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解決支援者の現場日記 : 旧ブログ 不登校 12ページ目
ひきこもり支援に思う
先日、特別支援教育の研修会に参加する機会がありました。
参加者は、学校教職員の方々で、研究発表、模擬授業などもあり、参考になりました。
ADHDやアスペルガーなどの発達障害をもつ児童が増えてきているようです。
私共がかねて支援している不登校児童やひきこもりのご相談の中にも、発達障害であろう状態の
相談があります。
先生方も、一般の子ども達とあわせて教室内で指導するときに、様ざまなご苦労があるようです。
先生方は、もちろん発達障害の生徒を治すわけではありません。
できることできないことを見極めながら、能力のアンバランスをどう補っていくかを工夫しています。
そして、できることを少しずつ増やしていく。
そのことで、子どもたちの心の中に自尊心を育てていく。
発達障害の子どもたちは、環境調整ということで、周囲に理解者を置いておかなければ、対人的
トラブルを多く招いてしまいがちで、二次障害的に心に深い傷を抱えてしまいます。
そういったことを防ぐためにも、学校生活の中でいかに周囲に適応させていくかの様ざまな工夫が
必要になってくるのです。
研修会に参加して強く感じたのは、ひきこもりの支援においてもこのような場が必要であるという事
です。
どういうことかと申しますと、ひきこもりは障害ではないにしても、現状できないことを多く抱えていま
す。
もちろん、障害ではないので、適切な訓練を施すことによって、本来もつ能力が回復されてきます。
ですから、どのような訓練、支援が必要かを当事者家族に提供していかなければならないのに、
当事者家庭対象に行われている講演会や研修会などでは、講師として招かれている方の多くが、
医師や心理士、評論家(?)なのです。
先の特別支援教育の研修会の発表者は、全て現場の教師の方です。
治療者ではありません。
ですから、治療に対しての話や発達障害の説明は、あたりまえですが全くありませんでした。
ですが、とても役に立ちました。
医師や心理士などの話は、精神疾患、障害の説明ばかりで、ひきこもりの具体的な対応法は全くと
言っていいほど、出てきません。
せいぜい「時間をかけて見守りましょう」です。
これは対応法、解決策とは到底いえません。
当事者家族が求めているのは、解決のための手立てです。
ですから、ひとしきりの講演が終わった後の質疑応答で、
「それで結局どうすればいいのですか?」
といったような質問が出てしまうのです。
日々、子どもたちと現場で関わっている先生方が、互いに対応策を意見交換するからこそ、有益な
手立てが見えてくるのだと思います。
特に、治療を必要としない社会的ひきこもりに対して、医師らの病理の分析を聞かされても、当事者
家族は、落胆するのみだと思います。
障害は、治っていくものではありません。
ですから、障害をどう受け入れ、環境に適応していくかが、大切なところです。
ひきこもりは、障害ではないのですから、回復していきます。
ですから、なおのこと、社会へ段階的にどう適応させていくかを周囲は考えていく必要があるのです。
当協会のひきこもり無償支援活動「たらちねサポート」では、福岡、熊本で毎月、解決のための
具体的な対応策を公表しています。
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ひきこもり・不登校の相談解決
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2011年5月18日 16:05
ひきこもりの後遺症
「仕事に就けるためには、資格でもなければ」と、資格・技能の習得を促す傾向がありますが、注意
しておかなければならいことがあります。
ひとつは、「資格イコール仕事に就ける」ではないということ。
そして、もうひとつは、「資格イコール自信がもてる」ではないということです。
もちろん、『学校に通っておらず、働こうともせず、職業訓練も受けていない無業者』のニート
状態からは、一歩前進ではありますが、ここで申し上げることは、資格・技能がひきこもりから
脱する起爆剤には、必ずしもなるわけではないということです。
これまでも、自信がつけばという理由から、通信の大学を卒業した青年や、中には、国家資格を取得
した青年もいました。
しかし、「自信にはならなかった」という声も少なくないのです。
学歴に関して言えば、高学歴のひきこもり青年は普通にいます。
その青年たちは誰も、その学歴が「自信」の後ろ盾に成りえていません。
彼らが、コンプレックスを感じ、怯えを抱いていることは、他のところにあるからです。
中には、難易度の高い資格の受験生でいることなどで、自分がひきこもりであることを否認しようと
している青年もいます。
これは、親御さんも同じです。
「わが子は、ひきこもりなどではなく、受験生なんだ」と信じたいのです。
以前に、大学を卒業した後ある国家資格に挑戦し続け、30歳を過ぎ、自分が人と関われないことに
愕然とし、ひきこもりの相談会に参加し、その姿がテレビのニュースで放映され、それを偶然ご両親
が観て、親子三人で相談に来られた事例がありました。
親御さんも、テレビに映し出されたわが子の背中を観て、わが子がひきこもりであることを悟ったの
です。
親子で自覚、受容するのに、約10年を要したわけです。
ひきこもる青年たちには、社会的な所属がありません。
立場をもたないということです。
学生でもない。社会人でもない。病人(療養者)でもない。
無業者であるだけでなく、無所属派という状態です。
人間には、所属欲求というものがあります。
何かに所属(参加)することで安心感を得ようとします。
