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解決支援者の現場日記 : 旧ブログ 不登校: 2008年7月
何度も同じことの繰り返し
ひきこもりという現象は、毎日同じことを繰り返していると言えます。
目が覚め、食事をとりその日を漫然と過ごす。そこに何かの変化をつけることもなく、家族もまた、
その光景があたりまえのようにその日を終える。
「いつになったら動き出すの?」
「そのうち動くよ」
「いつもそう言うじゃない。なぜ動かないの?」
「自分なんか受け入れてもらえないよ」
「またそれを言うの」
「・・・・・」
これは、変化が起こること、変化をおこすことへの怖れです。
親も子も、変化することで何か新たなものが生じてしまうことが怖いのです。
変化に対応できないという課題を親も子も抱えています。
変化に対応できるためには、柔軟さが必要です。硬直化されたコミュニケーションの中でバランスを
保っていた親子は、柔軟な思考を欠き、たとえ状況が改善される可能性が見える変化に対しても、
それを拒もうとします。 一旦固定化されてしまえば、それが苦悩の源泉であっても、安定が崩れる
かのような錯覚に陥るのです。
柔軟な思考にするためには、囚われをはずすということです。
人は認識を深め、気づきのレベルを高めることで、世界観が広がります。
自己の認識にないものは、存在自体がないのです。
人はよほどの自分育てがない限り、親の世界観以上の視野をもてません。
閉塞的環境の住人となった不登校、ひきこもり、ニートの家庭は、先ず親が価値観の大転換と
いった変化への挑戦をしていかなければならないのです。
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2008年7月31日 07:47
質問で解決が決まる
昨日は、家庭教育無料講座でした。
『不登校・ひきもり全て答えます』と題して、参加者の方の質問に答える形式を取りました。
事前に配られた質問用紙に匿名で自由に書いていただきましたが、質問をしてもらうという手法は、
実は問題が見えているかどうかを確認できる有効な手法なのです。私はかねてより、講演や講座
の後、出来るだけ質問をしてもらうようにしています。私自身が、質問をしてもらうことで、発見でき
ることが少なくないからです。時に「こんなに具体的に質問に答える講師はあまりいませんでした」
と聴講者に言われることもありますが、私は話す内容を用意した講演よりも、その場で出た質問に
答える方がかえってやり易いんです。事例でお答えできますしね。
昨日お話した中でひとつご紹介しましょう。
「仕事が長続きせず困っています。(30歳)」「就職しないで家にずっといます(27歳)」
こういった質問の際、「どうしたらいいですか?」と聞かれます。「どうしたら」つまり解決法を
真っ先に尋ねられます。ここで大切なことは、解決法、方法論は、先ず何が問題かを明確にしてか
ら出てくるものだということです。解決すべきより優先順位の高い問題は何かということです。
また、悩みは必ず、不快や苦痛を伴いますので、周囲としてもなんとかすぐにでもその苦痛を取り
除いてあげたいと自然に思うものです。手っ取り早くやれる方法(解決法)が、話を聞いてあげること
です。一人で心に溜め込んでおくと苦しいですから、ただ黙って聞いてもらえるだけでもそれなりの
効果は確かにあります。しかしこれは、解決法というよりも対処法です。その場限りのもっというと
その場しのぎの苦肉の策です。
この聞いてあげるとゆっくり休ませてあげるが相まって、長期化してしまうことが実は多いのです。
精神科医の西城有朋氏は、自身の著書の中で〈ダメな精神科医の見極め方〉の一つに
二言目には「とにかく休め」を言う医者と述べています。もちろん、患者の状況にもよりますが、
不登校やひきこもりの相談を受けている様ざまな場所でも、この言葉はよく聞かされているようです。
さんざん悩みを聞いてもらって、「もう話すことも無くなった」と聞いてもらうことすら必要でなくなり、
ただ黙って休養だけ続けている例も少なくありません。
聞いてあげたら、返してあげましょう。その悩みの解決法を返してあげるのです。その時に大切な
ことが先に述べたように、解決すべき問題は何かを明確にするということです。
例えば、不登校の問題は何ですか? 「学校へ登校していないこと」 はい、ハズレです。
ひきこもり、ニートの問題は? 「働かず、社会生活をしていないこと」 はい、またハズレです。
この答えでは、せいぜい説教するか、勘当するか、本人のやる気をただ待つかの対処法になって
しまいます。登校しないとか、働かないが問題ではなく、何かができなくなっていて、登校できず、
働けないのです。この何が出来なくなってしまっているのかを知ることが最優先の課題なのです。
例えば、自宅の中ですら行動が制限され、行きたい部屋へいけない状態の子が外出などできます
か? 人間関係を構築することが出来ない者が働けますか? 面接の場の緊張に耐えられない青年
が就職できますか?
