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解決支援者の現場日記 : 旧ブログ ニート 19ページ目
訪問支援活動(アウトリーチ)
15日の毎日新聞に「社会的ひきこもり」の著者斎藤環氏のコラムが掲載されていました。
「青少年育成施策大綱」に明記されている訪問支援活動(アウトリーチ)にふれ、支援法がまだ確立
されていない中で実施されることを懸念し、「くれぐれも慎重であってほしい」と述べられていました。
これまでにあった一部の民間支援団体の拉致監禁まがいの手法による死亡事件や傷害事件を例に
あげ、有効性以上に倫理性に配慮してほしいと述べられています。
倫理性とは、訪問対象者の人権や主体性、プライドを徹底して尊重するという姿勢であると。
随分以前に放映されたテレビ番組のひきこもり特番の内容から私の見解を述べてみましょう。
10代のひきこもりの息子の頭に、「いいかげん目を覚ませ!」とシャワーの水をかけている父親や、
無理やりひきずり足蹴にしている父親の姿が映し出されていました。
その光景を腕組みしてじっと見ている女性の支援者。時折、激しい(女性とはとても思えない)
口調(罵声)で、親を挑発し、子どもへ説教させ、自身も子どもをののしっていました。
説教が親にとっても、支援者にとっても一番簡単な方法。しかし一番徒労に終る方法です。
甘えだけでひきこもっている子どもの場合はいいでしょう。
大切な事は、「何が問題解決した状態か?」という事です。
部屋から出すことが解決であれば、まさに“引きずり出す”ことで解決になります。
でも、本質である親との問題や、対人関係の問題は解消されないどころか、さらに深まり、親子の絆は
より切れかかるでしょう。
番組の家族も、母親と妹は別居しており、父親と息子だけが生活していました。
別居の理由は、息子の暴力ということでしたが、母親が逃げたのは、暴力からではなく、我が子から
あびせられる、苦悩からの絶叫を聞くことが出来ない。つまり、現実からの逃避です。
恐らく息子は、母親に見捨てられたと、恨んでいるでしょう。
また、いきなり他人(女性支援者)を連れて来て、いきなり慣れない説教を始め、部屋から引きずり出
し、強制的に親元から引き離す。
これで父親にも恨みが増したことでしょう。「とうとう親父まで見捨てやがった」と。
特に私が憤りを禁じえなかったのは、カメラの前に子供をさらしたことです。
あの場には、カメラマン、音声、照明、ADと複数のスタッフの方がいたでしょうが、その前で一方的に
蹴られたり、水をかけられたり、罵声をあびせられる子供の気持ちをどう考えたのでしょうか。
「人権」の観念のないまま“ひきこもり問題”に対処すれば、子供たちにさらに傷を与えることになりま
す。
子供に向き合えない親のもとでひきこもりは長期化し、恐れず説教することを向き合う事と勘違いして
いる親のもとで、子供の傷はさらに深まり絆は断たれます。
向き合うということは、子供たちの「傷み」に向き合い、「ぬくもり」で癒すことだと、日頃の支援活動の
中で私は感じています。
斎藤氏は、訪問支援者の資質に言及しておられました。
経験者が向いているとも限らない。「人は自分が抜け出したばかりのあやまちに最も厳しい」(ゲーテ)
からだ。
他者への畏れと自らの行為に対する懐疑を常に忘れないこと。
これこそが、いかなる知識や資格にも増して重要な資質であろう。
私自身は、当事者が自己理解を深め、自己責任のもとでより良い意思決定ができるように援助し、
社会の中で自分らしく主体的に人生を歩んでいけるように忍耐強く後押しできる資質が必要だと
思っています。
自己の無力さを自覚した、慎み敬いの態度が重要だと思います。
「私が助けてあげよう」など思わないことです。
この訪問支援については、安易な目的、手法もまま見られるようですので、次回も少し取り上げたい
と思います。
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2009年3月16日 20:48
幼児化する社会
「これといってやりたい仕事がないので職種の選択に迷います」ともらす青年たちがけっこういます。
「自分の適性にあった職種に就かないと長続きしないから」と確かにもっともらしい理由ではあります
が、そもそも自分の適性が見えているのか、やりたい仕事に限らず、自分の欲求すら自覚できてい
ないことが少なくないのです。
「やりたいこと」は、じっと家にいても見つかりません。先ず三つの視点をもって考えてみましょう。
●やりたいこと●できること●やらなければならないことです。
やりたいことを出来るようになるためにも、やらなければならないことがあります。
夢や希望の実現のためです。
できないことを出来るようにようになるために、やらなければならないこともあります。
スキルアップのための取り組みです。
そして、やりたいことがまだ無い場合は、見つけるためにやらなければならないことがあります。
