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解決支援者の現場日記 : 旧ブログ ひきこもり 18ページ目
罪悪感を抱えあう親子
ひきこもり無償支援活動〈たらちねサポート〉の開催目的の中には、親御さんに元気になってもらう
というものがあります。
それは、無理も無いことでしょうが、ほとんどの親御さんが親としての無力さを思い知らされ、また、
自分たちがわが子に与えたであろう心理的負担を省みて、がっくりと肩を落とされ、時には涙をこぼ
しながら語られます。
私がかねてより申し上げていることは、反省心はいいのですが、責任感も強すぎると、自分のした
行為を「罪」と判断し、それを贖おうとします。それは絶対やめましょうということです。
その贖いが、一生わが子の面倒を見ることや、自らの命を断つなどということになれば、それこそが
本当の「罪」となります。
責任感の強い親御さんの場合、そのほとんどがこれまでのわが子への対応を後悔しています。
後悔すれば気持ちは沈むだけです。解決策を講じるエネルギーが残っていません。
後悔ではなく「反省」に止めることです。反省しすぎると後悔になります。
三度省みるで、少な目でいいんです。
後悔はただただ過去を振り返り悔やむ。
反省は先へ進むために後ろを向いて、結果と原因の再検討をしていくこと。
「何があったか」「何故なのか」これらをしっかり振り返るのです。
口が裂けても本人に言ってはならなことは「お母さん、お父さんが全て悪かった。ごめんなさい」
です。これでは本人への責任の自覚を促せません。
では、本人たちの責任って何だか分かりますか?
「ひきこもった本人も悪い!」ではありません。
いいとか悪いとなれば、また「罪」という意識になります。真面目な子ほどそう受け止めます。
断罪するのではなく、「自らとった選択が今の状況を招いている」ということに気づかせるということ
です。
ある考え方を選択し、他でもないある行動をとった。
その結果が今を作ったわけだから、そこからの影響に対してどういう姿勢・態度で臨むのか自分で
判断しなさい。ということです。
子ども達の多くも、
「学校をやめてごめんなさい」
「働けなくてごめんなさい」
「手を上げてごめんなさい」
「役立たずでごめんなさい」
「僕は期待に応えられない悪い子です」
と、ひたすら心の中で「ごめんなさい、ごめんなさい」と言っています。
過度な罪責感は現実から逃れたくなります。
親子で罪悪感を感じていれば、事態が改善されるはずもありません。
わが子を救えるのは親御さんたちなのですから。
親御さんが先ず元気になりましょう。
「笑う門には福きたる」
笑えない状態だからこそ笑うんです。
笑える方法を〈たらちねサポート〉ではアドバイスします。
笑えない状況の中で笑うからこそ、笑える状況に本当になっていくんです。
ひきこもり無償支援活動〈たらちねサポート〉事業
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八代市厚生会館
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NPO法人地球家族エコロジー協会
福岡県大野城市つつじヶ丘6-4-21
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2009年6月15日 20:20
問題の所在はどこに?