わが子が何が出来ないでいるのかを把握していない状態で、「学校行けー!」「働けー!」は新たな
傷を与え、事態をより深刻化させるだけです。それはご家族も望んでいないはずです。
周囲が当事者に手を貸すべきことは、悩み、不安への共感と共に、問題の解決です。
問題の解決のためには、
①問題は何かを把握する ②具体的解決法を知る ③解決法の実行を妨げる障害要因の排除
が要となります。
①と②は、自分で分からなければ専門家に委ねることです。特に②は解決実績のある実践家で
ないと分かりません。
③は、例えば理解、協力の姿勢の無い同居家族などです。そういった場合は、協力者は多ければ
多いほどよいですから、親戚の方とか当事者のことを小さい時から知っている近所のオジチャン、
オバチャンでもかまいません。協力者に素直に頼みましょう。
ここでかねての生きかた、人間関係が問われるのです。わが家の有事にサポーター(協力者)も
得られないような生きかたは改めましょう。世間体を気にしなければならないような風通しの悪い
家庭は、既に呼吸不全を起こしています。
解決すべき問題が解決されてこそ、学校にも戻れるし、社会へも入っていけるのです。
質問の内容で問題認識のボタンの掛け違いが露呈されます。最初のボタンがずれていたら、
後の対策は総崩れになるです。
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2008年7月28日 20:00
家族の絆
日々の支援活動の中で、最もうれしいことは、家族が本来の状態に戻り、絆の結び直しがはかられ、
笑顔が戻ることです。家族の蘇生力といったものを目の当たりにします。
家族は、連綿と受け継いできた未完の欲求、未解決の不安や感情を他の家族との人間関係の中で
満たそうとします。そのことが多くの過った信念、秘密、歪んだ情念を生み、家族の調和を乱します。
支配と隷属といった破壊的均衡を作り出し、固定化し、変化を拒む家庭環境が成立します。
https://www.interbrain.co.jp/blog/2008/07/post-28.php「家庭に何を求めていたのだろう」
不登校やひきこもりといった家族病理の症状を、個人の問題としか受け止められず、責任を回避する
家庭では、子どもたちは、暴力や破壊で親たちに訴えます。
しかし、信頼関係が完全に失われているわけではありません。
子どもたちは、安心を求め危険を冒します。自身の人生を葬り、親の使命を背負うといった危険を
冒すのです。背負いきれなくなった時、反逆または許しを請う意味で自分の世界に閉じこもります。
現実から目をそらさずに受容できた家庭では、本音のぶつかりあいの後、それぞれが家族の安寧を
願っていたことに気づくことができ、分かり合い、ねじれた絆がほころび、心が解け合ってゆきます。
分かり合えず傷つけあった時期もあります。でもそれは、互いの痛みを感じあう機会でもあるのです。
その上で親子、兄弟姉妹が一つになって眼前の問題に取り組む時、家族の蘇生力が発動します。
それは凛とした潔さ、清々しささえ感じます。支援者として胸が熱くなる瞬間です。
傷つくことを恐れずにわが子に向き合ってください。
防衛は、現実を見失うといった大きな代償をはらうのです。
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2008年7月25日 19:46
めぐりあわせ
東京都八王子市の書店で女性の店員と客が刃物で襲われた無差別殺傷事件が起こりました。
容疑者は警視庁の調べに「最近あちこちで通り魔事件が起きており、刃物なら簡単に殺せると
思った」と供述しているそうです。
茨城県土浦市で3月、8人が包丁で刺されて死傷し、6月8日には東京・秋葉原で17人がナイフ
で刺されるなどの事件がありましたが、こういった通り魔事件を見ていますと、「なぜこの人が、
そこで被害にあってしまうのか」と悲嘆に暮れます。
「他でもないなぜその人でなければならなかったのか」
秋葉原の事件の容疑者も今回の容疑者も共に「誰でもよかった」と供述しています。