つまり、いずれの状態でも、先ずやらなければならないことが当然そこにあるということです。
ところが、この“やらなければならないこと”という視点が、すっぽり抜け落ちていることが多く見受け
られます。
あらゆる制約、不自由さから逃れようとしている青年たちが、行動をおこすはずもありません。
「自由な時代」彼らは、制約から逃れ、自由な自己実現、個性化を許され、ひたすら自由を叫ぶ。
しかし、逆に条件を設定されなければ自分一人で目的を見出すことも、方法を模索することも出来な
いことを認めたがらず、「やりたいことがないから」ともっともらしい言い訳を繰り返し、自分をごまか
す。
単なる時代背景とは、言いたくない。大人たちが作った社会だと一般化してしまえば、全ての大人が
一斉にその責任を回避する。
「この子を育てた親の私が」と、それぞれが私の、個の問題と受け止めれば、動かざるを得ないだろ
う。
「皆でやろう」なんて言うから、皆がしない。「私がする」と皆が言えば、社会は変えられると思います。
好き嫌いの快楽原則だけで動いているうちは子どもです。
必要性から動ける現実原則が身にそなわってこそ、大人に成るということです。
現代は社会全体が幼児化しているのかも知れません。
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2009年3月12日 19:43
不登校、ひきこもりの長期化に思う
先日40歳のひきこもりの相談を受けました。
スタートは、中二の不登校です。
それ以来高校にも進学せず、今に至るとのことでした。
近年は、長期化がかなり進行していることを感じます。
4月からスタートする〈たらちねサポート〉事業は、長期化をくいとめることを大きな目的としています。https://www.interbrain.co.jp/topics/2009/01/post-3.php
春日市教育委員会の後援と社会福祉協議会の協力を受け、無償の支援活動を展開していきます。
春日市の社会福祉センターで行われる毎月の定例会で、家族がどう関わることで当事者本人を
動かすことができるか、ひきこもりという現象の理解を深め、さらには、個別の家族相談から、それ
ぞれの状況を翻訳し原因を解析していきます。
定例会は、親(家族)の自助会の形態を取りますが、一般的な親の会とは全く違います。
一般の親の会は、単なる親同士の交流会にとどまっており、中には10年以上参加しているケース
もあります。これでは何のための集まりなのか分かりません。
以前にも「周りを見ても解決した家庭を見たことが一度もありません」と述べられた方がおられました。
この方も長く親の会に参加しておられ、事態が変わらず当協会に相談にこられた方です。
長期化の背景には、「問題」を間違ってしまっているということがあります。
間違った問題に対して正しい答を出そうとしていたという、極めて不効率なだけでなく、かえって事態
をこじれさせてしまうということをしてしまっているのです。
「問題」というものは解決された状態と現実との差であるわけですが、何をもって解決とみなすのか
という点で誤ってしまっている。
そして、「問題」というものは変化を必要とする状態であるにもかかわらず、その変化を拒むという
矛盾に気づかないでいることがさらなる長期化を招いているのです。
わが子を変えようとはしますが、自分自身がどこも何も変わっていないのです。
「親が変わらなきゃ」とよく聞きますが、何を変えればいいのかも分からないで言っていることが多い
ようです。
また、「わが子と向き合う」ということを、パートもやめて四六時中子どもといることだと勘違いしている
ことも少なくありません。
以前のブログで、「親子の共同作業」https://www.interbrain.co.jp/blog/2009/01/post-74.php
と題して述べたことがありますが、長期化には親自身が深くかかわっているのです。
今回のサポート事業は、当協会主催の「ゆにわの会」https://www.interbrain.co.jp/yuniwa/での
実績を踏まえ展開していくものです。
当事者が動けない状態であっても全く心配ありません。
「ゆにわの会」の参加家庭は、ほとんど当事者が社会参加への訓練を始めています。
親御さんたちが「問題」を見誤らず、変化を恐れず、適切な関わりを始めたからです。
ただ一つこの「たらちねサポート」事業で危惧していることは、長期化している家庭ほど親御さんが
高齢であり、インターネットを利用していないことが多いということです。
恐らくこのブログを目にすることもないでしょう。
もしあなたのお身内、お知りあいにひきこもり当事者があれば、是非お知らせしてあげてください。
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2009年3月 6日 17:41
携帯依存症?
