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解決支援者の現場日記 : 旧ブログ ニート 14ページ目

無償の支援活動から見えてくるもの

昨年度より、福岡、北九州、熊本の3エリアで、「たらちねサポート」というひきこもりの無償支援活動

を行っています。https://www.interbrain.co.jp/topics/2010/06/post-2.php

 

 

民間レベルの支援ノウハウを無償で提供するだけあって、企画段階で関係者数名から、「画期的な

取組みだが、無償であれば依頼が殺到し、対応が困難では?」という心配の声もありました。

 

 

確かにそういう懸念を抱かれるのは一般的にもっともだと思われるでしょうが、私は全くそんな心配は

しておりませんでした。

と言いますのも、これまでの支援経験から、お金がかかれば何もしない。無償なら動くといった、

経済的な条件が実行、不実行の要件ではないことを認識していたからです。

 

 

目の前の問題解決に対して動かない家庭は、たとえ無償でも動きません

もちろん、黙って見ている間に、第三者がわが子の不登校、ひきこもりを無償で解決してくれるのなら

依頼があるでしょう。

自分は動かなくていいわけですから。

 

 

しかし、当協会の支援法のように、ご家族にも一緒に動いて頂く方法の場合は、自分たちが動かな

ければならないとなると、少々違ってまいります。

 

 

では、何が実行、不実行を分ける要件なのかということですが、それは、困っているか、いないか

です。

 

 

「えっ?、わが子がひきこもっていて、困っていない親なんているのか?」と思われたと思いますが、

困っていない家庭もあります。

厳密に申しますと、「困ったもんだ」とは思っていますが、「わが家にはそのままにはできない改善、

解決を要する問題が起こっており、何らかの対策を講じる必要がある。そのために、自分が動き、

手立てを探し出すことを始めなければならない」というところまで意識していない家庭が、少なからず

あるということです。

 

 

つまり、感情的不全感にとどまり、問題意識にまで至っていないのです。

この状態では、本気で困っているとは言い難いのです。

 

 

また、困った問題はそのことだけではなく、他にもあり、優先順位としてわが子の不登校、ひきこもり

よりもそちらが優先されてしまっています

 

 

子どもが困ってしまっていることを最優先に考えられるようになった家庭では、確実に子どもに変化

が現れます。

 

 

保健室登校では意味がない。行くんだったら教室。それが出来ないから行かない」とか、

自分のやりたい仕事でないと続かないから、やりたいものが見つかるまで働かない

バイトじゃダメだから、正職が決まるまで何もしない

 

 

など、all or nothingの考え(二分法思考)しかできない青年たちが多いですが、その家族(親)もまた、

やるんだったら完全解決。改善ぐらいだったらしても一緒

と、自身の手間を必要とする(あたりまえですが)のならば、無償支援でも「nothing!」としてしまう

ケースも多いものなのです。

 

 

でも、何も始めなければ、当然事態は深刻化していくだけです。

何もせず長期化させてしまい、最大の困った事態にしてしまう前に改善を積み重ね、解決へ導いて

いけばいいのです。

経過を飛ばし、結果だけを急ぐ傾向がよく見られます。

 

 

「たらちねサポート」では、学習会交流会という自助グループの形態を取っています。

月に一度の会ですが、学びを重ねるごとに、子どものことがより理解できるようになり、事態を受容

でき、そのことが家族側のメンタルヘルスにもつながり、解決のためのモチベーションの維持に役立

のです。

この形態を取ることで、自然に手間を惜しまない親御さんたちが残っていきます

 

 

ですから、対応できないほど詰め掛ける心配はないのです。

 

 

ひきこもり無償支援活動〈たらちねサポート〉事業
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同級生刺殺、被告の少年は発達障害 奈良地裁鑑定

29日朝日新聞の記事です。
http://www.asahi.com/national/update/0529/OSK201005280142.html?ref=rss

昨年7月 奈良県桜井市の近鉄桜井駅で起こった、高校3年生の刺殺事件です。

 

 

二人は同じクラスの生徒で、加害者の少年は現行犯逮捕され、その後精神鑑定を受けていました。

当時少年は、「学校での態度に日ごろから腹が立っていた。同じ電車で顔を見たから殺すつもりで

刺した。包丁はあらかじめ用意していた」と供述していました。

 

 