誰でもよかった中で、なぜその人だったのかです。
これが「めぐりあわせ」というものでしょう。
いじめや不登校、ひきこもり、ニートなど、親御さんは「なぜこの子なのだろう」「なぜわが家で」
という難問にぶつかります。もちろん、子どもたちは「なぜ自分が・・・」という思いです。
こういった苦痛をSpiritual Pain(存在の痛み)と申します。
自己の存在と意味の消失から生じる苦痛です。
めぐりあわせと存在の痛みはリンクしています。
不登校やひきこもりのきっかけになっているものに、いじめや転校、教師や友人とのトラブル、家族の
病気などがあります。もちろんこれらは、単なるきっかけにしか過ぎず、本質的な原因は他にあります。
しかし、最後の引き金になったのは確かです。
見事なまでに負のめぐりあわせの憂き目に会っています。「なぜその時期に転校になるのか」「あの人
とさえ出会わなければ」など、天の計らいか、いたずらかと思ってしまいます。
他でもないわが子がなぜひきこもったのか? 不登校になったのか?をじっくり考えてみましょう。
まさにわが子に起こったということで、自ずとそのルーツに立ち返らざるを得ません。
二人の男女がめぐりあわせにより夫婦となり、この子が産まれ落ちました。
農耕社会では、豊作を願い、自力の及ばぬ天候のめぐりを慎み、敬い、感謝をもって天にぬかずき
祈りました。子育ても同じです。
わが子の健康と幸福のためにも良きめぐりあわせに会うように、慎みをもって祈る習慣をもちましょう。
めぐりあわせを良くする秘訣は、わが子の心に自尊感情、自己信頼感、感謝の心を育てることです。
それらが育つことで、人生を大切に生きる姿勢が身につきます。自他の生命を粗末にしない生きかた
ができるようになるのです。
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2008年7月24日 19:15
私はあなたの子どもです
夫婦がやがて親になる。わが子が誕生し、夫、妻の役割に父親、母親の役割が増える。
親になることよりも、親であることは難しいものです。
子どもが大人に成っていくと共に、夫婦も子育てを通して両親に成っていくのです。わが子から親とし
ての自覚を促されていき、親であることができるようになっていきます。
不登校、ひきこもり、ニートのご相談者は、多くが身を潜めて来訪されます。また、お身内が来られ、
「どこかへ相談に行くことを促しても、周囲の目を気にして動こうとしない」といったことも聞かれます。
ご両親のお気持ちはよく分かります。実際に知人から子どもへの関わり方を非難されたり、相談窓口
で子育てに関して叱責されたりした経験をもたれた方の話を聞くことも少なくありません。
私がよくご相談者にお伝えするのは、「これまでよりも今」ということです。
これまでのわが子への関わり方を嘆くのではなく、大切なことは今どうするかなのです。わが子が
不登校やひきこもりになった時にどういう姿勢、態度でのぞむかということです。
実際に子どもたちからよく聞かれるのは、自分が不登校したり、ひきこもった時の両親の対応ぶり
です。
狼狽したり、激情したり、黙殺したりがあれば、子どもたちは依るべき頼りを失い、絶望の淵に沈みま
す。それが新たなトラウマともなります。子どもたちは、自分を理解してほしい、信頼し、受け止めて
ほしいと願っています。
有事の時の身の処し方にこそ親としての真価が問われるのです。
お父さん、お母さん、無責任な周囲の批判の声をはね返す勇気をもってください。
今わが子に何が出来るかを考える事が大切です。これまでに悔いがあればあるほど、自身をいさめ、
やり直す潔さが必要です。
「私はあなたの子どもです」というわが子の声を忘れてはなりません。
この子の親であり続けるために。
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2008年7月18日 18:54
家庭に何を求めていたのだろう
わが子との関係を考える時有効な手立てとして、自分自身が「家庭」に何を求めていたのかを考えて
みることがあります。