かねての相談の場面では、ほとんどが母親のみです。
そればかりか父親の話がしばらく出てこない場合も少なくありません。
子どもがどうなっているか、自分(母親)がどうしてるのかの話が続き、「母子家庭なのかな?」と、
こちらが思ってしまうぐらい、全く話が出てきません。
そういった場合は、あらかた父親の問題解決への非協力が見られます。
子どもの家庭での暴力があったり、素行不良があっても、「私が言っても聞いてくれなくて・・・」と、
母親自身が子どもにどう対処しているかの話はあっても、それ以外の話が出てこない。
そこで「お父さんは、どうされているんですか?」と尋ねると、うつむきかげんで、「実は主人は、何も
言ってくれなくて・・・」とか、「おまえの教育が悪いからだ」と叱責されている話などの夫(父親)への
グチが出てきます。
あまりにもグチが多い場合は、私はわざと「ご主人と離婚されたらどうですか?」と申しています。
「離婚されて、親権はお母さんが得ますか?昼夜働いて、子どもを養う覚悟がありますか?」と尋ね、
腹くくりが出来るかどうかを確認します。
つまり、自分の生活を守りたいのか、子どもを守りたいのかを母親自身に確認して頂いているのです。
精神的に自立できていない母親の場合、「子どもを守れますか?」と問われた時に、返事に窮して
います。
このようなケースでは、子どもから、母親の生き方に対して批判的な言葉をあびせられていることが
少なくありません。
つまり、一方で自分に無関心な父親への絶望と、その父親に依存し、自分自身の意見も出せない、
自立出来ていない母親への幻滅を訴えているのです。
精神的自立を欠いた母親は、我が子に過剰な期待をよせます。
そのために自分が子どものころなし得なかったことを、我が子の意志を度外視してはたそうとして
しまいます。
これらは、習い事など表面的には、させてあげていることが多く、愛情の深さのように見えてしまい
がちなので、母親自身も周囲も子どもの心の負担に鈍感になりがちです。
一方子どもの危機に向き合えない父親は、場違いの説教を繰り返すか、教育、子育てに対しての
責任の一切を母親に負わせようとします。
「離婚されたらどうですか?」という問いかけのもう1つの意味は、子供の問題解決の障害になって
いるものに気づいておられるかを確認するためです。
その障害とは、もちろん父親の無理解さだけではありません。
父親(母親の場合もある)の無理解さが、問題発生の原因になっていることは事実です。
しかし、問題解決の障害となっているものには、父親が無理解だから何もできないとあきらめている
母親のその姿勢もあるのです。何を優先させるべきかが見えなくなっているようです。
わが子の引きこもりは、家族内の拮抗を浮き彫りにします。
だからこそ、子供たちは家族の“救援者”なのです。
解決すべき問題はどこにあるのか、その本質から目をそらさずに向き合わなければなりません。
現実に向き合うことを恐れ、避けてしまえば、わが子の挺身は報われぬこととなります。
子どもの訴えに真摯に耳を傾ける潔さをもった親のいる家庭は、必ず本来の絆を取り戻すことが
出来るのです。
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2009年6月 7日 18:56
囚われ
目の前の現状が硬直化している場合、決まって自身の見解から離れられないでいるものです。
変わらぬ視点で現状を見てしまっているので、事態が変化しないのです。
こういった場合、先ず気がつかなければならないことは、その視点に囚われ、留まっていることで、
日々の生活がままならなくなってしまっているということです。
かたくなに自説に拘り、他の意見が耳に入らなければ、状況は改善しないばかりか、同じ失敗を繰り
返し、さらに事態を悪化させてしまいます。
自身の見解へ拘ってしまう原因になるところは、変化することを拒む習性にあります。
いったん身につけたものを手放すことへのためらいです。
それがたとえ自分にとって不利益になるものでさえ、手放そうとしないのです。
それほど、変化そのものを避けようとしてしまっています。
家族間のコミュニケーションが希薄になり、わが子が閉じこもっていることが通常化してしまっている
家庭は、自分の判断力を信じ過ぎていたことで迷いを深めてしまったことを理解しなければなりませ
ん。
自分の判断に誤りがあったことを潔く認めることが必要です。
判断の基準は、それぞれの価値観です。
