間)をいとう親御さんが少なからずおられるということです。

 

 

わが子の状態を理解し、寄り添うために学びを深め、子どもに意識づけをしていく行動をまず親から

始めることを煩わしがるのです。

わが子の問題を片付けてくれる代行屋とこちらを思っておられるのか、無償の支援でも動かない親は

動かないようです。

だからこそ、長期化するのでしょうが。

 

 

古歌にこういうものがあります。

世の中に 迷いのあるこそ 宝なれ 迷いなければ さとることなし

わが子に笑顔が消えたときこそ、わが子が元気に笑ってくれる有りがたさに気づけます。

人生には捨てるものなしです。

親としての在り方に気づかなければならないことがあるからこそ、わが子が苦悩してくれているので

そのことに気づけたとき、わが家のひきこもりが解決していくのです。

 

 

 

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責任からの逃避

ある新聞に「引きこもる大人たち」という連載があっていました。

この中に40歳の男性の事例がありました。

 

 

高校卒後、28歳で国立大へ入学したものの退学。

夜間に編入するもそこでも退学。すでに30歳を過ぎていた。

これまでにもバイトや就職も経験してきたが長くは続かず、資格勉強も現在やっているそうだが。

 

 

社会や政治の批判を延々と繰り返してきた男性は、親にも怒りの矛先を向けてきたとのこと。

大学合格がどんなに大変だったか。どうして努力を認め、ほめてくれなかったか

ここまで追い込んだのは親だ

 

 

親はそんな息子に対して、

「でることはいろいろやったけど、息子はなかなか変わらない。自分たちが育てられたように育てて

きただけなのに・・・」

「働け」と何度も厳しくしかった父親は、「神様はこういう人間もつくるんだな」と最近漏らしたとのこと。

ひきこもり家庭によく見受けられる風景です。

 

 

ここで気がついていただきたいことは、

「息子はなかなか変わらない。自分たちが育てられたように育ててきただけなのに・・・」

この「自分たちが育てられたように育ててきただけ」 ここが問題なのです。

 

 

自分が育てられてきた親の子育てを無批判に継承することは、決してよい選択とは言えません

例えば、両親のどちらかが親と早くに生死別し、係わり合いが少なく育った場合、自分自身も

子どもとの係わり合いが極端に少ない場合がよく見受けられます。

これは、生死別でなくても、肉体的にも精神的にもふれあいが少なかった場合も同じです。

 

 

子どもは親の背中を見て育つ

子どもは自然に育つものだ

これは、親の傲慢さ以外の何ものでもありません。

 

 

「自分も親とそんなに会話をしていたわけではないけど、ひきこもりなどなかった」

こういった声も当事者の親御さんからよく聞かれます。

親との情緒的交流が少なかったことなどから、成人してからの人間関係に支障をきたすことが

少なくないのですが、もちろんみんながひきこもるわけではありません。

子育てにこそ大きく影響するのです

自身の親との関係からの影響が自覚できていないのです

 

 

 また「息子はなかなか変わらない」と言っています。

これも子どもを変えるのではなく、親自身が変わる必要があります

子どもが変わってくれないとしたら、親が少しも変わっていないからです。

 

 

親自身がなかなか自分たちの側にも責任があることを認めたがりません

責任を負うことに対して、あたかも非難されていると取ってしまうからです。

 

 

「親御さんにも責任があるのですよ」と言うと、「私たちが悪いと言うんですか?」

と憤慨なされる方も少なくありません。

責任を負うべきと言っているだけで、「悪い」なんて一言も言っていないのです。

 

 

大学合格がどんなに大変だったか。どうして努力を認め、ほめてくれなかったか

ここまで追い込んだのは親だ

というのは、おそらく本音でしょう。

 

 

わが子が抱えた傷を理解しようと取り組み、痛みに寄り添うことなしに、現状に対してだけ叱責

すれば、子どもはますます自分の世界へ閉じこもります

 

 

この父親は、「神様はこういう人間もつくるんだな」とつぶやいたそうですが、責任を押し付けられた

神様もお気の毒です。

 

 

人は、他人に責任をもっていけなくなると、運やツキのせいにします。

神様までもっていっては救いようがありません。

責任から逃避し続ければ、最後には自分の人生から責任を取らされることを肝に銘じるべきです

 