今回報道された鑑定の結果は、「アスペルガー症候群」ということです。

アスペルガー症候群は、社会性の障害、コミュニケーションの障害、想像力の障害およびそれに

基づく行動の障害のうち、コミュニケーションの障害が軽微であるものです。

 

 

言葉の遅れや知的な障害がない分、非常に分かりにくい。

特に人の気持ちを読んで人に合わせたり、二つのことを同時に行ったりができなかったりと、社会

性の部分で不都合が生じやすく、いじめの対象になったりする場合が少なくないようです。

 

 

こういった事件がある度に、「〇〇という病気、障害は危ない」と見なされてしまいがちで、不登校や

ひきこもりの中にも、アスペルガー症候群の青少年が現実いますので、「だから犯罪につながる」

「ひきこもる」と捉えるのではなく、病気や障害に対する正確な認識をもって頂きたいものです。

 

 

不登校やひきこもりに関しては、長期化したことで、経過の途上で神経症などの病理が発症した

場合もあります。その際、あたかもその病理がひきこもりの原因にすり替えられてしまっていること

があります。

 

 

病気や障害が原因であるとされた重犯罪であれば罪が問われないとするならば、その障害をもって

いる人たちがあたかも犯罪者予備軍と見なされてしまいかねませんし、不登校やひきこもり自体が

全て病理、障害と見なされれば、そこへ至る背景が何ら考慮されなくなってしまいかねません

 

 

実際、そういう傾向が強まってきています。

ひきこもりという病気(障害)だから、解決のためには薬を飲ませ、隔離、保護しようと。

 

 

ひきこもりの青年たちの中には、過去不登校を経験した者が少なくないからといって、不登校した

ら、先で必ずひきこもるというわけではないのです

 

 

一部、病気、障害があったからといって、その病気、障害が常に犯罪やひきこもりをひき起こすわけ

ではないのです

 

 

 

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責任をもてない父親

どうして、こっちが歩み寄らなければならないんだっ!

と、ひきこもるわが子との距離を縮められない父親はとても多いものです。

特に暴力行為がある場合は、「理解しろっと言われても・・・」と納得しかねるといった表情をあらわに

されます。無理もないことでしょう。

 

 

しかし、不登校でもひきこもりでも、早期の解決をしていくためには、親の方が理解していくしかあり

ません。

 

 

それと、「理解する」ということを「本人の要求を何でも聞き入れる」といったような意味合いに捉えて

いる場合も多いようです。

「そうではない」と何度言っても、自分の方から歩み寄ることへの納得し難さが先に立つのか、なか

なかその意味合い自体を理解しようとしません。

 

 

困ったもんだ、なんとかしてくれ」と不満をもらしますが、一番困っているのは本人自身なんです。

その困っていること(中身)を理解して頂きたいのですが、「どう分かれと言うんだ」という感じです(笑)

 

 

理解し難いのは、本人の視点に立てていないからです。

親の立ち位置、視点でしか見ていなければ、到底分かるはずもありません。

わが子の視点に降りるんです。

これが出来ないでいる。

 

 

支援者の立ち位置で、こうした父親を見ていると「まだ自分の困っていることしか頭にない」と感じて

しまいます。

また、思うようにならないわが子に対して「困ったやつだ」と不満をもらしながら、自身が解決のため

の障害になってしまっているケースも少なくありません

 

 

父親からの本人へのアプローチを促すと、「おまえに子育ては任せていたんだから、おまえが何と

かしろっ!」と母親に丸投げしてしまう父親です。

本人(特に男子)が父親との関わり(和解など)を希望しているにも関わらず、それを拒否するのです。

 

 

わが子にどう向き合えばいいのかが分からず、向き合う勇気が出せないのです。

それだけ、これまでがわが子とのコミュニケーション、情緒的交流が充分でなかったわけです。

それ自体が、ひきこもりを招いたひとつの要因でもあります。

 

 

母親だけをカウンセリングに通わせ、自分は一度も顔を出さないケースも決して少なくありません。

母親が、わが子の視点に降り、理解し、信頼関係を取り戻そうとはたらきかけている横で、子どもを

なじる父親もいます。

支援者の視点で見れば、「本当に解決したいと思っているんだろうか?」と考えてしまいます。

 

 

理解が深まれば、日々のわが子の様子に対しての受け止め方が変わってきます

腹立たしさだけだったものが、かわいそうに思え、申し訳なさまで感じてきます。

怒りは心身を腐敗させ、あらゆるものを歪めますので、怒りが軽減されていくことは、自分にとっての

メンタルヘルスにもなるのですから。

 