現状のわが子の有り様は、それまでの両親の価値観の総和と言えます。
価値観とは、何ものかを優先させ、何ものかを後回しにする時の基準です。
わが子の今を導いた価値観を見直す必要があるのです。
特にこれまで後回しにしてきたものの中に、わが子に本当に必要なものがあったはずです。
変化を起こすことが出来ないでいる親御さんに多いのが、
「どうすればいいのか・・・・」
という嘆きです。
ですが、具体的な方法を話しても、決まってその後に「どうすればいいのか・・・・」と返ってきます。
つまり、話が耳に入っていないのです(笑)。
挙句の果てには、「それは分かっているんですが・・・・」
分かっていないから、行動に移せず事態が変わらないのです。
「知る」と「分かる」と「できる」は、明確に違います。
「分かる」と言うのは、腑に落ちるということです。知識として知ってはいても、理解納得できなけれ
ば、次の行動につながりません。
意欲をもって手足の行動につなげられてこそ、「できる」の段階に至るのです。
実行できなければ、知らないのとあまり変わりはないのです。
囚われず、拘らず、できないことを潔く認め、常に変化を追い求めていくことで現状改善をなし得る
のです。
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2009年6月 2日 18:05
受け入れ、任せる
不登校のご相談の場合、「行ける?」「今日はどうする?」と聞いていいものやら判断に困りますとか、
ひきこもりの場合、動くことを厳しく促すことをしていいものでしょうか?と、それぞれ本人に対して、
何らかの刺激を加えた方がいいのか否かといった迷いが多く聞かれます。
その多くが、医療施設や相談施設から過去にもらったアドバイスで、「受けいれてあげてください」
「本人の意志を尊重して任せてあげてください」といった内容を聞かされたものの、事態が変わる
でもなく、不安が消えず尋ねてこられたものです。
もちろん本人の意志を尊重することは、大切なことではありますが、このアドバイスでは、ただ黙って
本人のなすままに見ている(見守ると表現しているようですが)だけ、本人からの要求はそのまま聞き
いれるという形になってしまっていることが多いようです。
それは、受けいれるという意味と、任せ方を伝えていないからです。
それではさらなる長期化を招いてしまいます。
受容することの大切さは私自身何度もお伝えしていることではありますが、受容するということは、
何も容認することではありません。
そうでなくても、不登校、ひきこもりの期間が長くなれば長くなるほど、結果的にそれを親が容認して
しまっていることになるのです。
ですから、一年以上も経ち、にわかに「このままでどうするんだ」なんて切り出しても、本人は「何を
今さら」といった気持ちになってしまっています。
受け入れることは、容認することではなく、理解することです。
理解していけば、現状の意味が分かり、自ずと不必要な刺激は何かが分かります。
言わなくていいこと。言ってはならぬこと。させなくてもいいことなどが分かってきます。
任せるということに関して述べますと、判断や意思決定をある程度任せていくわけですが、この時大
事になってくるのが、問題意識を持たせたうえで、任せるということです。
自分で考え、判断し、決定し、そして自分で責任を負うことを身に付けさせなければなりません。
しかし、先ずその前提として、現状に対しての明確な問題意識がなければ、任せたからとて、何も変
わりません。
問題意識というのは、ただ「困ったなぁ、どうしよう」といった迷いではありません。
自分には、改善を要する問題、課題を抱えている。改善、解決のために何らかの行動を起こしてい
かなければならないという自覚です。
この意識をもたせた上で、判断や意思決定を任せるのです。
もちろん、意識をもたせていくためには、親御さんがはたらきかけていかなければなりません。
支援者は、そのはたらきかけ方も具体的に示してあげられなければならないのです。
「受けいれましょう」「見守りましょう」は、事を荒立てず無難にすませられるアドバイスではありますが、
確実に長期化してしまいます。
当事者を支えるご家族や支援者自身が、明確な問題意識をもっていく必要があるのです。
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2009年5月25日 20:34
見えないものを観る眼