 

 

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日本理化学工業

先日たまたまテレビを観ていましたところ、すばらしい企業の紹介があっていました。

日本理化学工業株式会社というところです。

 

 

この会社は、「ダストレスチョーク」の国産化に初めて成功し、唯一の文科省あっせんチョークとして

指定されているそうです。

 

 

この会社の何に感動したかと言いますと、昭和35年より重度障がい者2名の雇用から始まり、

昭和50年、国の心身障害者多数雇用モデル工場1号を川崎に設置したのを機に「障がい者と

社会をジョイントする」経営方針を貫いていることです。

 

 

現会長の大山泰弘氏は、当時障害者の方の仕事に対するひたむきさの理由が分からないでいた

そうです。

ある時、お寺の導師の方にそれを相談したところ、「あたりまえではないですか」と言われ、びっくり

しその訳を問うたそうです。

 

 

その導師は、人がひたむきになれるのは、四つのことが満たされた時。

それは、

人に愛されること、人にほめられること、  

人の役にたつこと、 人から必要とされること、の4つです。

働くことによって愛以外の三つの幸せは得られるのです

と答えられたそうです。

 

 

それを聞いた大山氏は、それまでの工程に人を合わせていた非効率を悟り、人(それぞれの能力)に

工程を合わせていく方法に切り替え、性能の高い機械、治具の工夫、生産工程の細分化と単純化

などによって、品質・生産性・管理面で高い水準を維持できるようにしていったのです。

 

 

社会は人、会社は人、組織は人とよく言われますが、はたしてその「人」のそれぞれの持ち味

どれだけ尊重できているでしょうか。

 

 

理化学工業で働く障害者の方たちは、自分たちでも役にたつことができ、ほめられ、必要とされる

ことに生きがいを感じ、仕事へのひた向きさを発揮されたのです。

これは、誰にでも共通することです。

 

 

導師は「働くことによって愛以外の三つの幸せは得られる」と説いていますが、それに対して大山氏

は、「その愛も一生懸命働くことによって得られるものだと思う」 と述べています。

私も全く同感です。

 

 

私はかねて、働くことは、「傍を楽にすること」と伝えています。

つまり、人に喜びを与えることです。

 

 

また、働きは役割を担うことですので、役に立つことで、自分の存在価値を高めることでもあります。

このことで自尊心が高められ、アイデンティティ(自分らしさ)が確立されるのです。

 

 

自分の個性が活かされると、人はイキイキできます。

心はウキウキうれしくなります。

そんな人間は、周囲の人から愛されます。

自分もまた人を愛することができます。

これからを憂えてばかりいて心を沈めている人間は、何の行動もとらず、ただただ心配あぐねて

います。

 

 

わが子をほめてきたでしょうか?

必要としてきたでしょうか?

かけがえのない存在であることを伝えてきましたか?

周囲の役に立てる人間であることを実感させてあげられるだけのことをしてきましたか?

 

 

人を愛することのできる子に育てていくことが、私たち親の務めではないでしょうか。

 

 

 

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高校での講座

福岡県青少年問題地域講座で某公立高校へ出向きました。

約50名の先生方を対象に不登校の背景をお話しさせて頂きました。

アンケートの内容をいくつかご紹介しましょう。

 

 

親の無関心が、子どもに存在価値がないと思わせ、夢や目標をもたなくさせる。
こんな風にならないように関心をもっと高めたいです。
私も子どもが3人いますが、親としてのかかわりを改めて気をつけたいと思いました。

 

躾の場で、存在自体への否定が二度と失敗したくないという気持ちにさせ、結果何にもチャレンジ
しなくなる。自己否定して辛い思いをしている生徒に自己肯定できるように修正を手伝いたい。

 

日頃から「一人一人の生徒をしっかり見て本当に必要な支援をしていかねば」と思いながらも、
無力な自分に「まだまだやれることはあるよ」とメッセージをもらったような気がします。
と言いながら、教員としての目以上に、我が子たちへの「親としてのまなざし ありかた」を全力で
考えてしまいました。誰より今日のお話で救われたのは、うちの子たちかも知れません。