私たちは、親、兄弟、家族との人間関係の中で満たされなかったものを、他の人間関係の中で満たそ
うとします。親との関わりの中で得られなかったものを心の奥へしまい込んだまま、それに気づかず、
無意識のうちに他者との間柄でそれを埋め合わせようとします。
親から十分に得られなかったものを配偶者から得ようとしてしまう妻(夫)や、自分の親との間で得られ
なかったものをわが子との関係で補おうとする親などです。
不登校やひきこもり、ニートといった状態のわが子の問題解決をはかる時、自分自身がどんな家庭
を築き上げようとしていたかを考えてみてください。知らず知らずの内に、自分が子どもだった時に
「家庭」に望み叶わなかったことを求め、理想としていたのではないでしょうか。
子どもができる前、夫婦二人の時は、それぞれ両親の人間関係を見て育ち、それざれの結婚観に
基づいて夫婦関係をもっていたと思います。
これらによって、家庭が営まれ、まさに今わが子が学校に行けず、ひきこもっています。
両親それぞれが、「家庭」に求めていたものを振り返り思い返すことで、わが子に与えてしまった
心の負担に気づくことができます。
子どもたちは、親の求め(期待)に敏感です。それは、生れ落ちたこの家庭で愛され生き残っていく
ために必要なことだからです。ですから必要以上にそれに応えようとします。しかしそのことは、
未成熟な子どもの心に大きな負荷を与え、深い傷痕を残し、無力化させます。
期待が大きければ大きいほど、期待に応えた時のみ賞賛を与える「条件つきの愛情」になって
しまい易く、そうなると子どもは、親の期待に応えられない自分を無価値な人間とみなしてしまい
ます。自分の存在が無価値なものとなることは、誰にとっても恐怖です。
妻としての価値、嫁としての価値、母親としての価値、父親(一家の主)としての価値などを揺るが
す出来事が大人である父親、母親にとっても恐怖なように、なおさら子どもにとっては自己存在の
消滅に匹敵するほどの戦慄を覚えることなのです。
「なぜ登校させようとしているのか?」「なぜ働かせようとしているのか?」を考える時、今わが家の
問題は何かを考えてみてください。
「そもそも自分は両親とどういう親子関係であったのか」「どういう家庭を築きたかったのか」
「わが子に求めていたものは、わが子から得られるものであったのか」を。
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2008年7月17日 20:41
お父さん、お母さん「元気ですかー!」
毎日のカウンセリングの場で、不登校やひきこもりの青年たちは色々な話を聞かせてくれます。
私もかねては父親業をやっておりますので、わが子から聞かされている気持ちになり、時々涙が
出そうになったりもします。もちろん絶対に泣きはしませんが(笑)。
家で暴言をはいたり、物を壊したり、中には暴力が出ている場合もありますが、意外に本音では、
自分をたしなめてほしいと思っていたりするものです。
ある青年が言いました。「お父さんから怒られるのを待っている自分がいます」と。
この青年も時おり壁に穴をあけたりしている青年です。
四苦八苦の一つに「求不得苦(ぐふとっく)」というものがあります。これは「求めて得られざる苦悩」
です。私たちの行動は、全て何かの欲求につき動かされたものです。そしてその欲求が満たされな
かった時に嘆きや怒りなどの感情が起こります。
ですから、子どもたちが怒りの情動をあらわした時には、何を求め得られなかったのかを考えてみて
ください。
こういう事例も少なくありません。
社会の中で生きていくことに希望をもてずに、自暴自棄になり荒れているケースです。
こういった場合、昨今は決まって「格差社会」が原因といった論調が出てまいりますが、青年たちから
の声を聞いておりますと、そういったことではなくもっと身近な、肌で感じる間近なところに原因が隠れ
ているようなのです。
何かと申しますと、「お父さんの疲れた姿を見ていると希望が見えない」「お母さんのグチを聞いてると
何が幸せかって悩んでしまう」というものがけっこう聞かれるんです。