私が講演や講座で心がけていることは、かねて関わっている青少年たちの生の声を伝えることです。
そういう意味では、すべてが体験していることばかりです。
私自身かねて父親業をやっていますので、彼らから聞かされる内容は、身につまされる思いでいつも
います。
この子達が味わったことを、わが子に同じように味わせることをしていないかと心配になることも度々
です。
それほど、親が気づかないところで子どもたちにダメージを与えていることがあるのです。
相談や質問などで「子どもたちの心が見えない」とは、しょっちゅう聞かれることです。
しかし、子どもたちはハッキリ伝えてくれています。
「認めてほしいだけです」と。
マスローの欲求階層論というものがあります。人は食欲や性欲といった「生理的欲求」が満たされ
て、恐怖や不安からの自由「安全欲求」を満たそうとし、安全が確保された段階で自分の居場所を
求める「所属と愛の欲求」が生じ、そして次に周囲から評価してほしいという「承認欲求」を充足させ
ようとします。
欲求階層論については、無料レポートに詳しくありますので、是非ご購読ください。
不登校やひきこもりの青年たちは、生理的欲求こそ満たされてはいますが、幼年期に安全を
脅かされ、学生でもない、社会人でもない無所属派となり、疎外感を感じながら周囲の評価に怯え
ています。
家庭にも居場所を失った子どもたちには、安全な帰る場所が必要です。
そしてそこでは、ありのままを認めてあげる環境が求められます。
「褒めて育てる」とよく言いますが、褒め言葉はなかなか難しいものです。
だったら認めてあげましょう。
承認とは「期待」と「信頼」です。
物事を頼み、任せ、尋ねることをすれば、わが子への期待と信頼が伝わります。
何よりもわが子に「ありがとう」が言えます。
「ありがとう」は相手への絶対肯定の言葉です。
「ありがとう」を言われなれている子どもたちは、「自分は必要とされている」「自分には価値がある」
という健全な自尊心が身につきます。
逆に「ありがとう」を言われずにきた子どもたちは、何に対しても自信をもてないでいます。
子どもたちが求める「期待」と「信頼」はあるがままに期待してもらいたい、そのままで信頼してほしい
ということです。
子ども達が承認をどれだけ求めているかは、自分自身がわが子にどれだけそれを求めているのか
を考えてみるとわかるでしょう。
親として信用してほしい。
親を頼ってほしい。
でもわが子は、「親なんかあてにしていない!」
「いつも裏切られるから信用できない!」
「どうせ信じてくれないから!」
と嘆きます。
その言葉に、どれだけ親としての自尊心を打ち砕かれたことか。
「どうして親の気持ちを分かってくれないのか・・・」
子どもたちは、同じ思いを経験してきたのです。
わが子の心が見えるためには、見えないものを観る眼が必要です。
子どもの行為、行動の裏にあるものを観察、洞察する眼です。
見えているものだけで、判断していませんか?
「学校に行きなさい!」
「とっとと働きなさい!」
「ダラダラするなっ!」
子どもたちは言います。
「なぜ気づいてくれないのっ!」
気づきは発見です。
行為に隠された意味を読み取る感性です。感情に共鳴し実感することです。
ありのままを認めてあげるひとつのやり方をご紹介しましょう。
子どもが考えたり、意思表示をしたり、何かに取り組んだ時、
「スゴーイ!」
「さすがだね~」
「すばらしい!」
「なるほど~っ!」
「こりゃ、おどろいた!」
「いやぁ、勉強になったよ!」
などの言葉をかけてあげてください。
感心できる感性が大切です。
考えずに感じてみてください。
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2009年5月19日 18:31
5月福岡たらちねサポート
昨日は福岡エリアの「たらちねサポート」でした。
ちょうど母の日でしたが、一組のご夫婦と5名のお母さん方が参加されました。
この〈たらちねサポート〉事業は、自助グループの形態を取ります。
「自助」というのは、自らを助ける、自らが助かるという意味ですので、単なる当事者同士の交流の場
ではなく、どう自分を支え、問題を解決していくかを学びあう場です。
そこには自己責任に基づいた主体性の発揮が求められます。
わが家で起きている目の前の問題(不登校やひきこもり)を自覚できている親御さん方が、その解決
のために、決して目をそらさず、真正面から問題、課題に向き合っていく。