 

何より講演が終わったあと、職員の誰と話しても「何より“我が子”に対する自分のダメさに
気づいた」という親としての思いが強かったので、「これは是非保護者の皆さんにも届けたい」
「私たちも教員としてではなく親として一緒に学ぶ場を設定してはどうか」と思い、さっそくPTA担当の
先生に言いにいきました。

 

私も次男が高校2年時に不登校となり、とても悩んだ時期がありました。今日のお話をその時期に
保護者として聞かせていただくことができていたら、子どもの気持ちももっと早くよく理解できてい
たのではないかと思います。
保護者の接し方、考え方が変わらないと子どもは自立して自分の人生時計をすすめることが
できないのです。
不登校の子どもをかかえている保護者に対してアドバイスしていただく場を設定していただけない
でしょうか。

 

 

学校で講演をおこなった場合、きまって先生方は、途中から生徒のことではなく、わが子のこととして

聞いてしまうようです。

それぐらい、どこの家庭でも充分起こりうるようなことなのです。

 

 

私がお話しする内容は、全て実例であり、当事者の子どもたちから聞かされた生の声です。

だからこそ、聞かれる方たちは皆怖くなるのです。

 

 

高齢者に聞いて頂く機会では、「自分たちは子育てが終わってもう間に合わないけど、孫のために

母親たちに話して聞かせます」といった感想が多いです。

 

 

私どもは不登校・ひきこもりの予防啓発のための講演活動もおこなっておりますので、色んな場

で子どもたちの叫びを聞いて頂けたらと考えています。

日頃子育から遠いお父さんたちにも是非聞いて頂きたいことがありますので、お声をおかけください。

講演依頼についてはこちらへ ⇒ https://www.interbrain.co.jp/lecture/

 

 

 

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わが子に蒔きおく種

 臨済宗中興の祖と称される江戸中期の禅僧白隠慧鶴施行歌というものがあります。

一節をご紹介しましょう。

 

 

今生富貴する人は  前生に蒔きおく種がある

利口で富貴がなるならば  鈍なる人はみな貧か

利口で貧乏するを見よ  この世は前生の種次第

多くの宝を譲るとも  持つ子が持たねば持たぬもの

少しも田畑譲らねど 持つ子はあっぱれ持つものぞ

 

 

ほんの一部の抜粋ですが、私はかねての支援活動の中で特に考えさせられる箇所があります。

それは、

 多くの宝を譲るとも  持つ子が持たねば持たぬもの

少しも田畑譲らねど 持つ子はあっぱれ持つものぞ

という部分です。

 

 

白隠禅師は、経済的なことで表現していますが、人並みはずれた能力があったからとて、必ず

幸福になれるかというとそうではない。 

親がわが子に財産を残したからとて、それに相応しい器の者でないと身上つぶしてしまう

お金など残さなくても、持つべき子は自力でしっかり財を成す。

わが子の繁昌祈るなら  人を倒さず施行せよ

と、わが子にはをのこすべきことを諭しています。

 

 

私が考えさせられるというのは、徳をのこすことはもとよりですが、わが子にのこす(植える)ものは、

自尊心自己信頼感であるべきだと思うのです。

自尊心自己信頼感が健全に育っていなければ、学歴をつけてあげようと親が努力して(それこそ

お金をかけて)も、不登校になったり、高学歴でも就職面接すら行けない。

また、せっかく大きな会社に就職できても、仕事のミスや上司からの叱責ひとつで、ひきこもりに

なってしまうことだってあるのです。

 

 

逆に自尊心自己信頼感が育っていれば、どんなトラブルやアクシデントに見舞われても、なん

とか解決してしまいます。

親身になってくれる協力者もいるからです。

 

 

私たちは人生早期の発達段階で、自身の人生の“前提”が決定されてしまっているようです。

しかもそれは、養育者に完全にゆだねられているのです。

 

 

前提とは何か?