ひきこもる青年たちは、家庭ですら、所属しているという感覚が希薄になってしまっています。
「受け容れられていない」という思いが強いからです。
「戸籍から抜く」と言った父親や、また、親への反発心から自ら「戸籍を抜く」といった当事者もいます。
学籍を置くということは、その所属を得ることになります。
実質充分な修学がなされていなくても、立場を得られるのです。
その立場だけを得たくて、進学を希望する場合があるのです。
まさにモラトリアムです。
ひきこもる青年たちが抱えている怯えは、能力的なものよりも、もっと根源的なところから来ている
ものです。
存在の原初に関わるものです。
たとえ何かが出来る人間でも、結局は自分は誰からも認められない。
受け容れてもらえない人間
と信じ込んでいます。
それほどまでに自分を否定している青年が、履歴書に書ける程度の資格や免許を取ったからと
いって、それだけでは、社会へ入れる原動力にはなり得ないのです。
前回のこのブロクでも、震災の瓦礫に例えてお話しましたが、TVニュースでは、瓦礫の撤去に
100年はかかるだろうという報道もありました。
ひきこもりの期間が長ければ、長いほど、その後遺症とでもいうべき自己存在への不全感は、甚大
なものです。
家族にも数年間も顔を見せず、声も出さなかったことで、声を発することが怖ろしくてできないと
言った(筆談)青年もいます。
人が自尊心や自己信頼感といったものを失うと、自分が何者かということも分からなくなり、急激
に失速していきます。
それは、わが子が閉じこもり、無言の反旗をひるがえされ、全く力の及ばぬ状態になってしまった
親御さんが、親としての自尊心をなし崩しにされ、動きが取れなくなってしまっている光景からも、
歴然としていることです。
長期化の要因にもなっています。
青年たちの目線に立った、家族や支援者が多くなってこなければ、長期化は止まらぬでしょう。
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ひきこもり・不登校の相談解決
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2011年4月23日 20:20
ひきこもりの終わりは?
東日本大震災の連日のニュースは、現実のことかと受け容れがたい惨状を映し出しています。
その中で、懸命に生きていこうとしている子どもたちの笑顔に救われる思いです。
巨大な津波は、一夜にして全てのものを飲み込み、根こそぎ人々から大切なものを奪っていきまし
た。
散在する瓦礫をすべて片付け終わるのにどれほどの時間がかかるのでしょうか。
瓦礫がなくなっても、それから元の状態にまで復興していくまでには、さらに膨大なエネルギーが
必要になってくると思います。
ひきこもりという現象も、このような災害と同じようなところがあります。
ひきこもりが災害というわけでは、もちろんありませんよ。
外出ができない、部屋から出ないといった状態から、自分の意志で外出できるような状態になって
くると、それだけで、ひきこもりがあたかも終わった(解決)と捉えてしまう傾向も強いようです。
もっと言うと、「外出などは普通に出来ていたので、ひきこもりとは思わなかった」と、十年近く社会
生活を送っていない状態を見過ごしてきた事例も複数例あるほどです。
「外へ出られるんだから、バイトでも始められるだろう」
「これまでの遅れを取り戻すためにも、一日も早く仕事に就いてほしい」
「本人がやる気にさえなれば、できるだろう」
こういった声が、親御さんからよく聞かれることなのですが、これは、無茶な話というものです。
津波が通り過ぎたら、それで終わりでしたか?
残されたのは、無残な瓦礫の山です。
余震も未だに続いています。(昨日7日23時30分にも宮城県沖でマグニチュード7.4の余震)
ひきこもりの長期化により、あらゆる問題(残骸)が山積しているのです。
外出ができるようになったとはいえ、それは波がおさまったにしか過ぎません。
現状改善のための支援団体に通うようになったといっても、余震(不安感)はまだ続いているのです。
いつ、ひきこもりに戻ってしまうか、予断を許さない状態です。
ですが、この辺りのことが当事者家族も分かっておられないことが多いようなのです。
当協会では、ほとんどのケースで、訪問支援を実行せずに当事者の青年たちが、自分の意志で
出向いて参ります。
もちろん、そのようにご家族と動機づけをしていった、その結果です。
そこまでに至るまでには、様ざまな葛藤、一進一退があります。
ご両親は、これまでの自分たちのわが子への関わり方に、正面から向き合うことが必要です。
自分たちの過ちの大きさに、愕然としてしまうこともあります。
気づかない間にわが子へ与えてしまったダメージに、自責の念に押しつぶされそうにもなります。
そこまでの懸命な取り組みをしてきたにも関わらず、いや、そうだからこそなのか、当事者本人が
動き出した途端、油断が出てまいります。
「やり遂げた。もう、親としての役割は終わった」
「あとは、自分で頑張りなさい」と。
親御さんの役割は、ここで終わりではないのです。
いざ、自分の意志で動きだしても、それからは瓦礫、残骸の撤去です。
ひきこもりの期間が長ければ長いほど、その量もかなりのものです。
瓦礫、残骸は、復興の障害となってしまっているものです。
瓦礫、残骸の撤去は、トラウマのケアです。
特に、社会不適応を招いてしまった、自己認識の歪みを肯定的に修正する必要があります。
その上で、社会適応のためのスキルの修得、向上を行い、自分の人生の取り戻しが必要です。
ひきこもりの期間が長ければ長いほど、年齢を重ねているということと、履歴の空白、失われた能力
など、甚大な障害要因もあります。
これらのことは、家族がみんなでやっていくことです。
瓦礫の撤去を一人にさせますか?