 

わが子の視点に降り、理解することへのためらいは、「責任をもつ」ことへの抵抗です。

自分自身の問題だと認識できることでこそ、わが子への寄り添いが出来てきます

 

 

母親に対して「おまえに任せていたんだから」とか、

子ども自身がしっかりすればいいだけのこと

と、言っている内は、どこにも自分が責任をもつという姿勢がありません。

 

 

自ら責任をもち主体的に動いていくということが無ければ、しっかり自分の人生から責任を取らされ

ます

つけが回ってきます。

わが子が成長し自立した姿を見られていたであろう年齢に、「誰に食わせてもらっていると思って

いるんだ」と愚痴が出てしまう状態は、まさに責任を取らされている状態ではないですか?

 

 

父親を求めるがあまり、嘆きを訴える青年たちの声を聞いている同じ父親の立場をもつ私からの

お父さま方へのエールでした。

子ども達は、父親を待っています!

 

 

 

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未来を拓く?

先日相談者から、あるひきこもり家族会の代表者の講演録を見せて頂く機会がありました。

 

 

演題は『未来を拓くひきこもり支援

会の名称自体に障害名を入れている団体だけに、当初からその活動を危惧していましたが、その後

の展開を時おり傍観しておりました。

 

 

『未来を拓く・・・・・』というテーマでしたので、多少の改善(笑)がなされたかな?と期待して読み進め

てみましたが、その内容は、危機感を覚えるほどのものでした。

 

 

全体を通して感じられるのは、「親」は毒であり、「人」は薬と表現しておられるのですが、ご自身

(この代表の方も当事者)も含めて、親の関わりによるひきこもりの実態には、一切触れておられない

のです。

 

 

ひきこもりは、ほとんどが病理的(精神疾患や障害)なものであり、無病理性は2~3割で、その

タイプのひきこもりは、会に入ってもらいたくない

その理由は、反社会的な立場になるからだと述べておられます。

 

 

その上、3年がターニングポイントで、それを過ぎると、ほとんど神経症になり、最後は放置

するともう良くなることは無く、人によっては重篤になり精神障害に移行することがまれでは

ない。とまで述べておられます。

 

 

また、ひきこもりが続けば、家族機能不全、親子共依存になる。と繰り返されておられるのです

が、これは完全に見誤っておられます。

 

 

そもそもが、家族機能不全、親子共依存だからこそ、ひきこもりという現象(病理ではなく)が起こって

いるのです

 

 

私がいつも提言しておりますように、ひきこもりというのは、親子の共同作業です。

当事者の子どもだけでひきこもるという行動は取れません。

ひきこもることができる環境、継続させる条件を与えてしまっているのは、親自身です

 

 

この代表の論理は、「ひきこもり」という病、障害は、家族単位でどうなるものでもない。国が支援

すべき。社会全体が救済すべきだというものです。

 

 

当協会が携わってきた、それこそ3年以上、中には10年を越す、20年という事例もありましたが、

そのほとんどが無病理であり、社会参加が実現できています

 

 

もちろん、数年を経過したために、ひきこもりの途中(原因ではない)で、神経症や対人恐怖が発症

しているケースはあります。

それでも、訓練(治療ではなく)でそれらの症状は緩和され、接客業や営業職にさえ就いています。

 

 

これらの実績からも、代表の意図するものには、戦慄さえ覚えます。

この代表が啓蒙(洗脳)している団体は、規模を拡大していると聞きます。

代表は、はばからずこうも述べておられます。

私は厚生労働省や内閣府に百万単位の精神障害者を生み出していると。人が怖い人は

ホームレスにもなれない、こんな酷い状況にしてしまってどうするのだ!と言ったのです

と。

 

 

自身がその酷い状況を作ってしまっていることに早く気づいてほしいものです。

 

 

現実直視を恐れず、責任転嫁をやめ、本来の親子の絆の回復(結び直し)に取り組める真の

たらちねの親御さんたちと共に、大きなうねりを起こしていきたいと決意を新に出来た思いです。

未来を閉ざすひきこもり支援』の演題が相応しい内容でした。

 

 