自分が生きていく環境は、信頼できる人たちと安全に暮らせる環境であり、自分は周囲の人たちか

ら、愛され、求められると自分を信頼していける人生か、常に裏切られ、傷つけられることに怯え、

自分が生きていっていい理由、意義を見いだせない人生かということです。

 

 

どちらの前提で人生をスタートするのかが、養育者の関わり方によって決められてしまうのです。

そして、この前提をプログラムされたことには、本人は気づけず、特に否定的前提は、成人してのち

もあらゆる場面で手を出し、口を出し、本人を脅かします

 

 

ストレスに対しての脆弱性や、常に印象、憶測、気分で物事を判断し、否定的結論から前向きな

行動をとらない癖が身についてしまうのはこの前提のせいなのです

 

 

自分を信頼できれば、親から自立することができます

家族だけとの人間関係に依りすがり、自分の世界に閉じこもる行動は、自分を信頼できずにいる

からです。

 

 

誤った前提を与えてしまったわけは、養育者(親たち)が、自身の人生の初期に満たされなかった

欲求を子育てにおいて無意識の内に満たそうとしてしまったためです

それは、不適切で不健全なわが子への関わりとなり、存在に対してのダメージを与えてしまうの

です。

 

 

自尊心自己信頼感という種さえしっかり植えていれば、

少しも田畑譲らねど 持つ子はあっぱれ持つものぞ

で、親に与えられなくても必要なものはすべて自分で手にしていける人生を送ることができるように

なるのです。

 

 

 

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ビジネスマナー講習

今日は、プロの講師を招いてビジネスマナー(接遇)講習を行いました。

私はかねてから青年たちにコミュニケーションの手立ては、言葉だけではないということを伝えていま

す。

 

 

不登校児童でもひきこもり青年でも、共通してあるのがコミュニケーションスキルへの苦手意識です。

対人交渉が思うようにできない理由に“うまくしゃべれない”“気のきいた話ができない”といったことを

あげます。

しかし、実際の場面では自分を他者へ伝える方法は、言葉ばかりではないのです。

 

 

言葉以前に大切なことは、姿勢です。

どういう姿勢で他者と関わっていくかということです。

先ず、相対する相手の人格や立場、もっと言うと存在そのものへの敬意を示す姿勢が無ければ、

どんな言葉を連ねても、好意ををもって迎えられることはないでしょう。

 

 

袖すりあうも他生の縁」ということわざがありますが、そこで出会った縁はかけがえのないもの

です。

人との出会いは、出会おうと思って出会えるものではありません。

だからこそ、相手を尊重するという姿勢が必要なのです。

これをマインドマナーというそうです。

 

 

言葉以外のコミュニケーション手段で次にあげられるのは、表情態度身だしなみです。

笑顔も無く仏頂面で対していては、好感を与えることはできません。

 

 

顔には沢山の表情筋があります。

女性講師ならではの、表情筋の鍛え方、フェイス・エステを教えて頂きました。

私は、かねて青年たちには「笑う門には福来る」で、鏡を見て笑顔を作り、最高の笑顔を筋肉に

覚えさせなさいと言っています。

うれしいことがあってから笑うのではなく、笑顔にしていると、笑える状況になっていくものです

 

 

 清潔で明るい服装をして、背筋を伸ばし、胸を張っていれば、自信ありげで爽やかなイメージを

与えることが出来ます。

天を仰げ、胸を張れ!」です。

 

 

仕事柄決して信じてもらえないのですが、私は無口な人間です(笑)。

決して社交的とは言えず、積極的に自分から声をかけていくということを必要以上にしていく性格

ではありません。

しかし、これまで交友関係で悩んだことはほとんどありません。

父親が転勤族でしたので、転校もたくさんしましたが、その土地に順応するのは決して遅くはありま

せんでした。

 

 

私が取った方法は、服装や持ち物、態度で自分をアピールする方法です。

音楽にはまっていた時期には、ギターや音楽雑誌を片手に、いかにもバンドマンという格好をして

いましたし、武道で体を鍛えていた時には、体形を誇張する服を着ていました。

そのせいか、人相のせいか分かりませんが、けっこう後輩には怖がられていたようですが(笑)。

 

 

格好を見て、周囲からけっこう同じ音楽好きが声をかけてくることがありました。

その時、その時、自分が何に関心、興味をもっているかを折々にアピールしていました

こうやって、自分から声をかけなくても人が寄ってくる工夫をしていたのです。

人は、他人の関心ごとに関心があるものなのです。

 