仕事ができるようになったからといっても、周囲との協調ができず、長続きせず、転職を繰り返したり、
こらえ性が無く、常に人間関係のトラブルを抱えているようでは、解決したことにはならないのです。
人を愛すことができ、人間関係を保ちながら働くことができ、社会的な自立が成しえてこそ、復興
(ひきこもりの克服)できたと言えるのではないでしょうか。
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ひきこもり・不登校の相談解決
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2011年4月 8日 07:18
ひきこもりは甘えか?
「ひきこもりに対して、まだ甘えという偏見がある」とか、「親の過保護がつくりだしたという誤解がある」
といった意見が聞かれたりすることがままありますが、「そうではないのです。分かってあげてくだ
さい」なんて、まことしやかに支援者側や評論家が言うから、認識がさらにおかしくなってしまいます。
本当にひきこもり支援に携わっている者であれば、「甘え」もあることが周知の事実であることは、
分かっているはずです。
以前に、ある不登校の研修会の席で、不登校児童に関わっているという男性教師が、「あの子たち
は、純粋な子なんです。傷つきやすいだけなんです。甘えているんではありません」と、涙ながらに
発表しているのを横で聞いていて、私は、いささか引いてしまったことがありました。
そんなに感傷的になっても、正確に事実が伝わりません。
過度に保護、支援しようと考えると、事態を美化してしまう傾向があります。
ある親の会の代表の方が、「私たち親がすべて悪いんです。子どもたちは悪くありません」と、興奮
して話されたこともありました。
何事も事実を客観的により正確に観ていくことが大切です。
「ひきこもりは、甘えがある」と言っても、
「なんだ、それなら支援なんかするべきじゃないだろう」とか、
「税金を投じる必要性があるのか」と、
単純軽薄な返しをしないでもらいたいのです。
「甘えがある」と言っているだけで、「甘えだけで、そうなっている」とは言っていません。
それに、「甘え」と言っても、誰でもが内在しているものとあまり変わりはありません。
あなたは、家族に甘えることがありませんか?
赤の他人と接するのと同じように家族と接しますか?
そんなことはないでしょう。
心を許せている分、頼ったり、気遣いをおろそかにしてしまっていませんか?
着る物や物のありかも自分では分からない父親もいますね(笑)。
食器の片付けや身支度まで、妻にさせている夫もいます。
これは甘えではありませんか?
ひきもり当事者たちの甘えは、どちらかと言うと、自分に対しての甘えが強いです。
自分への「甘やかし」ですね。
困難や痛みに対して、自分を向かわせるということが、苦手。避けていることは確かです。
ですが、これもまた、「克己心」という言葉があるように、あなたも「自分は克己心があって、自分を
常に律することができる」と自信をもって言えますか?