生きていることを楽しんでいない親の姿、無目的にしか見えないその生き方を見ていて、将来に希望
をもてなくなってしまっているのです。
そう言われると「何を言ってるんだ、オマエたちのためにどれだけ頑張ってきたと思っているんだ」との
親御さんたちの声が聞こえそうです。母親のグチでよく聞かれるのが、「お母さんは子どものためだけ
に何でも我慢してきたのよ」というものです。しかし、この献身は実はわが子のためにはあまりならない
ようです。自己犠牲的な生きかたをする母親を子どもたちは望んではいません。自分を生きてほしい
んです。自分もそう生きたいから、見本を親に示してほしいんです。
子どもたちは、両親の笑顔を見たがっています。両親のイキイキした幸せそうな表情を期待していま
す。
両親の笑顔から、元気と安心を得たいと望んでいます。
残業や接待で疲れ果てている会社員の父親を見て育ち「会社員にだけはなりたくない」と言っていた
ニートの青年もいました。「趣味があるじゃなし、仕事に生きがいをもってるじゃなし。何が楽しくて親父
は生きているんだろう」と言ったひきこもりの青年がいました。
私たち親は、「真の豊かさとは何か?」ということを真剣に考え、子どもたちに伝えていかなければな
らないようです。私たちがイキイキと生きていれば、子どもたちに生命の尊さ、そしてその生命を自分
らしく活かしていくことを教えてあげられる気がします。
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2008年7月16日 20:00 | コメント(1)
「この子のため」は誰のため?
親はわが子の将来を想い、健康や幸福を願います。しかし、その願いが誰のためかを振り返る必要が
あります。「もちろん、わが子のためじゃないですか」とおっしゃるでしょうが、本当にわが子のためで
しょうか?
親ですからわが子に期待することは自然です。「こうなってほしい。ああなってほしい」と。
でもその期待のわが子像は、子どもたちのありのままの個性を無視した親のエゴであることが少なく
ないようです。親同士の集まりで、子どもたちの通う高校や大学の話題がつきないことにも現れている
気がします。
大分県の教員採用汚職事件で、小学校の校長、教頭が逮捕されていますが、誰のためだったので
しょうか。「長男がこれまで2回、採用試験に落ちた。長女も初めての試験だったので、2人を何とか
合格させたかった」と答えたそうですが、生徒たちに不正で教員になったことを隠し続けながら教鞭を
とるわが子の心中を考えることはなかったのか。わが子の苦労を思うよりも、子供を教員に育て上げ
たことへの世間からの賞賛をお金で買ったのではと思ってしまいます。
不登校やひきこもりがなぜ長期化するのか。
「本人がその気にならなければ」とあたかも子どもたちの意思を尊重しているように見えますが、実際
は、子どもにはたらきかけることで、何かが出てくることがためらわれるのです。子どもたちが胸に
しまい込んでいたことが、明らかになることを恐れているのです。
あえて見過ごしていたものをここで白日の下にさらすことを避けたいのです。
ここでも「誰のため?」という問いかけを促したくなります。
現状のわが子の状態は、両親のこれまでの価値観の総和です。
なにものかを優先させてきたことで、後回しにしてきたものがあります。その後回しにしてきたものの
中に、本来わが子の健全な成長のために最も必要なものがあったのです。
それに気づいてください。
子ども達は待っています。
現実から逃げない、困難にも真正面から向き合うことのできる範となる人物の存在を。
怖くて逃げたくなる自分に行動の規範を示してくれ、失敗も懐ふかく受け止めてくれる親の存在をドア
の向こうから求めています。
自身が優先させてきたものを手放せない間、ひきこもりは終わらないことに気づいてください。
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2008年7月11日 20:31
世界平和も環境保護も
相談を受けていますと、数年前に一度来訪されたご家庭が再度来られる場合があります。