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愛知県豊川市一家殺傷事件に思う

長男、ネット通販・借金200万円超 愛知・一家殺傷事件は、ひきこもり当事者家庭には、特に衝撃
を与えたようです。
http://www.asahi.com/national/update/0418/NGY201004170042.html

以降の相談業務の中で、この事件に相談者が触れることが少なくありませんでした。

 

 

インターネットの解約が凶行の直前の引き金とあって、

本人の意志に反することは避けた方がいいであろう。

そもそもインターネットは良くないのでは。

お金の与え方など、事件の全貌がまだ明らかにされていないこともあり、色々な憶測から不安感

だけがつのってしまっているようです。

 

 

結果としての惨劇は、いかなる理由であれ赦されるものではありませんので、改めて議論すること

でもありません。

考えてみるべきところは、なぜネット通販で200万円以上の借金をすることが可能であったか

父親の給料を長男が管理することが許されてしまったのか

十数年もの間、ひきこもることが容認されてしまったのか

といったところではないでしょうか。

 

 

自由を許されていた状態で、いきなり自由の制約を受ければ、反発が生まれるのは自然なことです。

だからといって、解約をしたのがまずかったといった考えは、あまりにも短絡的です。

 

 

例えば、200キロにも至らんような体重で、日常生活がままならなくなっている状態の子に

「けしから!」とばかりに、突然ダイエットを強行させてみたところで、「はい、分かりました」とは

ならないでしょう。

 

 

体重は突然増えるわけではありません。そこに至るまでに何年も経過しています。

その間、親は何をしていたのかということです。

じわじわと太ってしまうことを容認し続けていたわけですから、太ってしまった後にとがめられても

素直に聞けるものではありません。

 

 

そこまでなると到底ダイエットのみでは追いつかず、脂肪の切除(これがネットの解約)といった

荒治療が必要になります。

しかし、それまでのカロリー摂取(本人の意識)が改善されなければ、ほどなく元に戻るでしょう。

 

 

あるメディアでは、「家族のSOS届かず」と記述されていましたが、青年たちのひきこもりは、それ

自体が子どもからの親へのSOSです

子どものSOSに気づけずにいて、私たちはわが子に苦しめられてきましたというのも如何なもの

でしょうか?

ネットを止めさせる前にひきこもりに終止符を打たせるべきだったでしょう

行動にいきなり制約を加えるのではなく、長男の意識への何らかのはたらきかけがなされていた

ら防げていたことではなかろうかと感じます。

 

 

決して長男がとった行動は、赦されるものではもちろんありません。

しかし、加害者の異常さだけがクローズアップされ、一方的に糾弾される報道の視点は、事実の

伝達という点で、正確さを欠いたものであり、そのことで謝った認識が広がり、ますますひきこもり

問題の長期化、深刻化を招き、次の新たな事故を誘引してしまいかねない気がしてなりません。

 

 

 

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積小為大

「信頼を築く」と申しますが、何事も積み重ねがあればこそ、それなりの結果が得られます。

今日の一手が、いつにつながるかは分からないにしても、いつかに必ずつながります。

布石を打ってこそ、成果の根拠を作り得るのです。

 

 

しかし、今日の一手の結果を今日に求めるご相談者も少なくありません。

こちらからあたえた課題に対して、「今日〇〇をやってみたのですが、ダメでした。ムダでした」

「何度言っても動きません」と、そこですぐに結論を出してしまいます。

 

 

そもそも不登校、ひきこもりは、生活習慣病みたいなものです。

長年のその家庭の日常に問題があったことで、生じた現象です。

改善を要する状態に気づけず、積み重ねてきた(そのままにした)結果です。

習慣は、衣服に染みついた臭いのように、なかなか取れません。

 

 

10年近くもひきこもっていた状態で、「半年ぐらいで治りますか?」とか、5、6年ひきこもっていた

わが子に働きかけを始め、わずか1年ぐらいで思うように変わってくれないと、あっさり諦める親御

さんもおられます。

いずれも、今の現象にしか目をやれないでいるからです。

あたかもリモコンを押して瞬時に番組(画面)が変わるように、一手で全てを変えようと期待するので

しょう。

 

 

成果を出すための小さな積み上げ(布石)の重要さが分からないでいると、それを無駄にしてしまう

こと(あっさり諦める)も平気でしてしまいます。

数年前に、勝手にあきらめてしまい、逆にわが子からせっつかれて、再び私共に頼ってこられた

ご家族もおられます。当然、数年前に積み上げてきたものを再度積み上げ直していくことから始め

なければなりません。

 

 

「子育ては、待つことが大切」と言われます。

しかし、「待つ」ことを「そのままにしておく」ことと勘違いしている親御さんも少なくないようです。

「待つ」というのは、布石を打ち続けながら待つのです

 

 

実りの収穫を待つ時に、何も手入れをしませんか?