これまた、なかなか難しいところだと思います。
認識して頂きたいのは、自分に負荷を与えず、周囲に依りすがってしか生きられないほど、脆弱に
なってしまっていて、甘えよりも恐怖心の方が上回っているということです。
それほどまでに、ストレス耐性や欲求不満耐性が失われているのがなぜかに関心をはらってもらい
たいのです。
「感性が研ぎ澄まされている」といった言葉で、彼らを表す方もいますが、これも先ほど言った美化
した表現でしかありません。
研ぎ澄まされているほど、洗練されてもいませんし、ガラス細工のように優美でもありません。
それどころか、心の鏡が曇りきっています。
すべてのものをありのままに映し出せなくなってしまっていて、見るもの、聞くもの、歪んでしか捉え
るしかできなくなってしまっています。
自己認識にもかなりの歪みがあり、存在自体に価値がないとみなしています。
そういう意味では、自分を甘やかすと言うよりは、自分を粗末に扱っています。
感性が鋭いということではなく、皮を剥ぎ落とされ、丸裸にされて、赤肌を常にさらしているような状態
なのです。
だから、風が吹いても痛みで悲鳴をあげます。
保護膜を失っている状態です。
ですから、新たな保護膜で覆ってあげる必要があります。
それと合わせ、心の脱皮が必要です。
自身の今を招いた古い皮(歪んだ思い込み)に囚われ、なかなか脱ぎ捨てることができません。
長期化してくると、ひきこもり自体を自分らしさ(アイデンティティ)としてしまうほどです。
働き出しても、心の脱皮が出来ていない青年もいます。
感性が鋭いのではなく、思考の柔軟性に欠け、傷つかないでいい方法が分からず、自己破壊的に
自らを傷つけるのです。
柔軟な動きが出来る動物は、脊椎動物です。
背骨(バックボーン)をもつ生き物です。
節足動物は、厚い甲羅に覆われ、柔軟な動きが出来ません。
思考に柔軟性がないのは、バックホーン(精神的支柱)をもっていないことと、多様な価値観をもち
あわせていないからです。
多様な価値観が、私たちをあらゆるストレスから守ってくれる保護膜となるのです。
当事者本人のやる気が出るのを待つ支援や、簡単な作業から慣れさせていったり、人に少しずつ
慣れさせていくといった支援は、彼らに何を補ってあげればいいのかを全く理解できていない援助
です。
いたずらに時間を経過させるか、社会に一旦入ったとしても、リバウンドがあります。
心の脱皮が出来て、多様な価値観から、確たる精神的支柱をもつことができてこそ、社会へ出て行く
覚悟が出来るのです。
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2011年3月25日 10:38
ひきこもり支援に見る過誤
かねて相談者からの問い合わせを伺っておりますと、何を期待されておられるのかが、そこから
うかがえるのですが、改善、解決にとって、かえって妨げとなってしまうものも少なくないようです。
最も避けたいのは、「間違った問題」に対して、正しい答えを導き出すことです。
すべきでない事を効率よくやることほど、ムダ(非効率)なことはありません。
問い合わせであるのは、
「仕事を斡旋してくれるのですか?」
「何か作業所があるのですか?」
「当事者が集まれる場所があるのですか?」
「寄宿生活ができますか?預かってもらえますか?」
「家まで訪ねてきてもらえますか?」
「治療してもらえますか?治りますか?」
こういった質問をみてみますと、すぐにでも家に来てもらって、親から離れた所に預かってくれて、
仕事を世話してほしいという期待が見て取れます。
「何か作業(仕事)をあてがえば、それをきっかけに社会に入れるのではないか」といった考えも
感じられます。
こういった間違った問題認識に対して、正解を提供しようとしている関係者もあります。
そう、間違った問題なのですよ。
数ヶ月の合宿生活の後、職場体験を経て、社会参加させるといった事業も過去にありました。
ひきこもりの相談員の養成により、訪問支援(アウトリーチ)を実施している状況もあるようです。
ひきこもりの青年たちは、本来仕事がなかったからとひきこもったわけでもありませんし、親元から
離れたら、自立心がムクムクと湧き上がってくる状態にあるわけでもありません。
当事者同士だったらつきあえるわけでもないし、ましてや「ひきこもり」という病気に罹っているわけ
でもありません(病気・障害の症状の場合もある)。
赤の他人が家に来て、声をかけられたからとて、親に対しての不信感、裏切られ感は強まることこそ
あれ、外の世界へ踏み出す勇気が出るわけではありません。
ひきこもる青年たちは、これからのビジョン(希望)を描くことができなくなっています。
社会情勢の厳しさから?
いえ、それよりも、自分自身に価値を見い出せないからです。
自分という人間を理解してくれて、受け入れてくれて、求めてくれる他者がいてくれると到底思えない
のです。
周囲の期待に応えられるだけの何ものも持たない自分が、好意的に接してもらえるとは、どうしても
思えない状態にあります。
「きっと、疎外される」と信じ込んでいます。
同じ当事者の相手にさえ、自分がひきこもっていたということを知られたくないほどです。
そういった状態の青年たちに、先の内容の支援が、適切な支援だと思われますか?