 

態度としては、やはり礼儀ですね。

年齢や立場をわきまえて、礼をつくすということは社会生活の中で最も大切なことです。

礼儀作法というものは、ひとつの文化です。

文化は習慣であり、伝えられてきたより良く生きるための生活の知恵です。

ですから、それにのっとっていれば、性格や状況がどうあれ、人に不快や迷惑をかけることは最低限

ありません。

 

 

うまく気のきいた話ができないから人間関係が上手にできないのではなく、礼儀をわきまえていない

ことで、他人を不快な気持ちにさせ、人間関係が構築できないでいることが多いようです。

武道で言う「礼に始まり、礼に終わる」がやはり大切です。

これらをビジュアルマナーというそうです。

 

 

今の時代、多様化した価値観の中で様ざまな選択肢が用意されています。

その中にあって大切なことは、自己主張です。

自分が何を考え、何を感じ、何を知っているのかを周囲に伝えきれることは、身につけておかなけ

ればなりません。

もちろん、一方的にもの申すわけではなく、協調的で発展的な自己主張アサーションです。

そのためには、聞く姿勢(傾聴)アクティブ・リスニング大切です。

 

 

私は先に書いたように無口ですので、聞き上手になることに努めました。

「あなたの話に関心をもって耳を傾けています」という態度を示していれば、相手は勝手に(笑)話し

くれるものです。

相手に大切な情報を正確に伝える。これをテクニカルマナーというそうです。

 

 

 コミュニケーション・スキルへの苦手意識から、「話し方教室に行った方がいいでしょうか?」と言う

青年たちは少なくないのですが、言葉は表現の一手段に過ぎないということ。

それ以外の表現法の重要さを知ってほしいために今回講習を実施しました。

今後もひとつひとつのマナーをより詳しく指導していく予定です。

 

 

 

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自己否定の収集家

アディクション(嗜癖)というものは、「はまる」といった行為ですが、まさに何ものかにとり憑かれたよう

な状態にあります。

かねて接している若者たちは、自分をおとしめることにとり憑かれているようです。

いずれ劣らぬ自己否定材料の収集家です。

 

 

「自分なんかダメなんです」と吐き出すのみで、少しでも自信をもてるようになるための努力をするか

というと、全くその逆で、ますます自堕落な生活を送る。

「人に迷惑をかけていても努力ができない自分はダメ人間です」とさらに自分を否定します。

自分勝手な自分、怠惰な自分、弱虫な自分、心配をかけている自分、感謝できない自分、逃げる

自分を徹底的に否定します。

傍から見ていますと、痛々しいほど自虐的です。

 

 

こういった若者たちの根底にあるのは、罪悪感です。

周囲(特に親)の期待に応えられなかったという罪悪感です。

 

 

私たち親は、さまざまな期待をわが子に寄せます。

「期待」というとい聞こえはいいですが、我欲であることが多いようです。

自分が果たせなかったことを託すとか、自分の見栄のためにさせるとかというものです。

そんな期待にも、子どもたちは懸命に応えようとします。

 

 

また、子どもたちの方でも、親の意に反し、勝手に期待を読み取ってしまう場合もあります。

身内の集まりで、小さいころから「長男だから・・・」と言われることで、過剰に長男という役割を演じ

ようとした青年もいました。一族を背負っていくというような勢いで求められていない期待にまで

勝手に応えようとしたのです。

 

 

ある青年は、親のことを「勝手に期待して勝手に絶望するのは勘弁してほしい」と言っていま

した。

周囲の期待に応えられない自分を「期待を裏切ったダメな子」「親を絶望させた悪い子」という風に

感じ取っています。

 

 

こういった罪悪感が根底にあり、その罪悪感にみあった自分を無意識に演じます

さらには、その根拠となる状況を揃えだすのです。

それが、努力をしない、積極性を出さない生き方のスタイルとなります。

否定されるに相応しい自分をつくりあげます。

自信のもてる成長した自分は、自分らしくないのです

 

 

彼らに自信をもたせるための訓練を実施していく時に苦慮するのが、日々の体験を通して認識を

広げさせたり、新たな価値観を提供しようとしても、なかなか自分の身に置き換え、過去の経験と

すり合わせて習得することができないでいるのです。

なぜなら、これまでの罪悪感を抱えている自分に相応しくない、自分らしくない、主体的で発展的な

取り組みは、ことごとく無視してしまうからです

周囲の期待に応えられず、信頼を裏切るような自分は、成長してはいけない」この勘違いの

道理が現在の彼らの行動を規制するのです。

 

 

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行為が象徴するもの

相談者からの最初の訴えは、

学校へ行かないのですがどうすれば行きますか?