子ども達の携帯電話の利用が問題視されてきています。
文科省の調査の報告記事が掲載されていました。
http://www.asahi.com/national/update/0225/TKY200902250315.html
わが家にも小6の娘がいますが、携帯電話の所有率が、小6が25%、中2が46%、高2では96%に
及ぶということです。
娘にも持たせていますが、もっぱら防犯目的です。ピアノ教室に通っていますので、GPSで教室へ
着いているかが確認できます。ですから当然平日は持ち歩きませんし、休日親と離れて行動する時
のみ携帯させます。
記事の中で気になったのが、利用場面です。
「食事中」という答えは小6が12%、中2が25%、高2は22%
「入浴中」は小6で3%、中2で10%、高2では17%
ここまでくると、もう依存症といっていいでしょう。
食事中に使用することに対して、親はなぜ注意しないのでしょうか。
「時間帯が違い、一緒に食事をしていないから」と返ってきそうですが、食事の様子をうかがうことも
しないのでしょうか。
ただこれは、何も子どもたちだけではないような気がします。
通りを歩く大人の中にも、携帯を開いて歩いている人も少なくありませんし、運転しながら携帯をのぞ
きこんでいる人もいます。
喫茶店で同じテーブルに座っているのに、互いが会話もせず携帯に指を走らせている人たちもいま
す。
携帯が手元にないときっと落ち着かないのでしょう。
こういった依存症質は、虚無感、喪失感からきています。
心の空虚さから、何ものかに執着、依存してしまうのです。
ですから現代人は、子どもも大人も何らかの虚無感を抱えて生きているのでしょう。
このあたりは、ひきこもる青年たちと全く同じです。
彼らは、自己喪失の恐怖から人を遠ざけ、虚無感から生きていく希望を失っています。
携帯メールに依存する子どもたちは、顔も見たこともない相手をメル友と称し、人間関係を構築して
いる気になり、文字や絵文字といった字面相手に一喜一憂しています。
きっと家庭の中で、家族が互いの顔を見て会話をするという場面自体が少ないのではないでしょうか。
もしかすると、2階の子供部屋と1階で親子がメールで会話をしているのかも知れません。
明治天皇の『五箇条の御誓文』に「各其の志を遂げ、人心をして倦ままざらしめんことを要す」という
文言があります。
志、生きがいのある目標をもって自分らしく生きるということです。
心が暇になれば、人間ろくなことは考えません。
子どもたちの心になぜ虚無感があるのかを私たち、大人、親は考えなければなりません。
今、生きているという実感がありますか?
生きていくという自覚がありますか?
より良く、豊かに生きていくという意欲がありますか?
生きていることを楽しむ余裕がありますか?
生きる充実感を得たいですか?
それが無ければ、あなたはムサボリック・シンドローム、“隠れひきこもり”です。
自分の世界に閉じこもり、何ものかに依存、執着し、貪りつくします。
気づかないまま。
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2009年2月26日 20:00
出したら終わり?