正解だと思われるものを導き出したとしても、前提(問題提起)がくつがえれば(間違っていれば)、
不正解となってしまうのです。
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2011年3月16日 13:32
ひきこもり支援の拡充
来月4月新年度から、これまでの活動をさらに拡充させていきます。
2年前から福岡、熊本で行ってきたひきこもり無償支援活動「たらちねサポート」は、毎月の定例会
(福岡は第二日曜)の中で、参加家族同士の交流会だけではなく、ひきこもりに対しての理解を深め
るための学習会の時間を設けておりましたが、4月からさらに第三火曜日に講習会を毎月開講し
ます。
「たらちねサポート」は、従来からよくある当事者家族会とは違い、単なる励ましあいの場ではありま
せん。
従来の一般的な家族会は、回を重ねるにしたがい、これといった対応策を聞けることもなく、数年や
中には、10年を越えて参加している他家族の存在を知って、解決への希望がもてず、会を離れる
ご家族も少なくないようです。無理も無い話です。
これは、グリーフ・ワーク(嘆きの仕事)を誤って認識している支援者(?)の指導によるものか、愚痴
のこぼしあいになっている傾向が多く見られます。
この「たらちねサポート」は、自助グループという形態を取り、本当の意味での「自助」、わが子の
ひきこもりを、自らの問題と受け止め、責任をもって自ら解決していけるようになるための姿勢や
知識を習得していきます。
そのため、必ず定例会の中でも学習の時間を90分ほど設けています。
交流会では、他の家族の話の中から、自身の子どもへの働きかけのヒントを得ます。
性別や年齢が違っていても、必ず解決のために有益な話が聞けるものです。
私が、あらかたのご相談に対応できるのは、小学校低学年から、40代までの事例に関わり、また、
それぞれの幼年期からの成育環境、生い立ちを知りえる立場にあり、毎日複数の青少年たちと接し
(当協会ではほとんど本人が通って来られるようになっています)、本人からの生の声を聞いている
からです。
そしてもちろん私自身が、三人の子の親として、実子と二人の養女も育ててきた経験があるからです。
先月50歳を前に孫も出来ましたので、これからは祖父の立場(気持ち)も分かるでしょう(笑)。
30代のひきこもりでも、必ず学童期ぐらいに兆候が見られます。
ですから、不登校児童の話からも解決のための糸口になるものがあります。
また、ひきこもりが10年を越す場合も、あたりまえですが一日から始まっています。
ですから、ひきこもりが始まって間もない家庭は、長期の事例から、多くのものを学べますし、また、
その逆の場合も然りです。
4月から始める講習会では、私がこれまでブログやメルマガで語ってきました内容をさらに詳しく
事例を交えお話しし、具体的な解決策を提示します。
これら全てを無償で提供いたします。
長期化に伴う、年金所得家庭の増加、母子家庭の不登校など、経済的に民間の支援を受けられ
ない家庭もフォローすることが主たる目的ですが、専門家のいない相談窓口、誤った認識をもった
家族会、支援者などによって、長期化を招いてしまっている状況を鑑み、実施致します。
9年前より行っている毎週月曜日のひきこもり無料相談窓口
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と合わせて、より多くの家庭が、長期化を食いとどめられたらとの思いで、スタッフ一同気持ちを新た
に取り組んでいきたいと思っています。
この活動は、春日市社会福祉協議会、大野城市社会福祉協議会協賛、春日市教育委員会、
大野城市教育委員会後援事業として、ご協力を頂いております。
誠にありがとうございます。
今年度最後の「たらちねサポート」は、今月13日(福岡)、27日(熊本)開催されます。
詳細はこちら。
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2011年3月 9日 17:10
ひきこもり支援と自己責任
ひきこもりに対しての支援のあり方に対して、「親の甘やかしや、当人の甘えの結果なんだから、それ
に税金を投じて支援するのは、おかしな話」といった否定的な意見もあります。
いわゆる自己責任論です。
確かに、何らかの病理や障害によらない社会的ひきこもりの場合、期間が長くなり、親子共々高齢化
し、現実の社会参加ができなくなったという理由だけで、何らかの社会保障が受けられるとなれば、
かえって、どこかで見切りをつけ、あえて長期化させる(受給条件を満たすため)家庭も出てくるの
では。
そういった家庭が、増えてくるのは国家財政を揺るがす大きな問題。という懸念もあります。
しかしです。
だからと言って、単なる自己責任論をかざしてしまえば、ますますひきこもりの長期化が進むでしょう。
先ず、このことに関しては、二つの問題があります。
ひとつは、「甘やかし」といった、一部だけを見た誤った認識。
そしてもうひとつには、「自己責任」の誤った解釈です。
特に、この「自己責任」についての誤った解釈は、長期化をより進めてしまう要因でもあります。
お話ししましょう。
自己責任という認識は、当事者家庭も実はもっています。
ですが厳密に言うと、「自己責任と片付けられるから、わが家で何とかしなければ」と思っているとい
うことです。