問題を受容できてこそ、解決のためのスタートラインに立てるのです。
血縁、地縁を超えた、問題縁、課題縁によって初めて出会った親御さん同士が、共に解決を目指して
認め合い、励ましあい、支えあって会を運営していきます。
この自助会には、大きく三つの目的・機能があります。
(1)分かちあい これは、縁を大切にし、互いの痛みへの共感、解決のための有益な情報の共有
です。子どもの状態をより理解することで、わが子へ寄り添うことが出来ます。
(2)ときはなち これは、罪責感などによって押し込められた心を解放し自分だけの考え(我執)
から離れる。 自分を許し、自尊感情を取り戻すことです。
(3)ひとりだち これは、責任転嫁の連鎖を止め、自分を深く観察し、成長させていくことです。
これらの機能により、謙虚さ、素直さ、正直さ、誠実さ、豊かさ、感謝、意欲、自尊心、奉仕の精神
といった心性が養われ、長期化をくい止め、解決が促されるのです。
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2009年5月11日 19:30
出世間
「この子のひきこもりに取り組んだことで、初めて夫婦になれたような気がします」
「この子のお蔭で、家族がまとまりました」
「わが家の一大事も悪いことばかりではありません。多くのものを得ることができました」
これらの言葉は、家族支援を行っていく中で、しばしば聞かれる言葉なのです。
いずれも、目の前の厳しい現実に立ち向かっていった家族がたどりついた心境です。
私はこの言葉を聞くたびに、家族の蘇生力、絆の尊さに感動します。
不登校やひきこもりに限らず、様ざまな「問題」が長期化する背景には、『世間』というものがあります。
この『世間』という言葉は、もともと仏教の言葉です。
俗世間を表す言葉で、社会一般を示しているように使われていますが、「社会」とは違うものです。
政治家や財界人などが何らかの嫌疑をかけられたとき、しばしば「自分は無実だが、世間を騒がせた
ことについては謝罪したい」と語ることがありまが、この言葉を英語やドイツ語などに訳すことは不可
能だそうです。(『「世間」とは何か』阿部謹也著)
世間は社会ではなく、自分が加わっている比較的小さな人間関係の環なのです(同書)。
長期化の背景にある「世間」とは、“世間の目”です。
相談機関に足を運ぶまでに、事態が起こって一年以内ということはまれです。
だいたい数年を経過しています。
数年前に一度当協会に相談に来られ、再訪されるケースもあります。
一度足を運んだだけで、具体的な解決行動まで踏み出せず、さらに期間が過ぎての再訪です。
もちろん、事態がさらに深刻化したために、切羽詰って来られたわけです。
なぜこのように、解決のための具体的な行動に出るまでに時間を要するかというところに「世間の目」
つまり、世間体がかかわってくるのです。
もちろん子どもが学校に行き渋りだしたり、部屋に閉じこもりがちになっても、しばらくは様子をうか
がっているものです。
しかし、「どうもこれはただ事ではないな」と思い出してからでも、なかなか動き出せないものです。
「うちの地域じゃ、離婚だって話せないぐらいです」
「親戚にすら黙っています」
親から「出歩くな」と言われたひきこもり青年からの話もありました。
実の姉にも10年以上の妹のひきこもりを黙っていた母親もいました。
これらはすべて「世間体」を考えてのことです。
全国組織のひきこもり親の会の提言にも以下のような内容がありました。
『引きこもりを形態としてとらえると「世間体」が悪く隠しそのことに因り、内在化させ深め、エンドレス
の悪循環に陥る。身体で例えれば“肺炎”だよと病状と割り切り解釈すれば「世間体」も悪くなく、
病気なのだから、施療に取組み回復へ向かい、中間施設や社会参加への道が開かれる。
これが欧米での世界標準のやり方だ。日本の全関係者もそろそろ腹をククッテ行こう!』
いかがでしょうか?
あなたをこの提言をどうとらえられますか?
「そうそう、病気だったら世間体は保てるわ」とお考えですか?
肺炎ならまだしも、実際この団体が病名としてあげているのは、
気分障害(うつ)、社会恐怖症、強迫神経症、パニック障害、PTSD、ADHD、摂食障害、躁うつ病、
自閉症、広汎性発達障害、統合失調症と精神障害などのてんこ盛りです。
わが子が何かを思い煩っているだけで(病気でもないのに)、世間体をごまかすために、これらの病気
だからと割り切れますか?