ひきこもりやニートの問題は、とかく社会に参加した時点で終了したかに思われがちですが、実は、
それからが始まりです。
社会から離れていた期間が長ければ長いほど、社会に適応していくために多くの時間とエネルギー
が必要となってきます。
いざ社会生活が始まると想定外のことが毎日のように起こります。
一般的に、支援する側は、当事者本人の過去の傷つきを癒すことに重点がかかります。
時間で解決したり、「信じているから頑張りなさい」といった精神論的な応援で、その痛みを癒そうとし
ます。それももちろん必要です。
しかし、それよりも、再びストレス要因となる出来事に遭遇した際、同じ傷として抱え込まないですむ
ための技術を身につけることがより大切なのです。
「技術」といっても、要はより良い習慣づくりです。良い日課、より良い生き方の姿勢・態度をもつと
いうことです。
一つ紹介しますと、「自己判断・自己決定・自己責任」の習慣をもつことです。
多くのひきこもり、不登校の青少年たちは、これまでに主体的に物事を判断するということをやって
きてないことが少なくないようです。中には、それを親から許されなかったという場合もあります。
そのために、周囲に対して過度に依存的になり、他罰的な姿勢になっています。
周囲が決定したことに従って生きていくという姿勢がみについており、中には、判断を要求される場面
で、反射的に思考を止めてしまうタイプの青年もいます。
自罰的な青年もいますが、それも、自虐的に自分を悪いと責め、落ち込ませているだけで、責任を
もって自分のやるべきことを実行していこうという主体的な態度は、そこにはありません。
「自由」と「責任」は互いがそろってこそ、主体性をおびてきます。
責任を負うことを避け、自由な生き方だけを得ようとすれば、逆に、ありのままの自分を拘束された
不自由極まりない生き方しか出来なくなってしまいます。
自らの後始末ができる人になるための習慣づくりが、ストレス耐性を強化するためのひとつの技術
でもあるのです。
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2009年2月20日 19:44
誰の問題か
ひとつの家族の中で、ひきこもりなどの問題がおこった時に、「誰の問題なのか」つまり「当事者は、
誰なのか」ということが大切な視点となってきます。
家族療法などでは、IP(Identified Patient)という言葉があります。『患者と見なされている人』と
いった意味あいで使用されています。
一般的には、ひきこもりや不登校の子供たちが、まさに患者(?)とみなされてしまっているわけです
が、当室では、家族そのものがIPつまり、問題を発生させている当事者ととらえています。
ところが、その当事者は、親は「この子の問題」ととらえ、子供は、「親が悪い。親の問題」ととらえ、
つまり、双方が互いに自分以外の問題ととらえていることが多いのです。
こうなると問題解決からますます遠ざかります。
自分自身の生き方、人生の中で生じているという認識に乏しく、互いが自分の人生の中に、不可抗力
的に他者の人生が入りこみ、被害を被ったという認識が強いようです。
ですから、親は「子が変わらなければ」と、子供は「親が変わらなければ」とそれぞれが、相手が変わ
らなければ、問題は改善しないと主張します。
中には、「私たち親がカウンセリングを受けても、本人が動かなければどうにもなりませんし」と言う親
もいます。当然事態は長引き、より深刻化します。
主体性を欠いた相手まかせの依存的姿勢になっていることに気がつけないようです。
この共依存関係がひきこもり家庭の特徴とも言えます。
ひきこもりも不登校も当人が動けないことが前提です。だから当然家族が動くしかありません。
それなのに「本人がいやがるから」と、現実認識を避けさせてしまうことが少なくありません。
親がどう動く事で、子供を動かしていくかに知恵をはたらかせなければなりません。
親もまた現実認識を避けてしまっていると言えます。
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2009年2月13日 19:39
受け入れることの困難さ
問題解決を考える時、先ずその問題を「受容」するということが大切になって参ります。
「受容」というのは、受け入れることと、引き受けることです。
つまり、目の前の現状をありのままに受け入れ、両目でしっかり見て、そらさないということです。
「如実知見」という言葉があります。如実に知見する。先入観などを挿まず、深く“観る”。
観察、洞察するということです。
そして、我が子を通した“自分自身の問題”として、自己の責任として引き受ける。
無益な犯人探しに時を費やすのではなく、互いが「問題解決の主体者は自分である」という意識を
しっかりともつということです。
長期の引きこもりのご家族のご相談を受けておりますと、長期化する要因が見えて参ります。