どういうことかと言うと、実際は、子は「親のせいだ」と思っていますし、親は「この子の問題」と思っ
ています。
そういう意味では、他者責任になっています。
しかし、「世間は自己責任としか見ない」と思っています。
ですから、「自分だけで何とかしなければならない」「他人に頼ってはいけない」と考えてしまっている
のです。
このことが、長期化を招いてしまっています。
自己責任というのは、何でもかんでも自分だけの責任だから、人に頼らず自分で解決しなければ
ならないという意味ではありません。
そのことにおいての責任を自分が負うということです。
例えば、最近戦場カメラマンの渡部陽一さんという方が、よくテレビに出演されていますが、あのよ
うな死の危険がある所にわざわざ自ら赴くことは、自己責任が必要です。
冒険家などもそうですね。
要請を受けてということではなく、好きで行っているのですから。
本来こういう場面に限って使用されるべき「自己責任」という言葉が、「自分のことだから自分でや
れ」とばかりに、人を突き放すような意味合いで、不適切な場面で使用されることが少なくないよう
です。
ホームレスの方の言葉にも、なぜそのような生活になったのか?という問いかけに対して「誰にも
迷惑をかけられないから」と、誰にも頼ってはいけないといったかまえが見られます。
最近は、無縁(孤独)死という亡くなり方をされる方も増えて来ているそうですが、なぜ死に至る前に、
周囲に救済を求めないのかと思います。
「自己責任」の誤った解釈が、人の手を借りる。上手にサポートを受ける。という対応を取らせない
方に仕向けてしまっているようです。
何事も現状をより良く改善していくためには、自分だけで困難な事がらの場合は、素直に人の手を
拝借することは、結果を出すために大切なことであり、決して恥ずかしいことではありません。
相互扶助を前提にした社会で私たちが生きていく上で、助けられ上手になることは、重要なスキル
です。
自分の責任を考えるとき、大切なことは、自分の人生に責任をもつということです。
自分の人生に責任をもつということは、自分の身に起こったことは、如何なることも、自分のことと
して、引き受けることです。
つまり、ありのままに受容することです。
降りかかったこと(自分に責任がなくても)は避けられなくても、そのことにどう向き合い、どう対処し
ていくかは、自分の責任のもとに行っていくということです。
現実を歪曲して捉えることなく(ありのままに)、事実を把握し、そのことを自分の中で、どう意味づけ
し、位置づけしていくかに於いては、しっかり自分で責任を持たなくてはなりません。
自分の人生に責任をもつということは、自己信頼のもと、自分の考えをもって、主体的に行動する
ことです。
望む結果が得られなくても、他者のせいにすることなく、原因を解明し、必要な条件をそろえていく。
必要な条件の中には、他人からのサポートも入っているのです。
社会の基本は、「自助・互助・公助」です。
主体性をもって(自助)、適切(本当に病理や障害からのひきこもり)であれば公助(行政)も受ければ
いいんです。
そして、自分が穴に落ちた時には、素直に助けを求め、誰かが落ちた時には、それを助けてあげれ
ばいいんです。
それが互助です。
「人には迷惑をかけられない」と気を遣ったとて、社会で生きている以上、知らないところ、見えない
ところで、誰かの支えを受けているし、その分、世話になっている。つまり迷惑をかけています。
だから、「人のお役に立つ」と考え行動を取らなければ、帳尻が合いません。
以前にも「犯罪犯したわけでもなく、ひきこもっているだけで、誰に迷惑をかけていますか?」と、うそ
ぶいていた青年もいましたが、社会資源を利用しておいて、税金を納めていないことが迷惑をかけて
いるということに気づけていないのです。
責任をもつことは、他人に尻拭いをさせないことです。
現実から目をそらし、自分の人生にすら責任をもたなければ、誰かにその分シワ寄せがいきます。
「人には迷惑かけられないから」と周囲のサポートも受けず事態を放置すれば、より深刻化し、結果
的には責任放棄となってしまいます。
誤った社会の自己責任論が、ひきこもりをますます長期化、高齢化、深刻化させていくのです。
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ひきこもり・不登校の相談解決
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2011年2月18日 17:35
生まれてきた意味を奪ってしまっては・・・
2月1日発行のメルマガ「ひきこもりは動けないから解決できる!第50号」と合わせて読んで頂きたい
内容です。
「何のためにここまで育ててあげたと思うの!老後の世話をするのは当たり前でしょう!」
とばかりに、外へ出られないのであれば自分たち親の介護をさせればいいといった発想が、長期化、
高齢化したひきこもり家庭に出て来ている現実があります。
これは、「誰のお蔭で食っていけてると思うんだ!」と言い放つ父親と同じパターンです。
生んだ親が子どもを育てるのは当たり前で、恩をきせるのはおかしな話です。
昨今は、にわかに「ひきこもりは発達障害」という言説が目立ってきていますが、たとえ発達障害で
あれ、ひきこもる発達障害の子どもたちは、多くが高機能です。
つまり、知的障害を伴っていません。