「世間体」を気にするのは、先に例であげたように日本人の民族性だと思いますので、「一切気に
しないこと」とまでは申しません。
私自身、何事にも「世間体」を一切気にしていないかと言いますと、そう言い切れるほど自信はありま
せん。
ただ、「世間の目」をはぐらかすために、問題をすり替えてしまのは新たな問題を生じさせてしまい、
道が開かれるどころか危険ですらあります。
私が、病気ではなく長きに渡ってひきこもっていた青年たちと対していて感じるのは、彼らもまた、
過剰に「世間の目」に怯えています。
これに関しては、当事者向けのブログで述べていますので、こちらも読んでみられてください。
http://forum-hokushin.weblogs.jp/blog/2009/04/post-bdea.html
仏教用語で「世間」と合わせて「出世間」という言葉があります。
これは、“世間を超えた”といった意味です。
ですから、世間を無視するとか、否定するといったことではありません。
「世間体」をとりつくろうために問題をすり替えるのは、無視や否定と同じです。
世間を超えるというのは、世間の通念をわきまえた上で、次元を変えるという意味です。
例えば、「家出」と「出家」では全く意味が違ってきます。
同じ家を出る行動ですが、その目的から全く次元の違う話になります。
タイでは、男性は一定期間出家する慣習があるそうです。家族のために徳を積む目的です。
家出されては気が気ではありませんが、出家であれば家族の幸福のためですから、皆喜ぶのです。
常識という言葉で表現すれば、「出世間」というのは、超常識ではあっても、決して非常識ではない
ということです。
私は、この「出世間」という考え方を勧めます。
たとえ「世間」の誤った誤解、偏見があったにせよ、無責任な批評、風評に迷わされるのではなく、
わが子の何を守ってあげるべきかをよくよく考えるということです。
わが身の「世間体」を優先させ、わが子のこれからを粗末にしていないか。
わが子の成長と可能性を大切にするための行動を選択していくことが世間を超えるということです。
近視眼的なとりつくろいの行動ではなく、大局観でわが子の行く末を幸福にする行動をとることです。
「世間」の認識、理解の足りなさが分かれば、世間の声の誤りにも寛容になれるはずです。
「世間」に申し開きが立たないことは、世間への迷惑よりも自分の利益を優先させてしまう行為では
ないでしょうか。
それこそが、人目をはばかる行為です。
わが子の不登校、ひきこもりは決して人目ををはばからなければならないことではありません。
世間を超える出世間の視点をそなえるために良い方法をお教えしましょう。
「世間」に“さま”をつけてみてください。
「世間さま」です。ニュアンスが違ってまいります。
「世間」に対してだったら、「ばつが悪い」という風になってしまいがちですが、
「世間さま」に対してでしたら、「お天とうさまが見てござる」の如く、畏れ畏(かしこ)み、天に恥じない
行動という風になります。
出世間を心がけてさえいれば、無責任な「世間の目」に動じることはないのです。
ひきこもり無償支援活動〈たらちねサポート〉事業
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2009年5月 2日 20:48
自分に向き合う
すばらしい親子を紹介した記事を目にしました。http://www.asahi.com/national/update/0417/OSK200904170001.html
島根県浜田市の小学校6年生の男の子が、クラス全員に手紙を書き、自身が発達障害であることを
告白し、「僕と友だちになってください」と呼びかけ学校説活を楽しく過ごしているとのこと。
男の子は、2歳9カ月で注意欠陥・多動性障害(ADHD)、6歳で高機能自閉症と診断されたとありま
した。
父親が障害について学び、学校や他の保護者との連携をはかりつつ、わが子がより過ごし易いよう
に取り組まれたことも記されていました。
実は以前に私も、同じ発達障害を抱えた高校生の親子とかかわったことがありました。
当初、不登校の相談で来られたのですが、私が本人とカウンセリングをすすめていて、どうもかねて
係っている少年たちと違うものを感じていました。
その後受診を勧め、発達障害ということが分かりました。
それから、この少年の父親は熱心に障害についての学びを深め、障害についての分かり易い説明書
きを作成し、仲のいい数名の友人たちに渡し、友人たちにもわが子の障害を理解してもらおうと努め
ました。当時私はその姿勢にとても胸をうたれました。
障害を認め受け容れることも、ましてやそれを開示することも大変勇気のいることです。
しかし、こうしてそれを乗り越えた親子は、大きな財産、宝を得ていると感じます。
よく、長期化した不登校、ひきこもりの親御さんから「偏見、差別の目で見られるのがいやで、どこに
も相談できなかった」と聞かされることがあります。
確かに、40年以上も前からある不登校にしても、近年のひきこもりにしても、いまだに病人、変人扱
いです。犯罪予備軍といった極めて歪んだ目も一部あります。
しかし、これは世間の目だけでしょうか?