大きな要因としては、子どもの問題を通して、家族の問題、自身の生き方の問題に行き当たるから
です。
夫婦の問題、嫁姑の問題、親自身の生い立ちの問題、親の立場を離れた個人としての生き方の問題
などに向き合うことへの恐れが、現状を「受容」することを阻んでしまいます。
それは、それぞれが穏やかな安寧な暮らしを望んでいるからでもあります。
その問題に向き合うことが、一時暮らしの中にゆらぎが起こることへの不安があるからです。
変化することへの怖れとも言えます。
しかし、ここで認識しておくことが必要なことがあります。それは、今まさに目の前にあるわが子の
不登校、引きこもり自体が、家族それぞれが、その穏やかで安らげる安寧な暮らしを求めた経過の
中で、生じた“ぬくもりの争奪戦”の爪痕だということです。
人は今がどうあれ、現状にしがみつき、変化していく状況に抵抗しようとします。
問題に向き合うことでの一時のゆらぎは、まさに“一時”のことであり、親と子が互いに現状を「受容」
できるようになることで、共に求めた安寧な暮らしが実現できるのです。
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2009年2月10日 20:27
身近にあるひきこもり
今日は、私の会計事務所時代の税理士の先輩と話をする機会がありました。
数年ぶりの再会で懐かしい思い出話も聞けました。
そんな中、「顧問先にもひきこもりがいるんだよね」と話があり、あらためて、どこにもごく身近にこの
問題があることを実感しました。
かねて、ひきこもり当事者対象の講演会でなくても、必ずといっていいほど講演の後に話しかけてこ
られる方がいて、「ウチの近所に・・・」とか「私のオイが・・・」といった話が聞かれます。
それほど、日常的な生活のそばに“ひきこもり”という現象が起っているのです。
この先輩からも、不登校児童やひきこもり青年たちにいったい何をしていけばよいのか、何ができる
のかといった質問を受けました。
一般的には、<病院へ連れて行く=薬を飲ませる>といったことがイメージされているようですが、
何が問題であるのかが見えていない状態と言えます。
甘えを失くす?
やる気を出させる?
頭がおかしい?
それを治す薬でもあると言うのでしょうか。
精神科医の斉藤学氏はその著書の中で次のように述べています。
『学校制度を支えている教師たちの中にも、学校に来ない子を見てあわてたり、障害児と決めつける
人がいて、そこに過剰な心理療法主義に冒されて、社会というものが見えなくなった精神科医や治療
者がそろうと、現在の登校拒否問題の図式が一応できあがります』
『・・・むしろ治療の必要のない子たちが入院させられ、向精神薬を服用させられ、病院でしか暮らせ
ない人たちになってしまうことの害の方が恐ろしい』(家族依存症)
この著書は、16年も前のものですが、この傾向はいまだに強いことは、私も日々の活動の中で常に
感じています。
もとより私は医者ではありませんので、相談者に病理性がうかがえた場合は、連携している病院
(精神科)にお願いしています。治療ルートにのせることで、事態の改善が見られ、社会参加できた方
もいるのは事実ですが、多くは治療を必要とする状態ではない子たち、青年たちです。
では、何が彼らに必要なのかというと、それは訓練です。
社会へ健全な適応ができるようになるためのトレーニングです。
もちろんその時に大切なことが、かかえているトラウマの解放、昇華です。
不登校、ひきこもりの一要因にもなっているそれぞれのトラウマをそのままにして、生きていく力を
回復させることは困難です。
当事者たちに必要なことは、癒しではなく活かしなのです。
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NPO法人地球家族エコロジー協会
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2009年2月 7日 17:08
環境・条件を整える
現在、私が定期的に訪問しているご家庭が二軒ほどあります。
もちろん最初の相談時には、ほとんどのご家庭が当事者の青年たちは動けない状態の中での
スタートなんですが、当協会の場合、ほとんどの青年たちが自分の意志で出てまいります。
それは、本人たちも好き好んでひきこもっていないということ。
できるものなら普通に過ごしたいと思っているから。
だから、動き出せる理由を与えてあげることで、自然動けるようになるのです。
それでも動けない場合のみ、直接自宅への訪問をかけます。
でもその数は、圧倒的に少ないのです。
その中でよく「うちの子は頑固ですみません。」と恐縮される親御さんがおられます。
「親が言っても、どうにもなりません」と。
親御さんたちは、わが子の意思を直接的に変えようとしてしまっています。そして、それが出来ない
ことで悩んでいます。「何故学校へ行ってくれない。働いてくれない」と。
言っても聞いてくれない。だから結局何もしないで長期化していっています。