その分見えにくかった(分かりにくかった)わけです。
ですから、二次障害として、幼年期のころに、その行動の不可解さから、親や周囲からの厳しい叱責
などでトラウマを抱えています。
ましてや、社会的ひきこもりの場合、ほとんどが家族トラウマ、アタッチメント・トラウマ(絆の病)に
よるものです。
そういった青年たちが、親の老後を快く看るはずがありません。
下手をすれば、虐待に及びます。
親に対して「死ね」や「ぶっ殺すぞ」という言動が出ている青年たちもいますが、本気でそこまでの
気持ちは無いにしても、訴えたいものがあるんです。
でも、一線を越えないのは、そうしたら自分も生きていけないことを知っているからです。
親に不満がなくて一緒に暮らしているわけではありません。
暴言も暴力も無ければ、親への不満はないと思うのは誤りです。
わが家の中で常に子どもの笑顔が見たければ、親は努力しなければなりません。
何らの努力もないまま、仮に子どもが笑ってくれていたら、心の中で手を合わせ、「ありがとう」と感謝
すべきです。
それほど子どもたちは、家庭の中で親以上に我慢していることがあるのですから。
子どもたちは、分かってほしいんです。
理解してもらえなかった、受け止めてもらえなかった無念を訴えているんです。
私が、親御さんたちに伝えたいのは、死ぬまで面倒みることは償いにはならない。
それどころか、子どもがこの世に生まれてきた意味を奪うことになってしまうということです。
子どもは親の介護をするために生まれてきたわけじゃありません。
子どもに親の老後の心配をできるだけさせないようにしていくのが親の務めです。
もちろん、子どもが自活できるように育てる。
病気や障害があれば、生活が保てるように環境を作ってあげるのが務めです。
どの子達にも、この世に生を受けてきたということは、意味や価値ある存在なんです。
親の心の慰めのために、わが子の生まれてきた意味を奪うことは許されないことです。
子どもの世話をしていくといった自己犠牲的なあがないは、気づかない間に子どもにさらなる罪悪感を
抱かせてしまいます。
親は償いのつもりでも、それは自己満足、自分の感情処理の手段になってしまっています。
青年たちは、
「自分はここにいていい」
「自分の存在にも価値があるんだ」
「自分を待ってくれる人がいるんだ」
ということを自覚したいんです。
これは、障害の有る無しに関係ありません。
人は生きがいをもって生きたいんです。
友人も恋人もなく、人を愛することもなく一生を終えて、子どもたちが「生まれてきてよかった」と思うで
しょうか?
介護をさせればいいという発想は、その気持ちを踏みにじる妄挙です。
私心なくわが子の行く末を思う本当の親であれば、過ちを潔く認める力をもち、血肉を分けて生んだ
わが子との本来の絆を結び直すことを決してあきらめないはずです。
大和民族は元来失敗に寛容で、見直し聞き直しをしてやり直し、よみがえることを尊ぶ民族です。
神話の神さまたちも沢山失敗しています(笑)。
そして、改心して失敗を補って余りある功績を立てているんです。
私たち人間が、失敗しないはずがないでしょう。
反省してやり直せばいいんです。
そのことは、青年たちにも教えていかなければならないことなのです。
「ひきこもったっていいじゃないか。やり直せば」と。
自分たちが先ずやり直して、わが子にやり直すことの手本を見せてあげればいいんです。
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2011年2月 1日 18:31
ひきこもりで浮き彫りになること
不登校、ひきこもりなどの子どもの逸脱行動が生じると、浮き彫りになってくるものに、両親間の人間
関係と、問題解決能力があります。
わが家の有事であるわけですから、当然双方の協力体制が必要なのですが、全く反対の状態を示す
場合があります。
よくあるケースは、「子どものことは、母親が見るべきだろう」と、全く関与したがらない父親です。
せいぜい関わったとしても、「おまえが甘やかすからだ」と母親を非難し、「いい加減にしろっ!」と
子どもに説教するぐらいです。
これでは、状況は改善されるどころか、問題の焦点がそれ、と言うよりも、新たな火種を作ってしまい
かねません。
こういった背景には、親自身が、責任の所在が明らかになり、自身が傷つくのを避けたいという思い
もあります。
何かが間違っていたということを突きつけられることが怖いのです。
人は、恐れていたことがまさに起こってしまうことも恐怖しますが、気づかぬところで問題が進行し、
これまでの生き方や価値観を覆されるであろう事件が起こってしまうと、無意識の内に目をそらしま
す。
それを見てしまうと、今までの自分を否定されてしまうように感じるからです。
そうしたことから、子どもを刺激することを一切避け、表面的に穏やかな状態を維持することにつとめ
ようとする傾向が多くあります。
ひきこもりを終わらせたいと思う反面、子どもを動かそうとして、反発されたり、抵抗されたりすること
は、避けたいのです。
自分が傷つきたくないからです。
これまでの事例でも、家の中での事であればなんとか動くと、祖父母の介護や親自身の病気の看病を
してもらい、気がついたらひきこもりが20年近くになっていたというケースがあります。
家業を好きなときだけ手伝わせ、必要なだけのバイト代を与えていた事例もあります。