私は、当事者の親自身にそれを感じることがあります。
だからこそ、間違った目でわが子を見てしまわないためにも、先の二人の父親のように、学びが必要
なのです。
前回のブログhttps://www.interbrain.co.jp/blog/2009/04/post-94.php で述べましたように、わが子
を理解するためには、学習が必要なのです。
理解なくしてわが子の痛みに寄り添うことはできません。
今回の朝日新聞の記事を読んで、改めて自分の身に起こっている現実に向き合う姿勢・態度の重要
さを、この6六年生の男の子から学ばさせてもらいました。
光くん、ありがとう!
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2009年4月25日 19:43
親ができること、できないこと
ひきこもり無償支援活動〈たらちねサポート〉をスタートさせてから、感じたことがあります。
それは、多くの親御さんたちが、目の前の現象(学校に行っていない、働かない等)に囚われすぎて、
ただただそのことだけに困ってしまっているということです。
中には、現在年齢が30代であっても、最初の不登校があったのが中学生で、その時の原因が分か
らないまま、今はひきこもりに悩む。
これまで幾多の変遷はあったものの、以降高校や大学にまで進んだケースもありました。
しかし、卒後今度はひきこもってしまっているのです。
こういった事例は、けっこう多いのですが、いずれも当初の不登校からなんら問題は解決されない
まま現在に至っているということです。
それは、何がそうさせたかをその時点で徹底追及し、以降に持ち越さないようにしていないからです。
こうした対処の仕方になってしまった原因は、目の前の「困ったな」の改善に終始してしまった
ためです。
ひとつには、不登校をした、ひきこもった訳、理由を本人たちがはっきり口に出してくれるわけでは
ありませんし、聞いたからとて話してくれるとは限りません。
ですから、親御さんも分からないままになってしまって、「分からないものはしょうがない」となって
いるのです。
私がいつも親御さんにお話しするのは、「先ず何かの訳あっての今ですから、理解することから
始めてみましょう」ということです。理解することでわが子の痛みに寄り添うことができます。
しかし、ここで、「理解するって、本人が話してくれないのにどうやって?」という声がよく出ます。
理解のために必要なことは、「学習」です。
あらゆる事象は、知識があってこそ認識できます。
未体験のことでも、既存の知識を組み合わせれば、想像することもできます。
ですから、目の前のわが子の状況を理解するためには、学習(知識の習得)が必要なのです。
しかし、実際は、即効性(?)のある手法を期待して来られる印象が強くあります。
「こうしたら、こうなる」といったものをです。
前回もお話ししましたが、「こうする」よりも「親としてこうある」の方がとても重要なのです。
パソコンやビデオといった機械を操作するのであれば、このボタンを押せば仕組みなど分からなく
ても、望む状態を得られるとなりますが、さすがに心をもった人間(わが子)を相手にするのですから、
仕組みを理解しないまま、結果(解決)だけを求めるのは無理があります。
ひきこもりの本質的解決のためには、親にしかできないこと、親にはできないことがあります。
親では出来ないことのひとつは、本人へトラウマからの影響を自覚させ、その理解を得させること
です。
本人自身がその影響を理解、克服するためには、外からの視点、知識といったものが必要になって
きます。
人は自身が抱えている痛みの理由を全て認識できているわけではないのです。
特にトラウマといったものは抑圧しているものが多く、意識下へ沈殿しています。
だから、たとえ本人に訳を聞いたからといって、本人もすべてを自覚し話せるわけではないのです。
AC(アダルトチルドレン)やトラウマ関係の本を読み漁り、その影響の大きさに愕然となり、将来に
絶望的になっている青年からの相談がありますが、自身のトラウマの意味を知ることができれば、
トラウマは克服出来ます。
つまり何故トラウマとなってしまったか。当然ながら原因があります。
同じ状況下でもそこからの影響をトラウマとしてしまわない人間も居るということを知るべきです。