そういう場合、とても複雑な口惜しい気持ちです。どうしてその時にすぐに動かれなかったのかと。
特に5年以上前ともなりますと、これまでの当協会の支援実績ですと、すでに社会へ関わっていら
れたはずの年数だからです。6,7年前に来訪されたある保護者会の世話役の方が、先日その会の
主催の講演会を聴講した際、まだお世話役として活動しておられました。当時すでにご子息は数年
の期間を経過していたと思いますので、おそらくは10年を優に超しているのではと思います。
時おり、保護者会などへ参加していた方の相談があり、会報誌などを目にする機会がありますが、
そこでも「5年以上参加していますが」といった手記が掲載されていたりします。
以前ある会報誌を見せられた時がありました。
そこには30年にもなるのひきこもりの親御さまの手記が掲載されていました。年数はもとよりですが、
それ以上に愕然としたのがその内容です。一部ご紹介します。
『この間、数えきれないほど大勢の当事者本人、ご家族、支援者にお会いしました。多くの場合、
回復や好転する人の極めて少ない、また、再発も多い困難な病気だということがよくわかりま
した。困難なことといえば、他人と会うことができないため、買い物ができない、ゴミ出しができ
ない、草取りができない、回覧板が回せないなど、おもに地域生活の不自由さの面で、実質的
に障害状態にあります。そしてこの状態が社会から障害として理解され、認められ、支援を受ける
見込みが、まだ全く立っていない、どうしようという強い不安感でいっぱいです。
「不自由さレベル」を正しく知っていただき、それを補う介護福祉的な視点からの支援もしていただ
ける制度を作って欲しいと考えています』
いかがでしょうか。30年もの間数えきれないほどの関係者に会っていながらも、事態が改善され
なかったほど、この問題の複雑さ、深刻さといったものが分かられるでしょう。
買い物ができない、ゴミ出しができないというのを障害としてみておられるのには、正直戸惑いを
隠せません。私共がこれまで関わってきたほとんどの青少年たちもまた、その状態だったから
です。しかし皆、家族一体の取り組みで克服していきました。5年とかからずです(個人差はあり
ます)。
「回復や好転する人の極めて少ない、また、再発も多い困難な病気だとわかった」と悲嘆
してしまいたいお気持ちはよく分かります。
しかし、もう一度、向けるべきところへ目を向けさえすれば、回復、好転は少なくは無く、原因
療法的な対応をすれば、再発もくい止められるということを知ってほしいのです。
ひきこもりや不登校、ニート問題を、個人や家族の問題ではなく、社会の問題であるととらえる
視点もありますが、これは平和運動や環境活動などと共通したところがあると感じます。
何かと申しますと。
世界平和を実現するためには、人間一人一人が笑って生きることを実践すればいいんです。
環境を守ろうと思えば、一人一人が自然を畏敬し、自然を汚さないように取り組めばいいんです。
大それたことをする必要はない。大切なことは一人一人の自覚です。
高尚なスローガンをあげて、「みんなでやろう!」なんて言うから、誰もしないんです。それぞれが、
「私がします」と実践すればいいんです。自身が責任をもたなければ、結果への責任を他者に預
けてしまいます。
ひきこもりは家庭でおこっていることです。家庭の集合体が社会です。
修身齊家治国平天下(大学)
一人一人がその身を正し、家庭が整ってこそ、国(社会)が治まるのです。
社会の混乱が人心を荒廃させるのではなく、人心の荒廃が社会を混乱させていくのです。
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【熊本出張相談会】
熊本市内近隣地域はご自宅までお伺いできます。(交通費実費/熊本市役所からの距離による)
八代市厚生会館 7月10日 (要予約 0120-870-996)
相談料3千円
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2008年7月 5日 18:07
ひきこもり=病気論は免罪符?