これらは、親と子互いが、最重要な問題を脇に置いてしまったがためです。
「考えないでいたら、いつか問題が無くなるような気がしていた」と言った青年もいます。
これは、問題を受容できない親も同じで、「いつか動き出すんではないかと淡い期待をしていた。まさか
こんなに長くなるなんて」といった言葉もしばしば聞かれました。
目先の安定を優先させ、時の経過による「ひきこもり」という問題の深刻化の予測が立てられていない
のです。
時の経過により、当事者のみならず両親の年齢も共に重ねられます。
定年を迎え、経済的にも、健康的にも、本人の生活を支えることがより困難となってきます。
本人も、何らの人的、時間的制約を受けない環境で何年も過ごしてしまうと、伸びきったゴムのように、
弾力を失い、わずかな負担にも耐えられなくなってしまいます。
花は落ち、枝は枯れても、土中の根が生きていれば、必ずまた花を咲かせます。
逆に根腐れしていれば、幹から倒れます。
土中の見えない部分(本質的な問題)を疎んじていると、大きな代償を払わなければならなくなります。
現状改善のために能動的な行動を促すと、いやがる。反発する。落ち込む。という理由で、何も刺激
しないままに、過ごしている場合が少なくありません。
中には、「相談に行ってみようと呼びかけたが、いい返事が返ってこなかったので様子を見ていました」
と、数年たってから、当協会に再び来られ、「なんとかならないでしょうか?」と訴えられることもありま
す。
いい返事が返ってこないことは当たり前のことで、無意味なことです。
あたかも、自分が動かないでいい口実を作ってもらっているようなものです。
その数年の間に、先ず親がやるべきことをやって、根っこ(問題の本質)をしっかり観て、自分が傷つく
ことを避けることなく(わが子のためですから)、創意工夫をしながら、たゆまず働きかけを続けていかな
ければなりません。
夫婦で責め合ったり、あなた任せにしている場合ではないのです。
わが子のひきこもりであぶり出された問題こそ、しっかり受け止め、見直し、改めていけば、必ず、
解決していきます。
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ひきこもり・不登校の相談解決
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2011年1月14日 17:40
内閣府 若者の意識に関する調査(ひきこもりに関する実態調査)
今年2月に熊本市で、内閣府の「青少年育成のための地域連携推進事業」があり、「ひきこもりから
見る青少年問題」という演目で、私もお話させて頂きました。(講演録はこちらです)
7月には、内閣府より「若者の意識に関する調査(ひきこもりに関する実態調査)」が発表されて
います。
この中で、企画分析委員である吉川武彦教授のコメントがありますので、少しご紹介したいと思い
ます。吉川教授は、国立精神・神経医療センター精神保健研究所の名誉所長です。
冒頭で、
『常にお断りしてきたことであるが、「ひきこもり」は精神医学概念ではないことである』
『「ひきこもり」状態をもって精神疾患が示す一症状ということはできないばかりか、「ひきこもり」を
精神疾患の診断名として用いることはできない』
と述べておられます。
また、繰り返し『再度お断りするが「ひきこもり」は精神医学的診断に馴染むものではない』と断言
しておられます。
『家族関係のもつれから「ひきこもり」状態になるものもあり、その一端を示せば家族からの強い
過干渉によって自己肯定感をもてないまま成長し、他者との関係構築が不得手となったものに
「自閉」という精神病理を見いだすことは無理があろう。さらにこのような人が自分を卑下し自己
の無能力感を抱き罪悪感をもつようになったからと言って「うつ病」と診断することは許されない
はずである』とも述べておられます。
この家族関係によるものに関しては、私が先の講演で詳述しております。
この吉川教授のコメントでも分かられるように、ひきこもりを即精神疾患や障害と見なすのは、
大変危険であります。
しかし、一部の(とは言っても全国組織)親の会では、国の財政支援にしがみつけとばかりに、
ひきこもりを障害と見なしたいようです。
福岡にも傘下の組織があり、そこを訪れた方が私の所へも来られ、「いきなり病気と言われました」
と困惑しておりました。
会の代表は、「長期重篤なひきこもりは、生活機能障害となってしまう」と述べておられるが、
ひきこもりの長期化は、親子の二人三脚で行われるということを自覚しておられないようです。
生活機能障害なるものだけを問題視した発言であり、また重篤と、あたかも先に病理があるかの
ような表現で、背景としての家族(親)の関わりが全く話題にものぼりません。
例えば、わが子の体重が200キロにもなり、仕事が出来ず生活保護を申請したとして、それが
まかり通るでしょうか?
200キロにまで体重が増えるのには、それまでの期間があります。そこへ至らないまでに途中で
気づくべきでしょう。
とにかく、私が申し上げたいのは、長期化させないのはもちろん、動けないわが子に生きる希望を
与えられるのも親御さんであることです。
ひきこもりは、障害や病気の場合でない限り、親御さん次第でほとんど解決がつくのです。
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