他人の意思を自分の思うように変えることは、原則無理なことです。
人間の行動は、環境・条件によって、変わってくるものです。
特に人間関係における行動は、相手の姿勢・態度によって大きく変化します。
わが子をより良い方向へ促すためには、そちらへ導くための水路を作る必要があります。言わば、
条件づくりです。環境・条件を整えていくことで、しむけていくわけです。
そのためには、戦略・戦術と絶え間ない創意工夫が必要です。
「言ってもしませんから」これではあまりにも知恵が無さ過ぎる。
先ず親自身の言動と、姿勢・態度の見直しが必要です。説教で動かそうとしていないか。言行一致
しているか。
「愛情や真心こそ大切では?」という声もあります。しかし、知恵のない愛情は、目が曇り、子どもを
主体性や自立心を欠いた人間に育ててしまいます。もちろん、愛情のない知恵は、子どもから感情を
奪ってしまいます。愛情と知恵をもって、より良い状態にしていくために、環境・条件を整えていくこと
が、子どもに気づきと自覚を促し、成長させていけるのです。
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2月05日 (要予約 0120-870-996)
熊本市青少年センター(熊本市新屋敷1-18-28)を使用させていただきます。
熊本市内近隣地域はご自宅までお伺いもできます。(交通費実費/熊本市役所からの距離による)
八代市厚生会館 2月04日 (要予約 0120-870-996)
相談料3千円
NPO法人地球家族エコロジー協会
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2009年2月 3日 20:02
力強い青年たちの言葉
今日「ゆにわの会」を行いました。
今回はサプライズで、親御さま方に内緒で青年たちを招待しました。
5人の30代の男性たちです。
自分の親、そして他の親御さんたちの前で、それぞれの心もようを語ってくれました。
当協会に最初に訪れた時のこと。最大の緊張です。
自分の中でそれぞれに心の整理をし、勇気をふりしぼってやってきたこと。
カウンセリングに通いながら、少しずつ現れた心の変化。
家族への感謝、これからの目標。
初めての経験で、手元にメモを携えてきたものの、話す時になったら手元を見る余裕もなく、思う
ままに一所懸命話してくれました。
見事でした。
多数の親御さんの前で心の内を話すことはもちろんのこと、自分の親の前でというのは、かなりの
緊張だったと思うのですが、皆はっきりとした口調で、素直な気持ちを吐露してくれました。
終わって、それぞれの親子ががっちりと握手をして、互いをねぎらい、励ましあいました。
五人の青年たちは、皆それまでの苦悩のトンネルから脱し、互いが次のステップアップへ向かう、
友人、同士です。
親御さま方も、友人が横に並ぶわが子の姿にとてもうれしそうでした。
この青年たちも、決して短くない期間動けずにいました。
しかし、誰一人私は、自宅にまで訪問していません。
皆自分の意志で当協会を訪れたのです。
なぜそれができたと思いますか?
親御さんが動いたからです。
わが子の状態を、しっかり理解しようと努めたからです。
理解していけば、親として何をすべきなのかが、見えてきます。
わが子の心の痛みの意味が見えてきます。
真摯に現実に向き合った親子は、必ず前へ歩めるようになるのです。
接客業のバイトをしている青年がいます。
営業職を探している青年がいます。
自分の心にかかっていたくもりを払いのけたら、本来の自分の可能性に気づけるんです。
「ひきこもりは病気だから医者しか治せない」
「10年もひきこもっていたら、もうあきらめるしかない」
家族が現実から目をそらし、逃げていてはもうそれまでです。
どれだけ多くの普通の子どもたちが、病人にしたてられてしまったことでしょう。
明日にでも脱することができる子が、飛び出す機会を奪われてしまっているでしょうか。
時折、当事者本人からのSOSがあります。
しかし、当協会までたどり着くことが出来ないケースは少なくありません。
なぜか。
両親の理解、協力が得られないからです。
ただの甘え、ただのひきこもり。自分で動けば(働けば)いいだけのこと。
手助けするも何もない。
誰でも嫌なことを我慢して生きている。
我慢から逃げるやつは弱い人間だ
我慢に我慢を重ねて、もう我慢できなくなって倒れてしまったことに気づいてあげてください。
何ものかに挑戦するために必要な勇気は、理解者や応援者がいるからこそ出てくるものです。
青年たちは、それが親であるはずだということを疑っていなかったのですよ。
それに気づけていましたか?
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2009年1月31日 19:40
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