ひきこもって何も動こうとしないのですが・・・

親に対して暴力行為や暴言があるのですが、どうすればいいでしょう

といったものがほとんどです。

 

 

こういった状況の場合、先ず必要な視点は、これらの行為・行動には意味があり、何ものかを象徴

しているということです。

 

 

なぜ自分の部屋に閉じこもったり、暴れたりしたくなるかを斟酌せず、表面の行動だけをたしなめ

ようとしても解決にはつながりません

 

 

中には、「時期がくれば落ち着く(動き出す)から待ちましょう」と医療機関から助言されたり、暴れる

度に警察に通報していたケースもありました。

 

 

不登校やひきこもりの青少年たちにある傾向は、

強迫性反復性衝動性貪欲性です。

 

 

自分の見識に囚われ(貪欲性)、周りが何を言ってもそこから離れることができません。

強迫性というのは、無意識に動いてしまうことで、「わかっちゃいるけど、やめられない」の世界です。

気づいたらもうそうしています。

 

 

あきれるほど同じ不安を繰り返したり(反復性)、登校しない過ごし方、外出しない過ごし方を今日も

また繰り返します。

 

 

行動の多くは、明確な意思、計画に基づいたものではなく、その場の感情に突き動かされた(衝動性)

行動です。

 

 

人間の行動は、欲求に基づき促されますが、学校に行かない、対外的な生活をしないといった行動

は、その行為自体を望んでいるのではなく、本質的な(本心からの)欲求が見えなくなったことからの、

代替行為であり、隠れた本心の象徴行為と言えます。

 

 

ですから、その行為・行動がいくら繰り返されても、本心からの欲求が満たされることは無く、延々

その状態を変化させることはありません

 

 

では、隠れた(隠された)本心とは何でしょう。

 

 

例えば、学校環境は、管理評価の象徴です。

集団生活の中で、他者との比較で優劣をつけられます。

個々の独自性を尊重されるよりも、校則などにより標準的な枠組みへの矯正、学習能力による

序列化で、固有の名前のようにそれぞれの存在価値を確かめあい、認めあうのではなく、成績や

出席番号のような数字での管理がなされています。

 

 

そういった環境で、いじめなどによる疎外体験や「必要とされたい」「認められたい」といった承認欲求

が十分に満たされなかった子どもたちは、管理、評価の象徴の場を離れ、独自的な生き方を模索し

ます。

 

 

また、あるがままを許されなかった子どもたちは、親の期待に応えることでの存在意義しか見いだせ

ず、そのことに挫折したことに罪悪感を感じながら、社会からの「求め」に耐え、役割を担い、責任を

負うことなど到底できることではないのです

 

 

わずかな失敗によっても、評価をおとしめられる恐怖を抱えた青少年は、一切のしくじりから逃れる

ために不行動(ひきこもり)を選択するのです。

 

 

 

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親の学びとは?

時おり、「親が変わっていくために学ぶことの大切さは分かるのですが、子どもが不登校やひきこもり

になっていない家庭の親は、こういうことを知っているのでしょうか?」と訝しげに尋ねられることがあ

ります。

 

 

前回の父親の手記にもあったように、当協会では、親御さんの学習にかなりの時間を費やします。

それは、わが子の状況、状態を理解することで、痛みへの寄り添いを実行していくためです。

そういった中で、先のような疑問が投げかけられるのです。

 

 

私はいつもこうお答えしています。

「もちろんほとんどの親は、皆さんが今学習しているようなことは知らないまま子どもを育てていま

す。知らなければわが子が必ず不登校やひきこもりになるというわけではありません。

だからといって、子どもが自然に育っていれば必要ないというわけではなく、ご両親にとっては必要

だということです。

なぜなら、まさにわが子が何ものかを抱え、もがいているからです」と。

 