雑草を取ったり、肥料を蒔いたり、手をかけますね。

それでも、収穫の時期(タイミング)があります。

それを「待つ」のです。

 

 

手入れをせずにそのままにしていれば、収穫どころかいずれ枯れます。

また、待てない親は、収穫の時期を子どものタイミングではなく、自分の都合に合わせようとして

います。

 

 

梅や桜は、春に咲くからいいんです。

勝手に時期を変えれば狂い咲きになってしまいます。

 

 

漫才の西川きよしじゃないですが、「小さなことからコツコツと!」です。

積小為大〉布石を確実に着実に打っていけば、必ず大きな成果が現れます。

 

 

自分の都合を優先させることは、もうやめませんか?

 

 

 

 

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熊本市五福公民館 

 

3月23日 (要予約 0120-870-996)
八代市厚生会館  

 

3月31日 (要予約 0120-870-996)
和水町中央公民館

 

【北九州出張相談会】

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癒し系

不登校でも、ひきこもりでも、当事者の青少年たちは、心の傷トラウマを抱え、苦悩しています。

何ものかに怯え、身動きが取れなくなってしまっています。

ストレスに対しての抵抗力もなく、ちょっとしたアクシデントにも背中を向けてしまいます。

そんな様子を見ていれば、心の傷を癒してあげたいと思うのは無理も無いことです。

 

 

日本は、毎年3万人以上の方たちが自殺をしています。

子どもへの虐待も4万人以上です。

ストレス社会を超え、トラウマ社会の様相を呈しています。

それを反映してか、癒しグッズやリラクゼーションサロンなどもよく目にします。

 

 

不登校、ひきこもり支援のあり方を見ていても、ほとんどといっていいほど、癒してあげることを

第一義に考えられているようです。

自由にできる空間を提供し、無理をさせず、「安心してひきこもれる環境をあたえましょう」と言って

いる方もおられるぐらいです。

メディアで報じられる映像もまた、大抵ゲームをしたり、芸術的な創作活動をしている風景です。

 

 

もちろん、安らげる環境を与え、休ませることも必要な時期があります。

しかし、痛みが和らいだら立てるかといったら、そうではありません。

立てる(自立)ためには、癒しとは別なものが必要です

そういう意味で、ゆっくり休ませる休養の時期に目処をつけ、修養のステップに切り替えていくことが

必要になってきます。

 

 

青少年たちが帰っていく場所は、自身が傷を受けた社会です。

保育室のような環境で、全ての負荷から遠ざけた時間を過ごさせるばかりでは、社会へ巣立って

いった時に再び、傷を受けてしまいかねません。

しかも、以前よりさらなる痛手をです。

 

 

とはいっても、〇〇ヨットスクールや、〇〇メンタルスクールのような監禁、死亡に至るようなスパ

ルタ系支援は論外です。

とかく人間は、どちらかに偏りがちです。

だからこそ中庸が尊ばれます。

 

 

「傷ついているから癒してあげよう」では、癒すことが目的となってしまいます。

目的は、あくまでも自分の足で立っていく、生きていくということです。

 

 

青少年たちは、傷つき元気を失くしているのです。

生きていくための根源の気を失っているのです。

 

 

元気を取り戻すためには、活かしてあげることです。

活き活きと自分の生命、個性、役割、を活かしていくことです。

個性や役割は独自なものです。

だからこそ価値があるのです。

 

 

自身の価値を認識できて、自分の存在を社会の中で活かしていく術を身につけさせることができれ

ば、傷の痛みは和らいでいきます

傷を受けていたことすら忘れることもできます。

活かされてこそ癒される」のです。

 

 

とかく支援活動している側にも、過去に傷を受けた経験がある方たちが多いものです。

そのせいもあるのでしょうが、慈悲深き観音系の支援法が目立ちます。

しかし、不登校やひきこもりの青少年たちは、様ざまなトラウマ(魔障)に怯え、立ちすくんでいます。

その魔障に対して、忿怒(ふんぬ)の形相で共に立ち向かってあげ、ひっぱりあげてあげる明王系

の支援も必要であることを心得てほしいものです。

 

