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アダルトチルドレンからの回復
~私は私でありたい : 旧ブログ
カウンセリング: 2011年9月

アダルトチルドレンへの処方箋~親への復讐?

アダルトチルドレンにとって、親にどう向き合うかは大きな課題です。

経済的にも自立していて、生活圏を別にしていれば、まだ問題は少ないでしょうが、

未だ親の経済力に依存している場合、親抜きでは生活が成り立たない分、多くの

葛藤があると思います。

 

 

ある30代の青年は、親からの相続財産を親が生きている今の内に譲り渡して

ほしいと、生前贈与の手続きを親にさせました。

先祖から受け継いできた不動産を現金化して一千万円以上のお金を要求したの

です。

「法定相続分の当然の権利がある」といった主張です。

その代わり、その後の請求は一切しないと、裁判所に相続放棄の手続きは取ら

されました。

「一日も早くこんな家出て行きたい」が理由です。

この青年の現状は、バイトも継続してやれない状態です。

もちろん、正規で雇用された経験は、全くありません。

 

 

さて、「親からされたことで、自分はこうなった」ということで、親が償うべきだと、

物を購入させたり、生活するだけの環境を保障させたりするケースが多くあります

が、これでは目的をはき違えています。

親への報復、懲らしめのつもりでしょうが、自身の人生も持ち崩してしまっている

ことに気がついてほしいものです。

 

 

親に対しては、どういう思いで我慢を強いられ、耐え忍んできたのか。

そのことによって、何を奪われ、失い、何を諦めなければならなかったのかを分か

らせたいのが、目的なのではないですか?

であれば、ただ痛い目にあわせるだけでは、何も伝わらないでしょう。

それどころか、何も伝わらない分、かえって常識を欠いた出来損ないと捉えられて

しまいます。

 

 

どうせ復讐したいのなら、人生を立て直すに必要なことを用意させるべきです。

例えば、この青年は長年のひきこもり生活(外出はできる)で、働けない状態です。

家を出たからといって、自活は極めて困難です。

出費だけでは、早晩資金が底をつきます。

適切な訓練を受けなければ、社会参加は困難でしょう。

実際には、この青年の両親は、すぐに本人が働くことを希望しておらず、自分たち

の不適切な関わりによって与えた苦悩を青年に詫び、適切な訓練を受けることを

促していました。

もちろん、その間も生活に必要なものは援助していました。

 

 

両親の不適切な養育が、人格形成において与える影響は、もちろん甚大であるこ

とは間違いありませんが、親の養育態度がすべてではありません。

また、受けた影響の修復も不可能というわけではありません。

受けた影響を詳らかにすることなく、不安や恐れの感覚だけに溺れていては、

自分の人生を取り戻すことはできません

 

 

親への賢明な復讐は、親の何倍も幸福になることです。

親がうらやみ、悔しがるほどに幸福になればいいんです。

そうすれば、そんな自分をこの世に在らしめたという唯一の功労で、親を肯定する

こともできるのですから。

 

 

 

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