「いっそ病気であればどれだけ救われるか」
この言葉は、相談者から時々聞かれます。親御さん方の本音の心境だと思います。
躾がなってない粗暴な子と思われていた子どもたちの一部が、広汎性発達障害といった病だという
ことが分かってきて、学校内での対応も図られてきました。もちろんまだまだ一般レベルの認識は
不十分で、差別、偏見はあるようですが、周囲から親としての立場、プライドをぼろぼろにされ、自身
責めさいなんできた親御さんたちにとっては、どれだけの救いになったことでしょう。
そういうことからも、「ひきこもり」においても病気であってくれた方がとの気持ちは分からなくはあり
ません。
しかし、私がこれまで関わってきた長期不登校、ひきこもりのほとんどの青少年たちが、何らかの
病気を原因としたものではなく、明確な原因があってのものでした。だからこそ、治療行為による回復
ではなく、原因となったところの問題改善、解決により本来の自分を取り戻していきました。こう申し
ますと、軽度のひきこもりではとの質問がありそうですが、ほとんどが20代後半以上であり、10年を
越す相談もめずらしくありません。
『引きこもり動態論』というものを目にしたことがあります。ひきこもりが始まり、約8割が疾病に移行
し、さらには障害化するというのです。確かにある相談者は、医者から「10年を越しているならもうあき
らめなさい」と言われたと嘆いていました。もちろん、医療機関と連携して、劇的な回復をしたケースも
ありましたし、対人恐怖や強迫行為などが見られるのはよくあります。しかしそれらも、治療ではなく、
原因の解消により漸次緩和されてきます。
精神疾患や障害によるひきこもりや、当事者や家族の高齢化によって、家庭が破綻してしまい社会的
救済が必要とされるひきもりの場合は、医療、福祉行政の対策が求められると思います。
現実、ある保護者団体では国に要望書を上げ、精神保健福祉法の適用やひきこもり支援法の創設、
福祉介護保険の対策などを訴えています。これが実現できれば、特に両親が高齢であったり、片親
家庭にとっての救済策になろうかと思います。
しかし同時に、最後の手段としての社会的救済策だけをこいねがうのではなく、長期化しないための
具体的取り組みこそ実行していかなければならないと思います。
『引きこもり動態論がなかなか理解されず、いたずらに放置され(省略)社会にも深刻な次世代問題
となっている。ところが現状は、残り2割の無病理性の当事者や不登校組の肯定論が強調さ
れたり、社会の認識では親の甘やかし、子の甘ったれで済まされている』
といった主張の中には、なぜ疾病に移行してしまっているのかといった部分への議論より、社会の
認識の不適格さが強調されているように感じられます。
それはまさにいたずらに長期化が放置されたからではないでしょうか。
ひきこもりは、長期化していけば何らかの病理性が出てくる可能性が高まるのは当然です。早期解決
をはかり、長期化させないための取り組みがおざなりになり、結果として病気になってしまったから、
救済の手立てを腰の重い国に求めるのでは、日々進行しているひきこもりを止めるためのクサビには
ならないと思います。
飢えや寒さをしのぐために、食料や毛布を与え続けるのではなく、自らが作物を生産できる方法を伝え
てあげることが、途上国への真の救援策であるように、長期化させないための家庭での取り組み策を
考えていくべきだと私は思います。
『社会の認識では親の甘やかし、子の甘ったれで済まされている』と述べられていることからも、
ひきこもり=病気論が親のための免罪符になってしまっているのではないでしょうか。
当協会が関わってきた家庭は、単なる甘え、甘やかしでひきこもった家庭ではありませんでした。
もちろん、病理からひきこもったケースもごく一部です。当協会だけにそういった家庭が集中するとは
思えません。ほとんどがそうなのではと思います。
それぞれの家庭が、ひきこもった原因を探り、長期化した要因を改善していったことで、打開していって
るのです。子どもは、家族病理の拡大鏡であり内視鏡です。家庭のありよう、水面下の問題を大きく
そして、鮮明に映し出してくれます。
当事者家族の方々は、社会の認識という「世間」の無責任な批評をはね返す勇気をもってください。
青少年たちは、家族の救援者です。私たちにさまざまな気づきを与えてくれます。
親と子が、互いに求め合う中での矛盾を解きほぐしていくことで、睦びあう家族に再生していけるの
です。
この件については、次回も論じさせて頂こうと思います。
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2008年7月 3日 19:48
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