 

 

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自律できない子どもたち

自律とは、自分の中に判断の基準を持ち合わせ、それに従い、自身を制御、コントロールすることで

す。

自制心がなければ自律はできません。

 

 

「慎独」というすばらしい言葉がありますが、独りの時ほど身を慎むということです。

人の目が無いときに自分の行動を規制できるのは、自分自身の目です。

良心”とも言えます。

 

 

「天地神明に誓って」と申しますが、天に恥じることのないものが良心でしょう。

現代は、“天”という概念、認識が無くなってきたのではないでしょうか。

「お天道様が見てござる」と言ってたしなめてくれるお年よりも少なくなった気がします。

しかし、何かを祈ったり、感動したときなどは、自然と空(天)を仰ぎませんか?

 何かやましいとこがあると、逆に顔をうつむかせます。

 

 

良心は両親が育てる」ものです。

わが子の心の中に良心という規範を与えておかなければ、人の目さえなければ、何でもOKと

いった姿勢を身につけさせてしまいます。

 

 

道徳観と倫理観の違いから少し説明してみましょう。

「そんなことしては、人様(世間)の手前恥ずかしいことですよ」というのが「道徳観」であり、

「そんなことは、空恐ろしくてできません」というのが「倫理観」ととらえてください。

 

 

自分の行動を照らし合わせている対象が違うのです

道徳観は、人の目です。

倫理観は、内からこみあげてくるものではないでしょうか。まさに良心です。

 

 

惻隠”という言葉があります。

普通の人間性を備えている者であれば、命あるものを簡単に殺せるはずはないはずです。

人の苦しみを黙って見過ごすことはできないはずです。

この心性を“惻隠”というのです。

 

 

誰に見られるではなく、精神的に、生理的に受け付けられない。

それが倫理観です。

 

 

「天」という認識をもてなければ、母親(父親)の顔を思い浮かべては、いかがでしょうか。

何かの行動を取る時に、母親の顔を思い浮かべてその行動が取れるかです。

 

 

母親が悲しむ顔を見たくなければ、悪いことも、恥ずかしいこともできないでしょう。

吸殻や空き缶のポイ捨て、粗大ゴミの放棄、インターネット上の匿名による悪質な書き込み、

いじめ等など、自分であることが分かりさえしなければなんでもやるといった傾向が強いようです。

道徳観以上に倫理観の欠如です。

 

 

とは言っても、その母親(父親)の顔が、行動規制のはどめにならなくなってきているのかも知れま

せん。

 

 

惻隠が失われているならば、母親の悲しげな顔にも心を揺るがされることもないでしょうし、逆に

インナーマザーに支配された子どもたちは、母親の人生に取り込まれ、自分を尽くし、自分の人生を

生ききることが出来なくなってしまっています

その子たちは、自制がはたらかず、自立の前に自律すらできない子になってしまうのです。

 

 

両親が良心を育てられない時代になってきているのでしょうか・・・・・・・・・

 

 

 

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わが子から背を向けられ・・・

「子どもとコミュニケーションが取れない」「言うことを聞いてくれない」といった嘆きをよく耳にします。

「言っても動いてくれないから長びいた」

こういったご相談の場合、ほとんどそれ以前からの親子間でのコミュニケーションが取れていません。

 

 

そもそもが充分なコミュニケーションがなかったところで、子どもが不登校、ひきこもりになったからと、

急にコミュニケーションを取ろうとはかっても、子どもはなかなか聞き入れてくれません。

 

 

親に背中を向け、口をつぐんだ途端、もうそれ以上言葉をかけられなくなってしまう親御さんも少なく

ないようです。

返事を期待し、待っているのです。

 

 

子どもとのコミュニケーションは、たとえ返事がなくても語りかけ続けることが、場合によって必要なの

です。

子どもは、返事をしないまでも聞いています。

 

 

返事をしないのは、親への反抗的な意味合いだけではありません。

自分の気持ちを表す適切な言葉が浮かばないという場合や、考えの整理がつかず、言葉で返せ

ない場合もあるのです

 

 

言葉を発する(意見を言う=意思表示)ことで、それを否定されることを恐れて発しない場合もあり

ます。

否定されることは、拒絶、見捨てられることと捉えてしまうのです。

 