つまりは、本人にとってはトラウマとして刻印してしまう必然性がそこにはあったということです。
そのカラクリさえ本人が認識出来れば、克服できる力を持っています。
ただ、そこまでに導くには専門知識と経験をもった親以外の存在が必要なのです。
親が、できること、やらなければならないことを放棄し、一方で出来ないこともあるということを認識し
なければ、ひきこもりは確実に長期化していきます。
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2009年4月20日 19:08
適切な対応ができるためには
【機能不全家族】という言葉があります。
この意味は、「家族機能が適切にはたらかず、問題解決能力が低いので、家族の発達的、状況的
危機に際して、的確な対応ができない家族」ということです。
子どもは常に変化しています。
だから、次から次へと、これでもか、これでもかというほど問題をもってきてくれます。
親としては、その都度、それに対して適切な対応が取れていかなければなりません。
しかし、どうすればいいかと考えあぐねることも少なくありません。
こういった場合、つい方法論、技法にとらわれてしまいがちですが、どういう行動を起こすかという、
その行動の精度(適、不適)を決めるのは、その問題に向き合う態度と、姿勢なのです。
態度・姿勢を左右するのは、かねての心がけと心がまえです。
子育てにおいては、最も心がけなければならないことは、コントロール幻想を捨てるということでは
ないでしょうか。つまり、無力さを知るということです。
私たち親は、つい期待という鎖でわが子を縛ってしまうことがあります。
わが子が自分の意のままにならぬことをすっかり忘れ、意のままにコントロールしてしまおうとして
しまいがちです。
だから、無力さをしっかり自覚する必要があります。
そのためには、謙虚さを養うことが大切です。
わが子に対しても、慎み、敬う姿勢をもつことです。
一人の人間として、人格、存在を尊重することです。
わが子とは言っても、わがものに非ず。決して所有物にしてしまわないことです。
謙虚さを養う訓練として私がお薦めしているのは、「お蔭さまで、ありがとうございます」を日常的に
よく使うことです。
私たちは、何ひとつ自分の力だけでやれることはありません。
見えないところ(蔭)で、支えてくれている人がいて成すことができています。
だから有り難いことですし、「お蔭さま」なのです。
適切な行動をとれるようになるためには、「受容」することが最初の入口です。
その受容ができるためには、何事からも学ぶ姿勢が求められます。
そのためには、常に成長・上達を心がけておくということです。
より困難な問題、課題を抱えた時ほど、そこから学ぶものは大きいものです。
でも、学ぼうという姿勢がなければ、ただただ悔いて、グチや恨み言を吐くことになります。
心がまえとしては、先ほど言ったように、知らないところでも誰かのお世話になっているのが実情
ですから、その恩に報いる報恩感謝の心がまえをもってことにあたることです。
報恩感謝なんていささか古いでしょうか?
古くても必要です。
わが子にも感謝です。
「子はかすがい」と昔から申しますが、調律師と表現した方がより相応しいと思います。
家庭のバランスの崩れをいち早くキャッチし、調和させようとしてくれています。
絶妙なハーモニーを奏でられるよう調律してくれるのです。
しかも、ある時は自分を犠牲にしてでも実行してくれます。
ありがたいではないですか。
心がけと心がまえができたら、あとは行動の方向を決める心向けです。
常にどこへ心を向けているかです。
つまり、価値観です。
どこに重点を置き、重心を定めるのか。
重点の置き所で、優先させるものが決まってきます。
【機能不全家族】は、問題解決能力が低いとありますが、何を問題とするのか、どの方向へ解決す
ればよいのかを判断するのも、この価値観です。
価値観次第で、問題解決にあたって優先させるものが違い、誤った解決策が講じられてしまうことも
でてきます。
問題に向き合う態度としては、受容するか、目をそらすか、固まってしまうか(フリーズ)です。
これらの態度を左右するのが、心がけ、心がまえ、そして心向けなのです。
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