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解決支援者の現場日記 不登校: 2024年7月
ひきこもり・不登校~独自性を無視された子どもたち②
前回から引き続き『人間この未知なるもの』からの一節をご紹介しましょう。
「平等」が優れた資質の芽をつんでいる の項目から
民主主義の教義は、人間の肉体と精神の質を考慮に入れていない。
それは個人という具体的事実にあてはまらない。(略)
各個人間に見られる相違は、明らかに尊重されなければならない。(略)
個性が崩壊したのは、平等という作り話を信じ、符号を好み、具体的な事実を蔑視したことに
大きな原因がある。
劣等なタイプを引き上げることは不可能であるから、人間に民主的平等をもたらすための
唯一の方法は、全員を低いレベルに揃えることになる。こうして、個性が消えてしまった。(略)
現在、人間が弱体化したのは、個性を認めないことと、人間がいかにできているかについて無知
であることの二つによるのである。
私は当時、登校拒否児と言われているころ、ほぼ病人扱いされていることにとても違和感を
感じていました。
誰(大人)だって、人に会いたくなくなることだってあるだろうに、出社拒否や帰宅恐怖症だってある。
つまり、病気でなくても何か心に抱えるものがあって、いつもと違って気が進まないことなんて
普通にあることです。
正常な悲しみ、正常な不安というものがあるでしょう。
悩みをすぐに病理と捉える風潮が、とても嫌でした。
この傾向は、未だにありますね。
私の支援方針は、「活かされてこそ癒やされる」です。
つまり、各人の個性が活かされれば、痛みを抱えたとしても、自然癒やされていくのです。
私が出会ってきた若者たちの多くが、個性を否定され育ってきていました。
「変わりなさい!」と言われ続けたり、「人と足並みを揃えておきなさい」とか、「あなた変だよ!」
とか。大きなお世話です(笑)。
「変わりなさい」は、親(大人)の都合に合わせて変わりなさいですからね。
勝手です。
また近年は、ちょっと変わった行動をしているだけで、「発達障がいじゃ?」なんて決めつけをする
教師もおられるようです。
「あ~あ~、なんてこったぁ~」という感じですね。
人は皆、天分という独自性をもって生まれてきている価値ある存在なのです。
それなのに、保育園の演劇では桃太郎が沢山いたり、徒競走でも順位をつけなかったりと、
一体何をしたいのでしょう?
個性(自分ならでは)をもつ自分は、二人といないのです。それだけに希少価値があるのです。
自分の持ち味(強味)を活かせる場があれば、人は、人を遠ざけたりしません。
互いが個性を尊重しあえば、いじめやハラスメントも無くなることでしょう。
20代のころに読んだこの『人間この未知なるもの』が、私の支援活動の根っこになっています。
人は個性を自認し他から認められたら、元気でいられるものなのです。
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(NPO法人 地球家族エコロジー協会) 2024年7月18日 06:30
ひきこもり・不登校~独自性を無視された子どもたち①
私が、今のような支援活動をすることになる影響を受けたものは、『人間この未知なるもの』
という本の中の一節です。
著者はアレキシス・カレル。ノーベル生理学・医学賞を受賞している科学者です。
初版は1935年ですが、20代後半に目にしました。次のような内容です。
「青年は、各々その適性と自分独自の精神的、生理的活動に従って、自分の属する社会的
グループに入るべきである。しかし自分自身を知らないので、そうすることができない。
両親も教育者もその青年について、当人と同じように無知である。
子供たち個々の性格をどうやって探り出すべきか分からない。そこで、子供たちを規格化しようと
努力する。
現代企業の方法は、働く人の個性にはなんの考慮も払わない。すべての人間はそれぞれ異なっている
という事実を無視している。大部分の人は自分の適性に気づいていない。しかし、誰でもが何でも
できるわけではない。自分の性格によって、各個人には適応しやすいタイプの仕事や生き方がある。
成功と幸福は、自分が環境に合っているかどうかにかかっている。鍵が錠にぴったり合うように、
人間も自分の社会的グループ適合すべきである。両親も教師も、先ず第一に、それぞれの子供の
生得の素質と潜在的可能性を知るように努力すべきである」
読み返しても、決して古臭い時代遅れの内容ではなく、令和の現代にも充分深い示唆与えるものです。
実際、著者もその序文に「本書は古くなるつれてますます時宜を得たものになるという逆説的運命を
持っている」と述べています。言わば「未来はこうなるであろう」という予言です。
その予言はどうやら的中してしまっているようです。
一人一人の個性、独自性を無視した子育て、教育が社会全体に適応障害を招いてしまっているようです。
(続く)
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