 

子どもたちに共通してあるのは、自尊心の欠落です。

自尊心は、自分を支える杖、背骨となります

その自尊心が健全に育っていなければ、何ものに対しても、抵抗力がありません。

ストレスに対しての脆弱さは、ここから来ているのです。

 

 

「自尊心なんかで、閉じこもることなんてあるんですか?」と質問される親御さんもおられますが、

自尊心を崩された痛みを一番知っているのは、親御さんたちのはずです。

 

 

わが子が、心を閉ざし、ひきこもり、こちらの呼びかけに何も答えなくなる。

中には、暴力で親を支配しようとする。

わが子がそんな状況になれば、親としての自尊心はズタズタになっています。

そのことで、ますますわが子との距離が開き、ただただ目の前の状況を見過ごしていくしかなくなる。

 

 

誰かに頼ろうにも、崩れた自尊心は、それ以上の辱めを受けたくない、傷つきたくないという心理に

なり、親御さん自身が、自分の殻に閉じこもってしまいます。

相談機関に訪れるのは、数年を経過してからがほとんどであることからも、このことが長期化の

ひとつの要因になっていることも事実です。

 

 

自尊心を傷つけられた痛みを理解してあげられることができれば、わが子の痛みへも寄り添うことが

できます。

わが子の理解、寄り添いが、子どもに安心感を与え、新たなことへの挑戦の勇気の後押しになるの

です。

 

 

 

 

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「ひきこもり」の捉え方をめぐる混乱

社会的ひきこもり対策事業として支援者研修が某市で開催されました。

 

 

その中で、「ひきこもり」の捉え方をめぐる混乱として、次の三つが挙げられていました。

ひきこもりは「状態」であり、「病気」ではないという解釈

「精神障害を背景としないひきこもりには精神医学的な問題がない」という解釈

「社会的ひきこもり」はおもに社会的要因を背景とする現象であるという解釈

 

 

それぞれの解釈は、それこそ、それぞれの解釈があてはまる「ひきこもり」があると認識していれ

ばいいことだと思います。

 

 

見ていますと、「病気か病気でないのか」「障害者なのか」といった論議が盛んになされている感が

あります。

当事者家族や支援者までもが、all or nothing で、生きるか死ぬか思考になってしまっているよう

です

 

 

私がかねて懸念していることは、統合失調症や発達障害といった病理や障害の症状としてひきこも

っているケースと、病理的な背景がなくひきこもっているケースは、明確に分けて議論すべきであり、

解決のための対策が混同されてしまい、それこそ支援者自体が混乱しているということです。

 

 

病理からのひきこもりは、医療に任せるべきであり、一般の素人が手を出すべき問題ではありませ

 

 

例えば、強迫神経症が発症し、日常生活が困難となり、ひきこもりに発展したケースと、長期のひき

こもりにより、強迫神経症が発症した場合は、意味合いも、対策も全く違ってきます。

同じ強迫神経症だからと、一緒にはできません。

植物にかぶれて出た湿疹と、内臓の疾患から出た湿疹とを同じにあつかうようなものです。

 

 

私共の支援経験では、明らかに病理ではないケースがほとんどです。

それは、当協会が医療機関ではないからでしょうが、恐らく数年、十数年ひきこもっていた事実だけ

を見れば、社会不安障害、対人恐怖といった診断は出てしまうのでしょう。

 

 

しかし、投薬といった一切の治療をせずとも(もとより出来ませんが)、社会参加が出来ています。

原因となるものを外していくからです。

 

 

病理からのひきこもりは、お医者さまに頑張って頂かなければならない問題ですので、頑張って頂く

として、重要なことは、私共のような立場と、家庭がどう医療機関と連携を取っていくかです。

 

 

医療は、当事者本人が来院してこそ成り立ちます。

本人も病識があるからこそ、診断を受けたわけですから、何らかの病名が出るのは多くなるはず

です。

逆に言うと、来院できない状態のひきこもりに関しては、充分な把握ができていません

 

 

ひきこもりという状態は、動けないからこその困惑であって、その状態を理解把握している立場と、

医療機関との連携は、急務の課題なのです。

 

 

当事者向け、支援者向けの様ざまな催しを聴いても、どうしても医療分野からの発言者がほとんど

であり、ひきこもり=病気・障害といった印象が発信されてしまっていることを危惧してしまいます。

 

 

 

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