 

体の健康のことを考えてみてください。

特別治療を要するほどの病気になっていないからといって、そういった人たちが健康への詳しい

知識を学習していて健康を保っているわけではありませんよね。

しかし、さすがに病気ともなれば病院にも行き、治療法に関し多少なりとも学習しますね。

めだった病気がなければ、何らの学習は必要ないというわけではなく、健康を維持、増進するため

には、知識の習得、養生法や健康法の実践をやった方がいいんです。

 

 

そもそも健康に甘んじているのが不遜な態度なんです。

自分の努力で健康なわけではなく、体が健康を維持してくれているんです。

私たちがやっていることは、口に食物を放り込んでいるだけです。

後は、栄養の吸収、排泄、解毒からすべて体がやってくれています。

でも、そんなことも考えず、健康であることがあたりまえと思ってしまっていないでしょうか。

 

 

わが子が心身ともに健やかに育ってくれているのも、あたりまえではないのです

子どもの成長力、自浄作用などで育って頂けたんです。

ですから、子どもが非行や不登校やひきこもりになってないからといって、そこにあぐらをかいて

いると、大きなしっぺ返しがあります。

親の懸命な努力によってそうなっているわけではないのですから(笑)。

 

 

大学を卒業してひきこもるまで、非行も不登校も全く無いといったケースもあります。

わが子が社会人になってから、度々頭を悩まされるというケースもありますし、結婚してから悩まさ

れるケースだってあります。

めだった心配もせず暮らせているというのは、奇跡に近いんです。

 

 

私たちは、とかく何か派手な喜び事がないと、ラッキーを感じませんが、無事であることこそ、ラッキ

ーなことなのです

多くの事が重なりあって、連なりあって、無事が維持できているんです。

見えないところ、気づかないところで、ラッキーが積み上げられているんです

だから、「お蔭さまで、ありがとうございます」という姿勢が大切なんです。

 

 

そういったことから、実際にわが子が不登校やひきこもりになってしまった家庭では、親御さんは

なおさら懸命な学びが必要です。

「子ども自身の問題なのに、なぜ親が学習やカウンセリングが必要なんですか?」と言っている内

は、何も変わりません。

わが子が身を挺して学ぶ機会を与えてくれているのに、みすみす親として成長するチャンスをほうり

捨てているようなものです。

 

 

反省心の強い親御さんの場合、過去の懺悔から、わが子に厳しいことが言えなくなっていることが

多いようです。

しかし、これでは問題は解決しません。

育て直し再教育が必要である不登校、ひきこもり問題では、親御さんの家庭での関わり方が大変

重要となってきます。

もちろん、過去と同じ轍を踏んではいけません。

同じ誤りを繰り返し、新たな傷を与えては身もふたもありません。

だからこそ、学びが必要なのです。

 

 

また、これまで適切な関わりができなかった背景には、子育てにおいて後ろ盾となる精神的支柱

持ち得なかったからです。

その場その場で、何ものかに照らし合わせて考えてわが子に接するのではなく、「自分はこう育てら

れたから」という感じで接してはいなかったでしょうか。

「これで良かったかなぁ?大丈夫かなぁ?」と不安げな態度をとることはなかったでしょうか。

 

 

潔く自分の中でこれまでを反省すれば、懸命に学ぶことで、これまでのことは棚に上げて(笑)わが子

に接していけばいいのです。

問題解決のために、何を優先させるべきか、どう関わるべきかが分かってきます。

自信はなくても、学ぶことで子どもに積極的に関わっていく勇気を出せます。

 

 

両親の成長は、必ず子どもに好影響を与えます。

延いては、問題の解決へつながるのです。

成長というのは、何も完璧な親や人格者になるということではありません。

生きていくことに、より豊かさや幸福感を味わえるようになっていくということです。

ゆとり潤いを得るということです。

 

 

そうなるための学びを進めることで、わが子の育て直し絆の結び直しがはかられるのです。

その機会をわが子が与えてくれているというわけです。

 

 

 

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9月3日 (要予約 0120-870-996)
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